正しいかどうかと得かどうか

最近、脳卒中当事者の方のFacebookページに参加させていただいています。
その中で感じたことを少しずつ書き留めたいと思います。

タイトルについて、これは人が価値判断するときに大きな軸であると考えます。損得が判断基準になりやすい方と正しいかどうかが判断基準となる方。
2021年初頭では、新型コロナ対応や東京オリンピック開催の是非も同じ軸の対立で議論は平行線のままです。

さて、本題です。
医療は科学技術であり、患者さんの生命に関わるので失敗は許されません。
それ故、前提となる定義に基づいた【正しい】技術提供が不可欠です。
これは実績と数学的分析に裏打ちされているので、間違った技術が提供される可能性は少いです。
脳卒中で言えば、特に回復期までのリハビリは前提となる定義に基づいた「正しい」技術提供であり、経験の浅いセラピストでも提供が可能と考えられます。

一方で生活に戻られた当事者の方の回復実績に関するデータは少く、脳卒中当事者グループでお互いが提案と共有されているように当事者の方の挑戦が実践報告としてアップされているそれが事実として存在するだけです。
医療的な目線での正しいかどうかの効果判定は今のところ困難です。
当事者の方は医療職ではない場合がほとんどなので、残念ながら医療的定義は曖昧であり、当事者の方は個々人で興味があれば試してみて上手くいけば【得をする=メリットがある】という結果となりますし、やらなくても損はしません。
ただし、挑戦することの裏側には損をするリスクがあることを忘れないでいただきたいです。
例えは、足関節装具を使用するかどうかといった課題です。そういったリスクを考慮した上で得することを目指して挑戦することがリハビリテーションの一つだと私は思いますし、そのリスク判断の部分に失敗を避けるマインドを持つリハ職は支援できる余地があると考えています。

今のところ正しいと言えないことでも得することがあるかもしれませんが、医療の定義からは正しいとは言えない場合が多々あります。
また、残念ながら得することを謳って医療的にはリスクが高い=正しくないなんてこともあります。
正しい・正しくないと得する・得しないはまったく別な土俵だからです。
そこを我々医療者と当事者の皆さんそれぞれがお互いの立つ土俵の違いを理解できるとより生産的な議論ができるなと感じています。

今回は主として挑戦することに着目しましたが、次は挑戦しないことに着目したいと思います。

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