身体が丈夫だけが取り柄の私なのに、1週間近く苦しんだ。体じゅうの発疹が消えるのに1週間かかった。でも、休むわけにもいかなかった。顔がかぶれてないだけでも不幸中の幸い。なんとか1週間を乗り切ったころ
「週末は浅草、また、三角ね。」
とのこと。調べてみると、浅草にも三本鳥居がある。
「こんな死にそうになったのに、また、行くんですか?」
と文句を言っても返事もない。
「命かけてまでやらないといけないのですか?」
と聞いても返事がない。テレビをつけると、アニメ呪術回戦というのがやっていた。高校生が呪術を学ぶ学校に通うことになり、いろんな悪者と戦っていくアニメだ。見ていて驚いた。私がよく見る、とばりや、戦いなど、そっくりだからだ。私が戦っている?ような世界線を知っている人がいるんだ。いや、今、もうアニメになっているから、相当、前から知っているんだ。他にも私のような体験をしている人がいるんだ、と思った。死ぬかもしれないと覚悟しながら戦う高校生の話に惹きつけられた。怖さと戦って、頑張っているのは自分だけじゃないかもしれない。ずっと孤独に思ってきたけど、仲間がいるかもしれない。嬉しくて泣いた。

朝早い浅草は静かだった。橋を渡り、墨田川沿いに歩いていく。犬と散歩する人や、ジョギングしている人などとすれ違う。この人達には、私が見えている世界は見えていないのだろうか。戦うこともなく、ただ、普通にのんびり暮らせるのだろうか。私は小さいころから、いろいろ大変だった。私に親のことを愚痴る人があっても、私の経験を少しでも聞くと、もう話してこなくなる。私より酷い話は聞いたことがない。それでも生きてきた。それでいいんだ、と自分に言い聞かせる。

 三囲神社は地元に根差していることが伝わる、明らかに地元の人に大切にされている、良い神社だ。本殿の奥に三角鳥居がある。井戸があったようだが、今は使われてないらしい。三角と水、そこに映る月。幻想的で美しい。水が枯れてしまうと、本来の機能が働かないというのが驚きでもあり、納得するところでもある。もう、すっかり、枯れ果てている感じで、邪気は感じない。でも、一応、開けるをして、麻紐を置いていく。前回の反省から、自分の首、手首、足首にしっかり麻紐を巻き、上下,麻の服を着て来ている。私としては臨戦態勢だ。幸い、今回は何にもなく、つつがなく開けるをして、帰ってくる。

 浜松に住む友人が遊びにおいでというので、浜松に向かう。姫神様たちが、めちゃめちゃ喜んでいる。友人は、北浜松を案内してくれるとのこと。最近崩れて気になる神社があるので、一緒に行こうとのことだった。他に、行きたいところあれば案内するとのことなので、姫神様に聞くと、
「秋葉神社!!」
との答え。
「何しに行くんですか?」
と聞くと、もじもじして返事しない。
「理由が分かんないじゃ行きませんよ。」
と脅してみると、
「秋葉神社の神様はカッコいい。」
とのこと。そこ?と思ってズッコケてしまったが、
「誰に似てる感じのカッコよさですか?」
と聞くと
「マッツミケルセン」
とのこと。
「ヤバ、渋いわ。カッコいい火の神様だわ。」
と思わず言ってしまった。

浜松駅は新幹線が止まるから簡単に行ける。静岡県だけど、名古屋に近い。そこの北にある山が崩れて、そこにあった高根神社の一部が崩れたということだった。金毘羅神社に車を停めて、歩いてみる。びっくりするような山崩れだ。右手に岩を登っていくと、頂上まで登れる。もとは多賀神社だったのが改名されたそう。古墳もあり巨石信仰を感じる場所だ。上まで登ろうと言われたが、それこそエネルギー焼けして登れなかった。おんな城主「直虎」のときにロケ地になったことでも有名。女優の柴咲コウが座っていた場面が印象に残っている。しかし、物凄いエネルギーでやられてしまい、一人でそこのベンチに座っていた。摂社が山崩れで流されたらしい。浜松の町を一望できる、とても気持ちの良い場所だ。品の良いおじさんが、しきりと土砂崩れした場所を覗いているので、
「なにか探し物ですか?」
と言うと、なんでも、ここには昔、ホピ族が住んでいて、その宝が、この土砂崩れで流されてしまったそう。ちゃんと祀ってほしいのだけど・・・と言う。頂上には坂の上田村麻呂の墓もあるらしい。私も、もう、ちょっとやそっとのことじゃ驚かない。へえ、ホピ族ねえ、坂の上田村麻呂ね、と受け流す。
「大丈夫よ。」
と姫神様たちが言うので、
「きっと大丈夫、なんとかなりますよ。」
とそのおじさんに声を掛ける。

そのあと、秋葉神社に行って、姫神様たちはキャッキャと喜び、楽しい旅になった。

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