シャボン玉の空 小さな虹の秘密
自転車に乗って公園を横切っていた。
スピードを上げようと頑張っている私の前に、ぽわんと現れた。
一瞬、びっくりして自転車を止めるとそれは目の前をいかにもゆっくりと、まるで公園の散歩を楽しむようにフワフワと飛んで行く。
シャボン玉。
大きくてびっくりしたが、確かにシャボン玉だ。
公園の真ん中の芝生の広場でお父さんらしき人と子供が二人、手に持った団扇のようなものからたくさんのシャボン玉を飛ばしていた。
キャッキャッと笑いながらシャボン玉を追いかける小さな子と一心不乱にシャボン玉を量産するお兄ちゃん。
お父さんは、大きなシャボン玉を作ろうとゆっくりと慎重に団扇を振っていた。
他には誰もいない公園で、3人はたくさんのシャボン玉に囲まれて楽しそうに笑っている。
生まれたシャボン玉は、初めて見る世界が珍しいのか、あっちこっちにフラフラ飛び回って遊んでいる。
沢山のシャボン玉達からも、歓声が聞こえてきそうだ。
虹色に輝くシャボン玉。
いくつかはすぐに割れたり、地面に落ちたりしているようだが笑顔で「あー、割れちゃったあー!残念!」とはしゃいでいる気がした。
本当に高いところまで登っていくシャボン玉もある。
シャボン玉の好奇心にワクワクしている気持ちが見えるようだ。
青空の下、そよ風に乗って飛んでいくシャボン玉。
あのまま、雲の上まで行きそうだ。
独りぼっちになるのかな。
そこで感じるのは生まれて初めての孤独。
雲の上は強い風と寒さ。
降り注ぐ眩しい日の光。
でも見渡せば目もくらむような雲海と大空。
シャボン玉は絶景に感動した。
こみ上げる喜び。
ポンと弾けたシャボン玉は空に小さな虹を作った。
見上げている私にもその虹が見えた気がした。
絵 マシュー・カサイ「シャボン玉の空」水彩
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