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北海道の知られざる物語を発見するライター・井上美香 さん

『北海道人が知らない北海道歴史ワンダーランド』や『イノベーションの大地 北海道』など、北海道の知られざる物語を自ら発見するライター・井上美香さんにお話を伺いしました。

プロフィール:井上美香(いのうえ よしか)さん ライター
【活動地域】
北海道
【経歴】哲学者の鷲田小彌太札幌大学名誉教授の私設事務所でアシスタントを務める中で、編集者と知り合い、雑誌にコラムや掲載を書き始める。初めての著書は、鷲田小彌太教授との共著『なぜ、北海道はミステリー作家の宝庫なのか?』(2009年、亜璃西社)。
【著書】『イノベーションの大地 北海道』(言視舎)、『北海道の逆襲 (笑う地域活性本)』(言視舎)、『北海道人が知らない北海道歴史ワンダーランド』(言視舎)、『クドカンの流儀』(言視舎)、『なぜ、北海道はミステリー作家の宝庫なのか?』(亜璃西社)
【座右の銘】人生はなるようにしかならない

道内の人にも、道外の人にも、北海道に新しい発見をしてもらいたい

記者:ライターとしての夢やビジョンについて教えてください。

井上さん(以下、敬称略):北海道のことを調べていくと、芋づる式に面白いものが出てくるんです。道内の人だけじゃなくて、道外の人が読んでも、北海道に新しい発見をしてくれたらいいなと思って書いています。

北海道のことをいろいろな分野で研究する人もいて、面白いものが隠れていても学術的な世界に留まっていることもあります。あらゆるところに北海道を楽しめる要素があるので、それを見つけたら人に伝えたいと思って書いています。鷲田さんと共著の『イノベーションの大地 北海道』は、後半を私が書いていますが、北海道のお酒や道の話とか、けっこう突っ込んだ内容です。

記者:井上さんの著書『北海道人が知らない北海道歴史ワンダーランド』を読みましたが、とても面白かったです!

井上:ありがとうございます。北海道の歴史が面白そうと思って書き始めて、実際に書いていても楽しかったです。読んで面白いと言ってくれる人がいるから頑張れます。書いて反響があれば、書いた意味があったかなと思って、次につながります。

クレイジージャーニーのような開拓者たちの物語があった

記者:北海道に関わる本を書く中で、どんな発見や気づきがありましたか?

井上:北海道人には、北海道はできて151年と歴史が浅い印象があります。その歴史もアイヌの差別とか、開拓者が大変な目に遭ったとか、あまり触れたくない負の歴史のイメージです。私自身もそれしか知らなかったですし、親もあまり言いたがりませんでした。
でも、何年間か北海道にまつわる記事を書いていると、すごく面白い物語がいっぱいあったんです。それは若い頃の認識とは全然違いました。

開拓者は本州を捨てて北海道に渡ってきたわけですから、ある種、冒険者でもある。人間ドラマがあるんです。北海道に行くというと、昔は外国に行くような感覚だっと思うんでよね。例えばブラジルにいくような。故郷を捨ててくるんですから、北海道に渡ってきた開拓者の方々の挑戦でもある。流れついてよくやく辿り着いた地というよりも、自ら望んできたというイメージになったんです。
私は冒険物が好きで、クレイジージャーニーが大好きなんです。北海道に渡ったきた開拓者は、そんな生き方をしている人たちが多いんです。

自分が面白いと納得するものを書く

記者:ライターとしての活動の目標や計画はありますか?

井上:全然ないんです(笑)もともと物書きになったのは流れで、ライターになりたくてなった訳じゃないんです。未だに自分のことをライターだと思っていないんです。名刺にはライターて書いてるんですが、実はあまり書きたくなんです。自分ではフリーターだと思っています。将来やめるかもしれないですし(笑)
こんなこと言ったら嫌味に思われるかもしれないですが、自分に何の才能があるとも思っていないんです。本音でそう思っていて(笑)

たまたま運が良くて、「ライターの仕事やってみませんか?」とお話があったので、ライターの仕事をするようになりました。
「書きたいもの」が実はあるんですが、書けないだろうなと思っているので、ここでは発表しません。それは自分の中でこっそりと(笑)

記者:もともとライターになろうとしていた訳ではないと。

井上:そうなんです。でも、仕事は絶対に断らないというのがあって、仕事としてお話をいただいたので、ライターになりました。

自分が面白いと納得するものを書こうと思っているので、そこにはものすごい頑張ります。それを読んでくださった方から声をかけてくれて今に至っているので、みなさんのおかげなんです。自分が最前線でやる仕事は気を抜かないでやりたいなと思っています。

記者:お仕事をする上で、日々行動されていることは何ですか?

井上:面白いことがあったら頭を突っ込んでみることです。面白そうだなと自分が興味を持ったら掘り起こしてみる。自分が楽しいからやります。

この前も、朝日新聞の連載『北のインデックス 蝦夷から北海道へ』の記事を書くために、頼まれてもいないのに砂金掘りに行きました(笑)昔は北海道では砂金が取れたんです。十勝の大樹町に歴舟川という川があるんですが、昔のゴールドラッシュで砂金が取れていて、今でも若干取れるんです。地元のおじいさんたちがいてが色々教えてくれて、本当に砂金取れたんですよ!

行ってみたら面白かった。そうすると書きたくなるし、みんなに伝えたくなる。そうやってどんどん広がっていく感じです。

仕事とは、人生

記者:どんな美しい時代をつくっていきたいですか?

井上:子供たちが幸福で安寧に過ごせる世界であることを願います。
がんばってもダメな場合もあると思うけど、まずはやってみること。結果は人が評価することだから、「こんなもの書いて」と言われるかもしれないけど、自分なりにできること、面白いと思うことを精一杯やってみる。
きっとやったらやった分、後でなんかしらいいことがあると思ってやってます。でも、特にものを書いたりする場合は、期待通りの結果になるか分からないですけどね(笑)

記者:お話をお伺いしていると、仕事に対する信念を感じるんですが、井上さんにとって仕事とは何でしょう?

井上:何かになりたいという気持ちが持てれば頑張れると思います。そこに向かって突き進んでいけばいいから。私は何かになりたいというのがないから、逆に持ちたいくらいです(笑)

ライターもなりたいからなったんじゃなくて、仕事だからやっています。生活の糧を得て、自立していきたい。小さい頃から人間は仕事をしてなんぼと思っていました。そこに理由はないんです。仕事をしていないと自分じゃない。仕事とは、人生です。仕事をしていないと生きている意味がない感じです。

どの仕事でも同じだと思うんです。働くことに限ったことじゃなくて、家庭でも同じ。自分が生まれてきて、生きてやるべきことが仕事。お金を稼ぐことじゃなくて、自分がやるべきことが仕事です。

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▶︎井上美香さんの連載記事
朝日新聞デジタル『北のインデックス 蝦夷から北海道へ』

【編集後記】
インタビューを担当した原田です。井上さんの著書が面白くて、お話を伺いたくてインタビューしました。井上さんご自身が興味を持って心から面白とい思ったことを書かれているので、読んでいる方も楽しくワクワクしてくるんだと思いました。物腰柔らかく、フレンドリーな中に、お仕事に対する姿勢の持ち方に誇りを感じて尊敬です。ありがとうございました!

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この記事は、「リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” 」
にも掲載されています。


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