昔からミニチュアが、特に食べ物のミニチュアが好きだった。中でも覚えているのが、某お人形が某ハンバーガーショップ店員になって働くセットだ。
　精巧なメニュー表に小さなビッグマックの箱、ツヤツヤしたバーガーのバンズに赤い箱のポテト……ハンバーガーショップなんて生活圏にない田舎住まいだったので、それらのメニューを私はミニチュアで先に知った。
　中でも不思議だったのは長方形の箱に入ったアップルパイ。アップルパイといえば、あの絵本やアニメで観る円形で格子状のパイ生地でフタがされているやつでしょ？これは一体どうなってるの？と気になって気になって、何年か後に実物を食べて衝撃を受けた。あれ？これアップルパイかな？揚げ物じゃない？おいしいけど、揚げ餃子っぽいよね。

  後年自分のミニチュア好きを思い出したのは、長く働いた職場を辞め、子供はまだ小さいが片時も目が離せない時期は過ぎ、さりとて自宅には要介護の義母がおり、あまり家を空けることはできなくなったある年の正月。
　義母のことは親戚が見てくれるというので、夫と子と3人でお台場に遊びに行った。そこでやらかしてしまった。
　ご存知だろうか？どこのおもちゃ屋にも棚を持つ某村の住人たち、その専門店である「森のお家」がお台場にはある。近年池袋にもできた。
　おもちゃ屋のワンコーナーにあるのが分庁舎だとすれば、「森のお家」は本庁舎。ふだんあまりお見かけしない住人や小物、季節限定衣装の子たちなど品揃えがすごい。そして正月には、かなりお買い得なセットを福袋として売り出すのが毎年SNSで話題になっている。

　それまでちょこちょこと村の赤ちゃんたちを揃えていた私は、タガが外れてついに憧れの福袋に手を出してしまった。電車で来てたのに。

　うっかりバズった。

　ミニチュアの他に好きなものといえば、私は自他共に認める酒好きだ。友人が撮ってくれた写真は、だいたいビールジョッキ片手ににこにこしている。遺影にしてもらいたいくらいのいい顔だ。
　しかしながら、かの村には酒がない。デキャンタやワイングラスはあるが、入れる中身がない。

  まあそういうもんじゃない？と思いますでしょ？でも村には牛乳や缶ジュースはあるのですよ。

　その昔密造酒をめぐる身の毛がよだつ恐ろしい事件が起き、それ以降、この村には酒器だけが残ったんじゃよ……なんてことはなく、酒がないのはただ単に大人のファンも多いとはいえ、本来のターゲット層が子供だからだろう。子供のおもちゃで遊ばせてもらっている大人が文句を言ってはいけない。

　しかし世はまさに大ミニチュア時代。
　カプセルトイから100円ショップ、ドールやぬい(ぬいぐるみ)の即売会まで「探せ！この世の全ての酒類ミニチュアを！近所からだいたい遠くてもビッグサイトくらいまでの範囲で！」という感じで数年かけて集めたのがこちら。

　コロナ禍前から夜に飲みに行くことは滅多になくなっていたけれど、これさえあれば感染リスクなしで、しかも家で外飲み会が開けるってわけで、村の居酒屋は連日大盛況となったのだった。

　この酒類に合うつまみのミニチュアもご紹介したいところだが(しめ鯖もエイヒレもある)、長くなるので機会があればまた！

【著者プロフィール】
だまだま
ミニチュアとぬいと酒が好きな主婦。最近の推しはTBSの南波アナ。たまにバズってネットニュースに無断転載される人生。

（寺橋が代理で更新しました🍶）