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夫婦でお片付け

割引あり

毎日時間に追われている方を対象にした、時短に的を絞った片付けマニュアルです。このマニュアルにそって効率化をすすめれば、きっと自由な時間を手に入れることが出来るでしょう。長い文章ですが暫くお付き合い下さい。


【第1章 片付けで自由時間を生み出す】

プロローグ


 疲れて仕事から帰ってくると、リビングはおもちゃや脱ぎっぱなしの服でぐちゃぐちゃ。妻も3人の子育てとパートで座る暇もないほど忙しいと分かっていながら、帰宅後つい小言を言ってしまいプチ喧嘩。
 汚い部屋は無意識のうちに脳がストレスを感じてしまうし、部屋が片付いていれば家事も効率化するのに、妻は何故わかってくれないのだろう?片付けに関して長年にわたり夫婦でバトルしてきた経験を皆さんに生かしてもらうため、恥を忍んで事の詳細を赤裸々に書いていきたいと思う。
 


片付けマニュアル作成のきっかけ


 つきあっていた頃から、妻の車には無数のぬいぐるみや、いつ買ったかわからないものが散乱し、ゴミ屋敷まではいかないものの二人乗るのが精一杯となっていた。妻が片付けを苦手にしている事は把握していたが、一緒に暮らすようになれば片付けなんてすぐに出来るようになるだろうと甘く考えていた。正直なところ、20年にわたり夫婦喧嘩の原因になるとは夢にも思ってもいなかった。妻は家計の管理も苦手としており、贅沢品を殆ど購入しないにもかかわらず、不思議なことに何故かお金がどんどん減ってしまっていた。また、子育ても同様で、子供たちの欲するままに好きなだけ食べさせていたため、3人の子供のうち2人が肥満となってしまい、当然ながら妻も結婚当初よりもかなり横に大きくなってしまった。
 妻の名誉の為に記すと、いつも朗らかで誰からも愛されており、恥ずかしながら新婚当初から変わらず妻と会話する時間が今でも一番楽しい。忙しくて時間が無いと言う妻に、ゆっくりと夫婦で話をする時間を作ってもらいという思いが、今回の時間を生み出すプロジェクトのモチベーションとなっていった。結果として家事の効率化が進み、妻は自由に使える時間を手に入れたのだが、その時間は子供と遊ぶ事と睡眠時間に充てられ、私との会話は増える事はなかった。
 

ワンオペを体験して時短の必要性を再認識


 本好きな家庭で育ったため、結婚するまで読書が苦手な人がいる事を知らなかったが、妻は本を読むこと自体を苦痛に感じている。そのため、世の中に片付けや時短に関する本は溢れているにも関わらず、何度お願いしても頑なにマニュアル本を読むことを拒んでいた。
妻は大学から一人暮らしをしていた事もあり、実母や姑(私の母)から家事の基本的な知識を教わる機会もなく、自己流で行っていた家事レベルは20年たっても中々向上しなかった。私も一人暮らし歴が長かったので家事は一通り出来るが、仕事の関係で平日に家事を行う時間もなく、週末も少年団でサッカーのコーチをしており、妻の負担は増える一方だった。
 お互いの意識のすれ違いがMAXになったある日、久々の大げんかとなり私は妻に対し全ての家事を自分が行うと宣言した。直後にインフルエンザで妻が三日間床に伏せった事から、はからずも宣言通り私が家事を全て行う事になった。考えてみると夫の協力が得られないワンオペの女性からしてみれば当たり前のことで、珍しくはあるものの自慢するようなことではないのだが、正直これほどワンオペが大変だとは思わなかった。世のワーキングマザーを心から尊敬した次第である。こんな大変なこと毎日なんてとてもやっていられないという思いから、何とかして家事を効率化してみようと心に誓った。暫くたったある日、さすがにまずいと思ったのか、妻も自主的に片付けに対して正面から向き合うようになっていった。20年間避けてきた片付けのマニュアル本を読み始めたのである、漫画ではあるが(笑)。
 ようやくやる気になった妻と一緒に、私の知識をフル活用して大掃除や模様替えを行った結果、お互いの家事の分担も自然と決まり、部屋は綺麗な状態を維持出来るようになった。現在では妻は8時間の睡眠時間を確保しており、体調もすこぶる良いようである。また食事の内容を標準化した結果、はからずも家族全員が自然とダイエットに成功し、肥満と判定されていた二人の子供達も標準体重に戻っていった。
 


片付けは妻の仕事?


 妻に読んでもらいたい本を探そうと、Amazonの読み放題プランで片っ端からマニュアル本を読破していた際に、大きな違和感があった。それは主人公が全て女性であったことである。家族を巻き込んでとか、子供と一緒にするなど様々な切り口があるものの、いずれの場合でもすべて主役は妻(女性)一人であった。ぐうたらな夫に対しての対処や、オタクな夫の増える一方のコレクションへの対策など様々なノウハウは書いてあるものの、何故か片付けは妻の仕事と決めつけているようである。フルタイムで働いて家事や育児も殆ど一人でこなす日本の女性に、何故それ以上の事を求めるのか? 楽天マガジンでも片付け関連の記事を検索していったが、女性誌では定期的に収納の特集が組まれているものの、男性誌で目にすることはなかった。男女平等が叫ばれるようになり、男性誌でも料理に関しては特集が組まれるようになったが、片付けに関しては令和の時代になっても“女の仕事”のままである。
 世の男性も仕事の中で業務の効率化について日々取り組んでおり、メーカー系であれば5S、トヨタ生産方式、標準化などの生産効率化の知識は豊富だと思う。その効率化の知識を家庭に応用できれば、片付けの問題なんてあっというまに解決してしまうのではないだろうかと閃いた。もし業務で効率化に取り組んだ経験があれば、それは間違いなく家の片付けにも大いに役立つはずである。
 こんな事を言っていると、カンバン生産方式なんて片付けにどうやって応用するの?という声が聞こえてそうだが、我が家の料理を例をあげると、解凍/再加熱/容器を洗う手間などに時間やコストがかかり、料理にかかる合計時間が増えてしまっているにも関わらず、妻は週末になると大量にストックをつくって、せっせと保存容器に積めて冷蔵/冷凍していた。その結果、いつ作ったかもわからない食べ物が冷凍庫を占領し、冷蔵したものも結局余ってしまうか、無理してたべることになって体重増加の原因となっていた。
 多くの企業が採用しているトヨタのカンバン生産方式のように、週末のストック用の料理を止め、毎日必要な分だけ作るようにすることで、本来不要なストック品の解凍や保存容器の洗浄といった作業を減らすことが出来、調理時間の大幅な短縮となった。正直なところ、時短の為に半製品と呼ばれるパン粉が付いた状態のアジフライ等を買う機会は増えたが、週末にずっと台所で過ごす妻の姿はなくなっていった。
 

片付けの目的って何だろう


 マニュアル本や女性誌に目を通していると、片付けする目的が効率化とは程遠い事が多かった。部屋が綺麗になったので友人を招いてアフタヌーンティーを楽しんでいる等、常に時間に追われている子育て世代の庶民からしてみると、女性誌の優雅な生活はあまりにも現実味がないように思われた。
我が家の場合、夫婦とも時間に追われて家事を効率化しないと生活が立ち行かなくなり、もっと睡眠時間を増やしたいと切羽詰まった理由が片付けしようとする動機だった。
 片付けをすると何が良くなるのだろうか? ここで一度企業の視点で考えてみて欲しい。標準化をおこない在庫を圧縮すればコストダウン出来るし、“見える化”して無駄な作業を減らしていけば、多くの時間をより重要な案件(子供と向き合う時間など)に充てる事が出来る。企業は最小の人員で生産して、より多くの利益を出すために、常に効率化しようと日々努力している。
 皆さんも何のために片付けを行うのか一度立ち止まって夫婦で話し合って欲しい。一見無駄な事のように思えるが、方向性を一致させる事は最初の段階で何よりも重要な事である。例えば夫がミニマリリストを目指している一方で、妻が見せる収納に拘っていたら失敗する事は目に見えている。まずはゴールのイメージを共有化してほしい。また、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)では当たり前に語られている事ではあるが、床に物が散乱していると転んだりしてケガの元になる。小さな子供達やお年寄りに安全な環境を提供する上でも、自宅こそ片付けを徹底すべきだと思う。
 ここで声を大にして訴えたいのは、片付けの本当の目的は家全体の効率化である。これほど需要な事を妻一人に押し付けてよいはずがないし、夫婦で一緒に行えば、家族全員の自由時間を増やすことが可能となる。
 


見栄えの良い収納と効率的な収納は必ずしも一致しない


 片付けに関する民間資格のホームページを見た際に、クリアボックスの中に満杯に服が詰め込まれているのを目にした。もちろん綺麗に折りたたんであるので見た目は美しいが、実際に着ようと思って服を取り出そうとすると、他の服も引きずられてすぐに崩れてしまうだろう。そもそも満杯に詰めてしまっているので手を入れるスペースさえ無い。取り出しやすい事を最優先するため、収納する物の割合は容量の8割までに抑える事が効率化では鉄則なのに、厳禁とされている事が普通に推奨されていることに驚いてしまった。このような自称専門家にアドバイスを受けてしまっては一瞬見栄えの良い状態になるものの、あっという間にリバウンドしてしまうだろう。

取り出すと崩れてしまう収納例


 因みに片付けには様々な民間資格が存在する事が分かったが、たった1日で取れる資格にもかかわらず、受講費用が2~3万円となっているところが多かった。私が保有している日本サッカー協会の指導者資格は、体系化されたカリキュラムに従いインストラクターから13回(計50時間以上)の実技指導があったが、費用はたったの6万円である。それでもまだまだ半人前の指導者と自覚しており、年に数回は講習に通っている。怪しげな整理収納の民間資格よりも(なかにはちゃんとしたものもあるとは思うが)、トヨタ生産システムなど企業の生産性向上を目的とした方法の方がしっかりと体系化しており内容も深いので、生活の効率化に生かせる部分が多いと思っている。
 ある女性誌ではハーブなどのおしゃれ調味料をガラス容器に詰めて5個縦に重ねてスタックする方法を紹介しており、減った量もわかるし場所も取らない収納方法と絶賛していたが、揚げ物をよくする我が家からするととても考えられない事である。どんなに換気扇を強にしてもやはり揚げ物をすると周辺はべとついてしまうし、掃除をする人ならわかってもらえると思うが、ガラス容器についた油汚れはふき取り難いし拭き残しも目立つ。そもそも一番下の調味料はどうやって取り出すのであろう。作業の効率化では物を重ねない事が鉄則とされており、女性誌や片付け講座で紹介される見栄えの良い(魅せる)片付けは効率化とは逆の事を行ってしまっている。魅せるためではなく時短に結びつく効率的な片付け方法について言及している本は、私が目にした限り半数以下であった。効率化の観点で間違った情報を打ち消したいという思いが、今回片付けマニュアルを書こうとした一つの動機となっている。
 

時間を生み出す


 よく言われていることだが貧富や性別にかかわらず人に与えられた時間は1日24時間しかない。お手伝いさんなどを雇う余裕があれば時間を買う事も出来るが、そうでなければ自分で時間を生み出すしかない。生活の時間は以下の表のように大きく三つに分けられるが、片付けをする目的はルーティンワークにかかる時間を徹底的に圧縮する事である。もし現段階で本当に余裕がない状況であれば生きてくために必要な時間を確保することであり、多少余裕がある状況なら自分の自由時間を増やす事である。効率化に成功すれば寒くて布団から出られない朝の二度寝だって夢ではない。
 
 

三つの時間

【第2章 片付けを成功させる為のポイント】


 さて、片付けの処方箋を求めていると思うので、前置きはこれぐらいにして本題に移っていきたい。片付けを成功させるポイントは以下の三つだけである。
 

成功のポイント1:必要な知識を学ぶ


 片付けに必要とされるのはやる気ではなく知識である。まずは夫婦で一緒の片付けの本を読んで、どのような家にしたいか話し合うことをお勧めする。いきなり他人の本に委ねるのは無責任に聞こえるかもしれないが、このNOTEは時短と効率化に特化しており、おしゃれな収納などは目指していないので、御自分の志向に合ったマニュアル本を選んでいただければ良いと思う。もちろん目指す方向性が同じであれば、これからも読み進めていただきたい。
 このNOTEを記す際に何冊もマニュアル本を読んだが一部の悪書を除いて、内容や手法はどれも似通っていた。あえて本を選ぶ際のポイントを説明すると、

(A)著者と年齢や家族構成が似ているものを選ぶ。
子育てが終わった世代の整理収納アドバイザーの本が数多く出版されているが、とてもそんな悠長なことはやっていられないというのが正直な感想だった。余生を楽しむための整理収納と、子育てで時短を目的とした片付けは必然的に目的が異なるので、自分にあったものを見つけて欲しい。

(B)見栄えに拘った(魅せる)収納を謳ったものを避ける。
魅せる収納はヒマラヤ山脈の8,000メートル級の難易度である。素人が挑戦したら間違いなく遭難(挫折する)。物が多ければ埃もたまりやすく、地震の際に物が散乱する危険性も高い。

(C)片付けではなく大掃除の本となっているものを避ける。
片付け=継続”にも関わらず、一過性で片付けの本質に到達する前に終わっている本が一部で見受けられた。間違いなくリバウンドするので避けた方が良い。

(D)体系的にまとめられている本を夫婦で一緒に読む。
20年ほど海外ビジネスに携わっているが、“聞き流すだけ“とか”1週間でペラペラ“といった教材で英語が話せるようになった人を見たことがない。読むのはしんどいかもしれないが、体系的にまとめられた情報量の多い本を選んで欲しい。妻のように読書な苦手な人はまずは漫画からスタートすることをお勧めする。尚、くれぐれもネットで記事を探さないで欲しい。かなり検索したがどれも内容が薄すぎるし体系的にまとめられたものは皆無でお勧めできるものは一つもなかった。尚、夫婦で同じ地図に従って進むことが重要なので、是非同じ本を二人で読んで会話するところから始めてもらいたい。
 

成功のポイント2:三つのプロセスで分けて進める※重要


 
多くの人が一度に全部やろうとして失敗しているが、”大掃除”→”模様替え”(収納を見直す)→”片付け”と三つのプロセスで分けて進めることが何よりも重要なことである。片付けとは物を元に戻して綺麗な状態を維持する作業である。企業に努める皆さんなら5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の標語がどこかで目にしたことがあるだろう。5Sは片付けの本質だが、大掃除と模様替え(収納の見直し)は5Sの前の段階である。片付けのマニュアル本の中にはこの三つのプロセスを混同して書かれているものがあったが、大掃除と模様替えを一緒に行ってしまうと、物をどこにしまったか分からなくなってしまい、結局物が散乱してしまう。これではリバウンドの原因を生み出すだけである。大掃除をして不要なものを減らし、模様替え(収納の見直し)で導線を良くしながら物を収納しやすい状態にして、初めて継続的な片付けの段階に至る最初の段階では大掃除だけを行えば十分である。
 

成功のポイント3:焦らず、完璧を目指さない


 断捨離など劇的なものが世間では好まれるが、強力な薬に副作用があるように、必ずリバウンドしてしまう。皆さんも年末の大掃除の後、あっという間に元の状態に戻った経験があるはずである。繰り返し行う事によって習慣化して身につくものなので焦らずに進めて欲しい。人が物事を習慣化するまでには3週間必要とされているので、少なくとも1か月の長期スパンで考える事をおすすめする。
 また、パレートの法則という言葉を聞いたことがあると思うが、「80:20の法則」ともいわれ、20%の商品が全体の売り上げの80%を占めるなど営業関係でよく使用する経験則である。片付けもこれを意識して進めてほしい。家でも使用頻度の多い20%の場所や物の整理が進めば、大方の80%は効率化できているはずである。忙しい現代人が全ての部屋の片づけを短期間に行うのは困難なので、優先順位をつけて、まずは気になった20%のところにターゲットを絞って始めることをおすすめする。スタートさせることが肝要なので、ハードルは低いに越したことがない。
 

片付けの効果


 では片付けにはどれくらいの効果があるのだろうか。元々効率の悪かった我が家では1日当たり1時間程度の短縮効果があったと把握しているが、ある程度出来ている皆さんのところであれは多くて30分程度ではなかろうか。大きなことを言う割に効果が薄いといわれるかもしれないが、私が自信を持って言えるのはせいぜいこの程度である。しかし1日30分でも年間に換算すると182時間となり、睡眠時間を考慮すると11日分の自由時間があなたのものになる。私がパパさんコーチとして週末も少年団の活動を行いながら、このように長文のNOTEを書く事が出来るのも、夫婦で効率化を行って自由な時間を生み出すことが出来たからである。
 さて、ここまで長い文章を読みすすめてくれた人であれば片付けはもう80%成功したと言える。重い腰をあげて片付けを始めようとしたあなたは既に成功目前なので自信を持って欲しい。挑戦が上手くいけば成功となり、失敗しても成長につながるので、あなたがやろうとしていることは絶対に無駄にはならない。
 

各プロセスにおける効率化の効果

【第3章 大掃除の方法】

片付けを始めてみよう

 ここからは具体的な方法について一緒に考えていきたい。始めに断っておくが片付けが出来るようになるまでには前述のように1か月は必要となる。脳科学で人がものごとを習慣化するには3週間必要ということが分かっており、筋トレやダイエットのように地道に続けていくことになる。やる気モードになって全力で進めても途中で息切れするだけなので、マラソンのようにペースを乱さず最後まで走り抜けて欲しい。
 
 これからは大掃除、模様替え、片付けの三つに分けて説明していくが、まずは最初のテーマである大掃除について、多くの人が誤解している事実について述べたい。それは”ものが多い≠雑然としている”という事である。図書館と無印良品をイメージしてもらうと分かり易いと思うが、どちらも物に溢れているものの、雑然としていると感じる人は極僅かであろう。むしろ整然としていて心地よい空間と感じられる方が多いと思う。ものが多くても統一感があれば心地よい環境はいくらでも作れるのである。断捨離も結構だが、好きなものを無理して捨てる必要はなく、今の生活の延長線上で快適に過ごす方法を考えていきたい。
 

大掃除基本メソッド1 ゾーニング


 片付けとは物をもとに戻す事と伝えたが、あなたが住所をなくしてしまうと迷子になって家に帰れないように、物にも住所が必要である。大掃除を行う際に、まずは都道府県レベルで(大まかに)住所で分ける(ゾーニングする)事を考えて欲しい。図書館が整然として感じられるのはゾーニングが完璧だからである。もしテーマごとでなく本があいうえを順だけで陳列されていたら、本を探す手間は今とは比較にならないはずである。
 
おそらくこれを読んでいる人のリビングのチェストはこんな感じであろう。


ゾーニング前


 
以下のような感じに大雑把にゾーニング出来れば十分である。

ゾーニング後


 
 単純にゾーニングは使う人→分野の順で分けていけば良い(次男のスペース→学校用とプライベートに分ける)。我家の例では妻の引き出しには何故が調味料のサンプルが入っていたり、幼稚園の何年も前の会報誌が入っていたり、とにかくゾーニングの部分に問題があった。妻が片付けを初めると、今までの反動なのか何故かものすごく細かく(市町村レベル)分けていった。何度も繰り返すが片付けとは元に戻す事である。幼稚園の道具は右上だったなと分かるようになっていれば十分である。逆に細かくしすぎるとどこに戻せば分からなくなって非効率である。皆さんも都道府県の名前はすべていえると思うが、市町村の名前を全て言える人はいないだろう。どこに入れたか覚えられる範囲で、大雑把に分ける事が効率化にとっては重要である。
 

大掃除基本メソッド2 スタメン/ベンチ/2軍/育成の4つに分ける。


 片付けのマニュアルの中に魅せる収納を謳ったものがあるが、あれに手を出すことは絶対にやめた方が良い。無印にも多くの魅せる収納グッズが置いてあるが、掃除はしにくくなるし、物があふれる原因となってしまう。これから片付けを学ぼうとする教習所の段階で、F1に乗ろうとしているようなものである。5Sの基本通りすぐに使わないものは収納して、毎日使用する最低限ものだけを外に出すようにしていきたい。

 妻にはプロ野球を例にアドアイスしたが、この説明が最も分かり易かったようなので皆様にも同じように説明していきたい。ご存知のように野球は9人でするものだが、育成選手(二軍の試合にしか出られない)を入れると1チームあたり80人程度の選手がいる。この中でベンチに入れるのはわずか25人だけである。食器に当てはめると、毎日活躍するお茶碗などコップなどは”スタメン”、パスタ皿やどんぶり茶わんなど週に1、2回登場するのは”ベンチ”、来客用の大皿やおせち用の重箱など年に1~2回登場するものは”2軍”、今まで使ったことの無い頂きもののティーポットや観光地で買ってきた和食器などを”育成選手”といった感じに4つに分けてもらいたい。断捨離だとスタメン以外は全て捨てることになるが、プロ野球でも80人の選手がいるくらいなので、たとえ年1回しか使わない食器でも2軍以上は残しておけばよいと思う。
 上記のように仕分けるとおそらく似た用途の食器が多いという事に気が付くはずである。我が家も引き出物などでもらった20㎝程度の大きさの皿やグラスが山のように出てきた。まずは用途が同じこれらの食器を手放すだけで随分とすっきりするはずである。出来ればこの段階でここ数年使用することが無かった、育成枠のティーポッドや和食器については、本当に使う見込みがあるか吟味して欲しい。元々高価なものの場合捨てにくいかも知れないが、リサイクルショップやメルカリで販売してみてはどうだろうか。ブランド品なら意外と良い価格で引き取ってくれる。もちろん新婚旅行で買ったものなど思い入れのあるものなら、例え使う機会がなくても大切にとっておくことをお勧めする。大して場所はとらないので、選手としての活躍はなくとも唯一無二の存在として大切に保管して欲しい。
 衣服も同様に毎週着るものは1軍、ちょっとしたお出かけの際に着るものをベンチ、冠婚葬祭に着るものを2軍、痩せたら着ようと思っているものを育成といった感じで分けていくと整理がはかどるだろう。
 効率化にとって重要な事は物を減らすこと自体ではなく、使用頻度に応じて取り出しやすいところにしまう事である。収納スペースが不足していて床に物があふれていれば別だが、既存の収納スペースに全て収まるようであればそれ以上減らす必要はない。後の章で詳しく説明するが、最も取り出しやすく収納しやすい場所にスタメンを置くと即”時短”に結びつく。反対に滅多に使わないものは高い位置や奥まったところに収納し、場所だけを覚えておけば十分である。忘れてしまう場合に備えて扉の裏に‘奥にパーティー皿あり’などと付箋を貼り付けておいてもよいだろう。我が家のキッチンでは、引き出し一つと棚二つにスタメンとベンチが全ておさまったので、他の引き出しや扉を開ける機会がなくなり、殆ど歩かずに料理が出来るようになった。
 

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