見出し画像

ファンタジー短編小説2

紀淡のリリー


オリジナルのカクテルがあるそうですが

アラサーティの女性二人は 尋ねる

はい ございます

オホーツクブルーに流氷です

百合が答えると

それじゃオホーツクブルーをふたつ

何やら手帳に メモを取る二人

料理本の記者かもしれない

もしかして 健は 有名な

隠れた料理人?

百合は そう思い始めていた


料理は 沙流岬 ワンメニューです

こちらのきめたものしか お出ししません

よろしいでしょうか

健は 悠悠として

客に媚|《こび》る仕草を いっさい見せない

それで 結構ですよ

ふたりづれは 楽しそうに のみながら 待っている



今朝 紋別港に上がった

青ゾイの ポワレです

本日のゾイは メバル

今が旬でございます

外はカリカリに

中は レアーに焼いてあります

付け葉は

小豆島のハートのオリーブの葉です

百合は はっと驚いて

よく見ると美しいハート形の 葉であった


ふたりづれは 桃とみゆうと名乗り

美味しいわ 素材が生きてるわ

初めての味よ

とはしゃいでは のんでいる

しっかりと 食べる前に

写真を撮ることを 忘れてはいない

まちがいなく

グルメ旅の 記者にちがいない

それにしても ステキな 品のいい

旅人である

<続く>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?