友人が個展に行くのに付き合って欲しいというので、付いていった。不思議としか言いようのない絵で、ファンも多いのだろうなと思った。ぼーっと見ていると画家さんがやってきて、
「白鳥さんってうちの近くに住んでいるんですね、うちは○○マンションです。」
と言うので、
「あ、すぐ近くです。」
と意気投合した。画家さんが
「個展を見に来てくれた人を招いて自宅でパーティーするので、来てください。」
と言われた。友人も誘われるのかなと思ったけど、誘われてなかった。友人曰く
「この画家さんが、あなたを気に入ったみたい。ご近所さんなんだし行ってみれば」
とのこと。でも、誰も知ってる人居ないのに、行きたくないなと思っていると、画家さんのお母さんがやって来て
「金星人の集まりだから来て。湧玉の池で、あなたを見かけて気になってたの」
と耳元でささやいた。金星人の集まり??キタ――(゚∀゚)――!!行くしかあるまい。

集まりに行ってみると、美男美女しかいない。パリピしかいない。とてつもないアウエーな感じ。なんでこんなとこに来ちゃったんだろう、居心地悪すぎると思っていると、画家のお母さんが隣に座ってくれる。
「知らない人ばかりでびっくりしたでしょう?」
と優しく聞いてくれる。私はべそをかきそうな顔で
「美男美女しかいなくていたたまれないです。」
と言うと、大笑いして
「そうか、金星人なことに目覚めて間もないから、分からないことだらけよね。簡単に説明すると、宇宙人がそのまま地球に生活するのは難しいので、BOTと呼ばれる人間みたいなものにウオークインして暮らす人が多いの」
もう、付いていけない。何を言っているのか分からない。BOT,ウオークイン、なんだそれ。
「宇宙人が地球に干渉できないから、地球人になるしかないのよ」
え、私は地球を侵略にきた宇宙人なのか??こんなこと考えてることもここに居る人達に読まれてしまっているのか??
「あなたも、私もわりと珍しいタイプ。ちゃんと地球人に生まれて育っているけど、金星人なの。」
もう、論理矛盾甚だしい。地球人なの、金星人なの?
「地球人として生きてきて、ある日、自分が金星人なことを思い出して、自分の役目を果たせるのよ。大抵の人は思い出せなかったりするのよね。思い出させないように、普通の人より負荷が多いから、わりと生きにくかったんじゃない?」
急に、言ってることが理解出来てきた。ずっとよく分からない違和感を抱えて生きてきたような気がする。
「あなたと一緒にいるのはコノハナサクヤヒメ様よ」
え!浅間神社のご祭神の?コノハナサクヤヒメ?
「私たちは、結構しっかりした使命があるから、これから頑張ってね。」
と言って微笑む。私は思わず前のめりになって
「BOTの人達には使命はないのですか?」
と聞くと
「彼らは、明るく楽しく暮らして地球を軽くすることが仕事。だから、こうやって毎日パーティーして楽しむの。お金にも困らないし。とにかく地球人の生活に深く入らないのよ。」
と言うので、思わず
「え、毎日、乱痴気騒ぎするのですか?」
と聞くと
「逆よ。下品なことしたら、重くなっちゃう。とにかく軽くするのが仕事だから、たくさん笑いあうだけよ。」
と言う。確かに、何が可笑しいのかよく分からない話題で、ケラケラ笑っている。美男美女が楽しそうにしてると、雰囲気が明るく、軽い。
「ご使命をやっているんでしょ?」
と聞かれたので、先日の伊雑宮での経験を話した。全く驚きもせず、聖杯を運んだ人の話などをしてくれた。
「体重が増えたり、減ったりで体調管理が大変なのよね。」
と言ってくれて、ものすごく納得。10キロ増えて、10キロ減ったから良いけど、梱包材分のぜい肉が減らないことあり、10キロ増えて、5キロしか減らないと5キロ太ったことになる、とのこと。
「一生に一個、そうやって運べば十分だけど、あなたは健康で丈夫だし、たくさん運びそうね。」
と言いながら、嬉しそうに私をみた。
「エジプトで、可愛い白蛇ちゃんをたくさん連れてきたのね。1つ貰うわね。」
と言って、私を撫でた。エジプトの品の良い白蛇を渡せたらしい。
「困ったときは何でも相談してね。」
と言って、席を立った。入れ替わりに近くに座ってくれた美男美女と大きなスクリーンに映されたサッカーの観戦をして、その日はおおいに笑って過ごした。


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