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子どもたちの目線

夫が倒れてから、毎日めそめそ過ごしているのは家の中で私だけだった。
子どもたちにとっては、今生きてるかどうか、今楽しいかどうか、それだけが大事で、大人の私みたいに将来のあれこれを心配をして悩んだり、暗い気持ちになったりしてなかった。

手術の翌日、失語が分かったとき、私はこれからの彼や家族の人生を想像して、どれだけ大変なのか検討もつかず、ものすごく不安になった。でも、息子は「あー、生きてて良かった!」と大きな声で言ってくれた。私は失くしたものしか見てなかった。彼は今あるものを見てた。
娘は、前と変わらず、友達が誘いに来ると楽しそうに遊びに行くし、ゲームや漫画に本気で集中して、ケタケタかわいい笑い声をあげてた。今、何をしたいか、何が楽しくて、何が楽しくないか、それだけだった。

この、五味太郎さんが言ってることがまさにそうだった。

子どもって、未来に対して生きてないから。子どもって本当に今を生きているんだよね。大人は、来週のために、来月のために生きている。

絵本作家・五味太郎「きんぎょが にげた」など “絵本を変えた”独創性の源は | NHK

今を生きているから、今楽しいことがたくさんみつかる。今楽しいことを優先しているから、次楽しいことが見つけられる。
私たちは共働きで、生活を回すだけでやることがたくさんで、会社では来週、来月、来年までに何をするかばっかり考えて生きてた。いろんな無理が積もってた。夫が倒れたのは、きっと、それが限界にきた結果なんじゃないかな。

苦しくなったら、生物ってやっぱり逃げるのがいいよね。ここは違うと思ったら、動かないと危ない。今を生きている、今を楽しいということを、もうちょっと意識したほうがいいかもしれないなって、余計なお世話だけど思う

絵本作家・五味太郎「きんぎょが にげた」など “絵本を変えた”独創性の源は | NHK

私たちも、もっと早く逃げたらよかった。もっと「今」が楽しい生活を選択できてれば良かった。最近はそう思う。
子どもたちがいてくれて、本当に良かった。

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