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おばあちゃんトラップ

私の母は認知症だ。
家族のことはわかるし、実家からうちまでの道のりも一応覚えている。

だけど、
自分で服を用意して着替えるということができない。
料理の名前も忘れているし、もちろん料理もできない。

パーキンソン病もあるので、
身体の自由がきかず、筋力も衰えているので、動くのがなかなか辛そうだ。

だからといって何もさせないのは良くないので、食器洗いや洗濯物をたたむことをやってもらっている。

でも、
どれが誰の服なのか、どの食器をどこに片付けるのか、そういうことがわからない。

長男が、自分のシャツが1枚もないからと探したら、なぜか私のところに入っていたり、

プロテインシェーカーやティーポットなど、部品がバラバラに色んなとこに片付けられていて、
どこいったんやとあちこち探したら、思わぬところから発見されたりする。

「おばあちゃんトラップや」

子供たちが面白おかしく言うので、
どこにどんなものが仕掛けられているのか、それを発見することを楽しんでいる自分がいる。

今日も、
またおばあちゃんの仕業やな!
と言いながら、
ちょっとだけ切ない気持ちを隠しながら、
明るく母の認知症を楽しむのである。


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