神代三山陵のうち2つをまわってみたが、そこから、3つ目は遠いので、先に和気神社に行った。

 祀られているのは和気清麻呂。孝謙天皇の時代、女性の天皇だった孝謙天皇は道鏡というお坊さんに入れ込み天皇にしたいと言い出した。それでいいのかと宇佐神宮に聞いてこいと和気清麻呂が言われたのだが、血筋でないものが天皇になってはいけないとご神託を受けたといったので、道鏡は天皇になれなかった。それを怒った孝謙天皇が和気清麻呂を和気汚麻呂と改名したうえで、鹿児島の大隅半島に追放したのだ。
 なんか昔の喧嘩って、子供っぽいなと思ったりしながら、どんな神社だろうと想像を膨らます。
 
 そもそも神様は自分でどこにでも行けるのに、なぜ、私と旅をするのですか?と改めて疑問に思い、問いかけてみる。

 人間は善悪の二元論で考えがちだが、神様には「愛」しかないとのこと。例えば、太陽は何の報酬もとらず、何の判断もせず、全ての人、全てのものに平等に、公平に降り注いでいる。それでも、陽に当たることを避けて育つ植物があったり、陽のささない所でも、いろんな工夫をして生きている生物が沢山いる。同じように、神様が(いるとしたら)すべてのものを等しく愛し、慈しんでいる。にもかかわらず、愛を届けられないことがある。そこに届けるために、動ける人間の力が必要な場面がある。そのために、私と組み、私を鍛え、必要な場所に光を届けたいのだ。ということだった。私はわりと良い子で、悪い子においしいところを持っていかれて損するタイプなので、なんか、悪い奴は助けなくていいんじゃないかとか、思ってしまうのだが、そうじゃないらしい。

 和気神社の駐車場は藤棚が見事だった。本殿の奥は深い山、右手に降りていくと、川と滝。これって、これって、鬼滅の刃の世界ではないかと驚いた。主人公の男の子が鬼と戦う鬼殺隊に入って、一人前になるテストをするときに入った山にそっくりだ。藤が咲くところには鬼は近づけないので、そこは安全地帯で、そこから、山に入り、鬼を倒し、無事に藤棚に帰ってこれたらよし、というようなテストだったと思う。
 なぜ、ここに和気清麻呂は祀られているのか、なぜ、ここに坂本龍馬は来ているのか。

 ここは色んな人が修行していました。とのこと。

 ではなぜ和気清麻呂はここに祀られるのか、と聞くと、それは彼が魅力的な人間だったからでしょうとのこと。藤原百川にそそのかされて、道鏡はダメという意見を述べたけど、本当に正しいのは何か悩み続けていたとのこと。道鏡について、もっと調べて勉強してから質問しなさいということだった。

 坂本龍馬はしばらくここに滞在していたということだったが、それは、ここで、優秀な人材のリクルートをしていたとのこと。これについてはエビデンスを探すことは無理だと思うということだった。

 意味もなく、こんなところには来ないよなと思いながらも、そよ風に揺れる藤の花を見ているだけで、とてつもなく幸せな気持ちになれた。

 せっかくなので、犬飼の滝にも行ってみた、結構な段数の階段を降りなくてはいけない、ということは帰りは逆に、この階段を登って来なくてはいけない。おっとりさんと、奥さんは車で待っているというので、健脚2人で降りていくことにした。蒼くそびえる高千穂峰を背景に高さ36メートル、幅22メートルの大迫力の滝だ。鹿児島は自然がダイナミックだ。力強く、キリっとしている。素晴らしいものを見れて大満足だったが、帰りの階段はめちゃめちゃ大変だった。

 私がロケットが好きで、種子島に行きたいんです、なんて話をしていたら、奥さんが
「うちのうらでロケット飛ばしてます。あそこは住民税がかかりません」
と言い出した。え?お宅の裏でロケット飛ばしてるの??大富豪なの??
しばらく、お互いに嚙み合わない会話を続け、やっと「内之浦」という地名の所でも、種子島とは違う種類のロケットを飛ばしているということが分かった。

 そのあと、鹿児島市内に行き、天文館という繁華街に行き、ラーメンを食べた。くろいわという所が美味しいということで、行ってみた。最初に大根のお漬物が出て、これがめちゃめちゃ美味しい。これだけでお腹いっぱいになりそうなくらい食べた。ラーメンも美味しかった。暑くなったので、冷やそうということで、かき氷の名店、むじゃきに行った。シロクマというアイスをコンビニで買って食べていたが、それとはレベル違いの素晴らしいかき氷だった。近場の銭湯も楽しんだ。

 翌日は、新田神社に向かったが、途中でどうしてもナビがきかなくなり、同じ道をぐるぐるした。しかも、どうしてもトイレに行きたくなり、お花摘みをすることになった。近くにおっとりさんの母校の養護学校があるとのことだったが、間に合わず。車から出て、人目を避けるところを探し、上を向くとびっくり。何重にもなった帳(とばり)が見えたのだった。


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