季節は待ってくれない

最近、祝福すべきことがあった!報告させて欲しい。この度わたくしは、初めて人生のレールから外れる選択をしました。と言いましても、たかが半期の休学になるだけなのですが。ちなみに、それからどうするかは全く考えていない。

ただ、それでもいいと思えるくらい、自分の人生にこだわりが無くなったのだろうとも思う。また同時に、「何とか生きていける」ということも分かったのである。これはたいへん、たいへん大きな1歩だ。素晴らしいことである。

それまではすべて決めて生きていた。旅行だって基本的に動き方を決めていかなければ落ち着かなかった。決めたことをそれ通りにこなすことが楽しくて仕方なかった。だから、人生もそういう風にしたらいいと思っていた。

でも、そうはいかなかった。あんまり調子が良くなかったりするんだ。躁うつ病だから、なかなか調子を整えにくい。非常に大変だ。しかし、それでもいいのである。それも、なんだかんだで楽しいものである。

ちょうどひと月前、恋人ができた。おもしろくて、ひどく繊細に見える人だ。ただ、とてもかわいらしい人だとも思う。彼と知り合ったのは今年の冬のおわりだが、そのときはその前の恋人と別れたばかりで、到底つぎの人を探す気にはなれなかった。それでも彼は飽きずにわたしとずっと話してくれた。それだけでもすごく嬉しくて、彼っぽく言うと「たすかって」いた。

なぜ急に付き合ったんだよといわれたら、彼が見せてくれた彼の文章に理由のひとつがある。内容は内緒にさせてほしいんだけれども、「裸足でアスファルトを踏んだら、足の裏にはオレンジ色の暖かさが伝わる」みたいな表現があった。プール学習の後などに、裸足で踏んだアスファルトからはたしかに「オレンジ色の暖かさ」が伝わったことを思い出した。その文章を読んで、ぐっと心をつかみ直されたような気持ちになった。あの感覚をそのように表現する彼の素直な感性が、たまらなくいとおしくなった。「こんなふうに言葉と向き合える人といっしょにいると、ゆたかな時間を過ごせるのかな」と、冗談抜きで思えた。だから、彼に付き合いたいと伝えた。

ただ、恋というのはたいへん厄介なものでもある。たちまちその人だけで頭の中が満たされるような気持ちになってしまう。冴えない感じが続くし、甘い空気が充満したような気持ちになる。

最近、「きみが死ぬときに思い出す女の子になりたい」という歌を見つけた。2016年にさめざめというプロジェクトからリリースされた歌だ。笛田サオリさんという方が主導らしい。この歌、すごいのだ。「女の子」目線から描かれているはずなのに、性だとか、彼氏に対してぐいぐいいく様子が描かれていてすごく新鮮だ。

もともと、一面的な作品があまり好きではなかった。たとえば、アンパンマンのような勧善懲悪のストーリーには「悪役」が存在している。しかし、やはり人間(やつらはパンとか菌とかだけれど)はそんな単純では無いので、悪にも悪なりの事情があるのでは無いのかと思ってしまう。だから、ドラクエでいうと4や9のような、手段は間違ってしまったが、決して根は悪くないやつが存在するお話がすごく好きなのだ。

だから、この歌がいう女の子の多面性というか、「かわいいだけじゃない、その分苦しみや切なさも十分というほど抱えて生きている」ような表現がバッチリ気に入ったのだ。たいへん良い歌、みなさんも是非聴くように。

何を書きたくなったか分からなくなって終わるのが、恒例の流れになってしまったわたしのnoteだが、読んでくれてありがとう。じつはそんなきみにもたいへん「たすけられて」いるよ。

じゃあまた、冬の寒さが深くなった頃に。

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