マシュー・カサイ

好きな風景を好きなようにアレンジして主に油彩で描いています。 朝陽や夕陽、月の光など一…

マシュー・カサイ

好きな風景を好きなようにアレンジして主に油彩で描いています。 朝陽や夕陽、月の光など一瞬で変わっていく風景。百貨店での展示も時々やってます。noteの投稿のため水彩画を多く描き始めました。

最近の記事

道草の楽しみ 光のテーブル

外出の用事が終わった後、道草するのが好きだ。 時間に余裕があれば、知らない脇道に入るのがいい。 知らない街角。 何となくドキドキする。 面白い建物、不思議なお店、きれいな花壇、立派な豪邸、廃屋、何かの工場、暗い裏路地、懐かしい下町、小さな神社、子供たちの遊ぶ学校・・・ 初めて見る景色は気持ちに刺激を与えてくれる。 こういう時は一人がいい。 そっと覗く知らない人たちの世界。 どんな人たちが何をしているんだろう。 すれ違う人たちの会話まで耳に入って来る。 面白

    • 天空カフェ 忘れていた景色

      テレビに映し出された景色を見て息をのんだ。 この景色。 見たことがある。 雄大に広がる空と、鏡のようにそれを写した浅い水面。 どこまでも広がっている。 テレビの声はボリビアのウユニ塩湖の景色と言っている。 そんな場所は知らない。 夢だ。夢の中で見た景色だ。 完全に忘れ去っていた。 記憶の深く暗い海の中から、突然鮮やかに蘇った景色。 思い出した。 あるとき、私は広い海岸のような場所でテーブル席に着き熱いコーヒーを飲んでいた。 これは夢だろうという認識はわ

      • 光のどけき春の日に

        目の前を、黄色い帽子をかぶった園児たちが先生たちに引率されながら歩いている。 スズメの群れのように賑やかだ。 大きな声を出す子、歌を歌っている子、笑いあってる子、見てて飽きない。 つい、あとをついて行きたくなった。 温かな午後、今日は日差しが眩しい。 陽気な子供たちに影響されて、私も楽しい。 一緒に歌って、歩きたくなった。 歌を口ずさみながら大きく手を振っていると、なんだか目線がどんどん低くなってきた。 気付けば手も足も小さく、子供になっている。 顔を触れば

        • 春爛漫 桜吹雪に思いを乗せて

          朝は黄砂で黄色く空が濁っていた。 春霞というような美しい色ではなかった。 軽い落胆を感じる。 それでも春。 気軽に散歩に出て、川端の桜並木を見に来た。 ちょうど両岸の桜は満開を迎え強く吹き始めた風に花びらを飛ばしていた。 桜吹雪。 空を覆っていた黄砂は風に追われ、春らしいのどかな青空が見え始めた。 この場所は、両岸に桜が並び、豪華な眺めとなる。 今年は、天候不順のせいか桜が散るのが早い。 この夢幻のような桜吹雪を見るのが好きだ。 他の花と違い、茶色く枯れた色を見せる

        道草の楽しみ 光のテーブル

          月夜の枝垂れ桜  

          今年も会いに来た。 大きな大きな枝垂れ桜。 周りにも、桜の木が並ぶが、この桜の木は別格の大きさだ。 初めて見たとき、桜とは思えなく、静かな滝か雪の山のように見えた。 時間を忘れてずっと桜と対峙していると、周りは無音になり雑念は消えた。 何も言葉に出したくなく、ただ感動で動けなかった。 今年は夜に桜に会いに来た。 ゆっくり歩を進める私の前に、白い巨人が現れたようだった。 大地にどっかと腰を下ろした白い巨人は、静かに私を見ている。 白く長いひげの奥に優しい目をした長老。 長い年

          月夜の枝垂れ桜  

          風を切って陽光の中を

          乗れた! 確かに自分の足でスケートボードに乗って走っている。 足裏に伝わる振動も心地いい。 左右にローリングしながらスピードを上げる。 上からの日差しが時々眩しい。 道の両側は春の花がいっぱい。 山側の木々も新緑が輝いている。 ポカポカ天気の中、緊張に少し汗ばんでスケボーを飛ばす。 ガーッと音を立てて疾走するボード。 少し余裕が出て、空や道の周りを眺める。 うーん! 久しぶりの快感に笑みがこぼれる。 揺れながら後方に飛ばされていく景色。 同じスケボーの人を何人か抜いた。

          風を切って陽光の中を

          休日の午後  青空に乾杯

          何もしないと決めた休日の午後。 外の明るさに惹かれてベランダに出た。 やはり外は気持ちがいい。 風になびく髪も、風の肌触りも暖かさを感じる。 目に眩しい日の光と青空の深さ。 思わず深呼吸。 思いついて部屋に駆け戻り、缶ビールとグラスを持ってきた。 シュッと軽快な音を立てて缶を開け、黄金色をグラスに注ぐ。 思わず笑顔でアハハと声に出る。 たまには昼間っからビールもいいな。 大空と輝く雲にグラスを差し上げてありがとー!気持ちいいー! 光を通したグラスのビール

          休日の午後  青空に乾杯

          シャボン玉の空 小さな虹の秘密

          自転車に乗って公園を横切っていた。 スピードを上げようと頑張っている私の前に、ぽわんと現れた。 一瞬、びっくりして自転車を止めるとそれは目の前をいかにもゆっくりと、まるで公園の散歩を楽しむようにフワフワと飛んで行く。 シャボン玉。 大きくてびっくりしたが、確かにシャボン玉だ。 公園の真ん中の芝生の広場でお父さんらしき人と子供が二人、手に持った団扇のようなものからたくさんのシャボン玉を飛ばしていた。 キャッキャッと笑いながらシャボン玉を追いかける小さな子と一心不乱に

          シャボン玉の空 小さな虹の秘密

          穏やかな時間  夕暮れ間近

          今日も、もうすぐ夕暮れ時。 小さな子供の頃は、暮行く空を見てもっと遊びたいのにと残念に思った。 または、遠くまで遊びに来ていて慌てて帰りを急いだ。 そんな急いでいるときでも、夕暮れの空の美しさに足を止め呆然と立ち尽くすことが多かった。 今は、夕暮れの光にホッと安らぐ自分がいる。 今日も終わっていく。 振り返っても別に特別な日じゃなかった。 そんな変わり映えのしない、普通の日でも夕暮れ時には日常の緊張感から解き放たれ、力を抜いて空を眺めている。 強いエネルギーを感じ

          穏やかな時間  夕暮れ間近

          はるかに続く天空の道

          これは夢だな。 目を開けると、細い道を一人で歩いていた。 道はかすかに銀色の光を放ち、左右に曲がりくねりながらはるか彼方まで上り坂のように続いている。 不思議なことに道は空中に浮いていて、その下には街と森が広がっている。 どこかで見たような街と森の景色。 その先には青い海と広大な空が広がっている。 雲は西日を浴びて真珠色に輝き、その明るい中を、私の歩く道はうねうねと曲がりながら上に向かって伸びている。 何だろう。 なぜか見てはいけない世界を見ているような気がし

          はるかに続く天空の道

          舞雪   風花の遊ぶ空

          暗い空から雪が降る。 降る前は、暗い空だけで重苦しかった。 寒い中、はるかな高い空からふわふわと白い雪が無数に、無限に舞い降りてくる。 風に乗って急に上昇したり、くるくると回ったり、まるで雪が遊んでいるようだ。 暗い空が、急に軽やかに明るく見えてくる。 街路樹も白く綿雪をかぶり、ベンチにも白くふんわりと積もり始める。 夕方のような暗さの中、人々は背を丸めて足早に通り過ぎる。 邪魔にならない広めの場所に立ち、上空を見つめる。 暗い雲から、舞うように降る白い雪。

          舞雪   風花の遊ぶ空

          渚にて   海 空 太陽

          一人座る砂浜 人影はなく、打ち寄せる波の音 柔らかさをはらみ始めた午後の日差しに目を細める 波のしぶきや降り注ぐ陽光に光の粒子がキラキラ見える 今日は海風も少し暖かい 気持ちが落ち込んで歩き回っていたら、ここに来ていた ただ海と空を眺めるだけ 何も考えない 潮騒の音だけが聞こえる 少しずつ気持ちがほぐれてくる 海も空も、何も言ってくれない ただ、ここに居場所を与えてくれる 足元の貝殻の一つになったような気分 無為に過ぎてゆく時間が気持ちいい 深呼吸

          渚にて   海 空 太陽

          きれいな満月を見たくて

          満月の日だと教えてもらって、ちょっと楽しみにしてた。 夜、窓から見上げた空は曇り空。 時々見える満月にも、すぐ雲がかかる。 まるでかくれんぼのようで、不満。 きれいな満月を見たい。 ベランダに出て周りを確認し、そっと空へ飛び出す。 思い切って雲の上までやってきた。 ここなら、雲も排気ガスもかからない。 かなりの高さだから気温が低くて、空気が薄い。 空の美しさは目を見張るようだ。 目が覚めたような気がする。 月は私に驚いたように明るく輝き、神秘的な美しさ。

          きれいな満月を見たくて

          あっクジラだ! 大空のクジラ雲

          公園の広場を歩いていると後ろからパタパタ足音がした。 数人の小さな子供たちがキャッキャッと大喜びしながら走ってきた。 無邪気な笑い声につい微笑んでいるとこちらへ駆けてきて クジラ!クジラ雲!と叫んでいる。 何のことかなと指さす方を見ると、大空にゆったりと大きな雲が浮かんでいた。 午後の輝きを増した空にはたくさんの雲が浮かんでいたが、その大きな雲はかなり早い動きでまるで子供たちと遊んでいるようだ。 大きな雲だねと言うと子供たちはクジラだよクジラ!と笑いながら叫んでいる

          あっクジラだ! 大空のクジラ雲

          霧の街  雲の中の廃墟

          霧の濃い朝、海から街を見ていた。 朝起きたら、窓の外は乳白色ですっぽりと覆われていた。 かろうじて近くのビルが見える程度で、太陽も見えない。 こんな時、海から街を見たらどうだろう。 ふと思って、ここに来てしまった。 海の上も霧は出ていたが、風に吹かれて薄れていた。 海から街を見ると、まるで雲の中の廃墟のようだった。 ゆったりとした霧の中から黒いビルがぼんやり浮かび上がる。 朝方なのでまだビルの明かりはほとんど見えない。 幻想的だ。 そこに人はいないような気

          霧の街  雲の中の廃墟

          欧羅巴の古い教会 青い神殿

          以前、ヨーロッパを旅行した時のことだ。 いつもながらあまり観光情報も集めず、ただ歩き回った。 古い街並みを歩いていると突然巨大な教会が目に入った。 天を突くような尖塔を備えた黒ずんで古い教会。 考える間もなく足が向き、吸い込まれるように入っていた。 暗い中を歩き、広い場所に出た。 歩き疲れた目に、はっとするような神聖な光景が映った。 数か所の弱い照明に浮かび上がる礼拝堂の景色。 大理石を中心とした白い大きな柱や彫刻。 高い天井や壁に描かれた宗教画。 正面の壁に見

          欧羅巴の古い教会 青い神殿