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喫茶店、猫、ぬるいビール

見知らぬ街を歩きまわるのが病的に好きだった。夏のある日、目についた喫茶店に入るとスピーカーからグレン・グールドが大音量で流れ、カウンターには猫がいた。僕はビールを注文し、本を読んだ。運ばれてきたビールは少しぬるかった。以来、僕はぬるいビールを飲むと、あの猫と喫茶店を思い出すのだ。

#140字小説 #あの夏に乾杯

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