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ファンタジー短編小説2

紀淡のリリー12


刺身の盛り合わせです

オホーツクの真烏賊|《まいか》に

時しらずです

舟形の木の板に

下駄の歯がついているだけの

純朴な器に

百合が添えた 桂むきと人参の飾り切り

摺り下ろし生わさび

祖で優雅な 隠し美である


桃とみゆうは

写真に納めて メモを取ると

顔を見合わせて

あいづちを打ちながら

楽しそうに 食べている

オホーツクブルー

おかわり下さい


オホーツクブルー

中身は なんでしょうか

このネーミングは・・・ほろ酔う程に ふたりは

記者になりきってしまう

グラスはちいさな オホーツクの海

砕氷は 流氷です

ベースは アムールの水で造った

ウオッカに るり色は 海の色の

ブルーキュラソー

オリーブは ふるさと 小豆島産です


健のふるさとは 小豆島

先ほどの ハートの葉といい

オリーブの実といい

百合は もういちど まじまじと

健の横顔をのぞいていた

父の漁場だった 小豆島

どうして どうして

わたしと 今ここで

オホーツクの海の見える場所で

めぐり逢ったの

<続く>

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