オト・タチバナヒメ様も、すぐに贅沢に飽きて、私も元の慎ましい生活に戻れた。

 今までは、体力にものを言わせて、本当に無理無理のスケジュールをこなしていた。特に夜行バスは大変だ。でも、夜行バスを使うと、まじでタイムパフォーマンスが良い。時間の無駄なく、安い金額で、あちこち回れる。

 出羽三山も、行かなきゃと思いつつ、なかなか行かれなかったところだ。新宿を9時ごろ出発して、朝5時に月山に着く。私が行った日は残念ながら大雨で、若草色の月山を見ることは出来なかった。月山は過去であり、前世であると言われている。雨なのも仕方ない。近くの宿坊で朝食と入浴タイム。ご飯をおかわりまでして、しっかり栄養をとり、羽黒山へ。距離は長いが、歩きやすい。月山の大雨が嘘のように、日差しが射し木漏れ陽が美しい。ひたすら階段を登る。登りきったところに立派な本殿がある。歩くのが無理という人はバスがあり、直接、本殿に行ける。友人が、羽黒山の本殿に絵を奉納したと聞いていたので、探す。二階の踊り場に貼ってあった。他にも沢山の奉納されたものが飾ってあった。絵がかけたら人生楽しいだろうなと、つくづく思った。羽黒山は現世であり現在を表すらしい。
 最後は湯殿山。湯殿山で見たことは言ってはいけないという決まりがあるので、言えないが、未来を示しているそうだ。夜行バスの辛いところで、この、午後2時、3時、あたりがやたらと眠い。吸い込まれるように眠くなる。眠気覚ましに美味しいソフトクリームを食べて、
「眠いねえ。」
とお互いに言いあう。それしか言葉が出てこない。

月山にリベンジしたい気はするが、私は何度行ってもどしゃぶりのような気もする。

 出雲の神在月に参拝に行ったときも行きも帰りも夜行バスだった。飛行機や宿泊が取れなかったからだ。何度も出雲には行ったが、やはり神在月は全然雰囲気が違う。年配の龍がたくさんいる。誰かが連れてきているのか、この時だけ出てくるのか分からないが、普段とは桁違いの数の龍がいる。私の龍が来たがった旅だったので、めちゃくちゃ楽しんでいる。姫神様たちは、別にどうということはない。姫神様たちが仰らないことは、聞かない。必要な情報は必ず教えてくれると信頼している。当の私は、午後になると、眠気に襲われる。でも、日御埼神社に行けということで、バスを乗り継ぎ、頑張って行く。何の用事なのかは分からない。行けばいいとのこと。帰りのバスから見えた夕陽が綺麗だった。


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