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映画の感想 「MINAMATA」を観て


映画「MINAMATA」について簡単に紹介した後、この映画を観て思ったことを述べてみます。

1 監督・出演者など


 監督/脚本/プロデューサー Andrew Levitas
 脚本 David K. Kessler  
   音楽 坂本龍一
 W. Eugene Smith 役 Johny Depp
   ヤマザキ・ミツオ役 真田広之
   ノジマ・ジュンイチ役 國村隼
 アイリーン役  美波

 ※上記はHP https://longride.jp/minamata/
 とウィキペディアの記事から引用しました。
       

 

2 ストーリー


 この映画は事実に基づいた映画である。Eugene Smith (ユージン・スミス)は1971年にアイリーンという女性から水俣病に苦しむ人々を撮影してほしいと依頼された。熊本県水俣市に乗り込み、3年間の間ユージン・スミスは、様々な妨害に出会いながらも、写真を撮り続けた。そして、世界に向けて水俣病を訴える写真を発表した。

3 感想


3.1 感想を書くにあたって


この映画は水俣病の実態をフォトジャーナリストとして報道したユージン・スミスを描いている。この映画の感想や意見を述べるには、あまりに重たいテーマである。そのため、正直なところ、私のこの問題に対する認識不足もあり、感想を述べること自体にためらいを感じる。

3.2 水俣病とは


環境省水俣病情報センターのホームページ(注1)によれば、「水俣病とは、化学工場から海や河川に排出されたメチル水銀化合物を、魚、エビ、カニ、貝などの魚介類が直接エラや消化管から吸収して、あるいは食物連鎖を通じて体内に高濃度に蓄積し、これを日常的にたくさん食べた住民の間に発生した中毒性の神経疾患です。」と記載されています。

(注1 http://nimd.env.go.jp/archives/minamata_disease_in_depth/ )

3.3 私が注目したこと


ユージン・スミスは3年間、水俣に住み、水俣病の実態をフォトジャーナリストとして報道するために取材をした。私がこの映画で注目したのは、彼が水俣病で苦しむ人々の写真を撮ることに対してどのような考えで臨んだのかということである。

写真を撮ると言っても、水俣でユージン・スミスが撮る写真は、旅行をしたときに取る写真や、卒業式、結婚式などで取る写真とはまったく性質が異なる。通例、病気で苦しんでいる人やその家族は病人の写真が撮られることには嫌であるだろう。また、写真を撮る人もそのことが分かっているはずである。写真を撮る人と撮られる人や家族の間に、しっかりとした信頼関係がないと、写真という作品は生まれないだろう。

3.3 苦しんでいる人の写真を撮ること


ユージン・スミスは「写真は撮られる者だけでなく、撮る者の魂すら奪う。だから、本気で撮れ。」と述べている。この言葉はフォトジャーナリストの被写体に対する責任観と倫理観を表現したものであるだろう。

なぜなら次のような素朴な疑問に対して、フォトジャーナリストはしっかりとした回答できるものを持っておかなければならない。写真は「LIFE」という報道誌と言えども、その冊子そのものは商品である。したがって、写真に撮られた側は、撮った写真をその商品の一部として、本来ならば一番見られたくないものであるだろう。

そのため、苦しむ人の姿や家族の姿を「LIFE」という商品の冊子に写真として載せることが、果たして許されるのだろうかという疑問が湧いてくる。その行為が許されるのは、写真を取られる側の人々が、「社会の矛盾を正すためには、本来なら撮ってほしくない写真を敢えて撮って、その写真を使って一般の人々に訴えてください」と思う時だけであるだろう。

フォト・ジャーナリストとして、苦しむ人々の写真を撮ることの意味や責任の重さを考えさせてくれる映画である。

4. 参考資料


畏敬の念と、嫉妬と 水俣撮ったユージン・スミス、案内した写真家
奥正光2021年10月9日
https://www.asahi.com/articles/ASPB76T8MP9XTLVB00M.html

映画MINAMATA 公式HP
https://longride.jp/minamata/ より

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