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ミシンがタッセルを吐いた。

 三年前に一万円で買ったミシンが今日、ぶっ壊れた。

 分厚い布を無理して縫っていたら、タッセルかなっていうくらいいぶっとい毛束を吐き出してガゴガコとすごい音を立てながら、俺、もうヤダというように壊れた。そんな気がするくらい、扱いが雑だった。というか、私の手芸が下手過ぎて色々と無理をさせた。

 保証期間はとっくに過ぎている。近眼老眼軽い斜視ありの自分は、裸眼、眼鏡のうえから老眼鏡、眼鏡と3つの視力に切り替えながらいろんなものを縫ってきた。といっても布は高くてほとんど買えないから、古布再利用で小物ばっかり。いちばん大物が半袖シャツなんだが、着にくいのでずっとハンガーにぶら下がっている。

 裁断ミスなんて日常茶飯時、 針が顔に刺さったり腿に刺さったり、一度として無事に済んだことのない手芸生活だった。本当にもう、疲れたぜ。なんでこうなの、自分。

 そんなだから、ミシンが壊れたのは少し寂しいけれどもようやく開放された気分なのだ。ミシンもそうかもしれない。

 最近じゃあ、あんまり本も読めなくなった。少し前に69冊海外文学読むとか鼻息飛ばしていたけれど、一冊読んだだけだ。
 いまは漫画を読んでいる。数十年ぶりに漫画を読む才能が戻ってきたことは嬉しいが、読める漫画は少なくて、周回遅れで『よつばと』にはまってしまった。あとゴールデンボンバーにはまってしまった。じっと聴いていると、鬼龍院翔さんの声は中学生のころに好きだった村下孝蔵さんに少し似ている。

 高校受験当日にぶち当たってコンサートに行けなかったことが懐かしい思い出だ。

 好きなものを探す道のりは、生きているとどんどん細くなる。私の場合だけど。どんどんどんどん細くなって、最後に残るものはなんなのかなあ?


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