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大仏開眼への道12~最新鋭MRIはテクノマシンだ

2021年12月4日 年内最後の通院はMRI検査と女性診療科のがん検診と眼科診察です。

私が通う病院は9月に新しく建てられたばかりで、医療機器はどれも最新機種です。
カルテや会計も完全オンライン化、屋上にはヘリポートがあって地域の災害拠点病院に指定されています。

朝8時20分。最初は脳のMRI検査です。
4月の末に脳梗塞の疑いで一度入院したのですが、MRIに写っていた白い影は消えたので脳梗塞ではないという判断になりました。その疑惑を完全に解消するのと、一部血管が細くて画像診断では見えにくい部分があったため、新しい病院がオープンしてから最新鋭の機械で調べることになったのです。

白く巨大なMRIの機械は威圧感があって、シュワンッシュワンッと静かに何かが回転しているような音が聞こえます。
寝台に横たわると
「音がものすごくうるさいのでこれをしっかりつけて耳をふさいで下さい」と検査技師にヘッドホンを渡されました。
両手はベルトで軽く体側に固定、顔に透明のケースをかぶされると、ミイラの棺に入ったような気分です。
静かに棺がスライドして大きな洞穴に入って行きます。
前に検査を受けた時、ヘッドホンを装着してもガキンッ!ガキンッ!と重金属のぶつかるような音がすごかったのを覚えています。
さあ、始まりました。
ビュイン ビュイン ビュイン ビュイン
弾力のある丸みを帯びた音。ウルトラマンの怪獣が出すレーザービームみたい。緑色に光る輪が見えるような気がします。
ピコピコピコピコ、ピッコッ、ピッコッ、
あれ三度の音階になっている。
ピコン、ピコン。テンポがあってテクノミュージックみたい。
側頭部から頭頂に振動が伝わって行く。
ピーッピーッ、ビーッ重低音で反響しているのはEマイナーコードかな。
ふと信号音が途切れて、風の音だけが聞こえている。冷たい洞窟を吹き抜ける風か、それとも遠い潮騒か。恐怖心は感じない。
MRIの音に聞き入っていたらあっという間に20分の検査が終了しました。
ミイラの棺が開かれると、検査技師に感想を聞かれました。
「病院新しくなりまして、このMRIの機械も最新鋭なんですよ。それで、音が静かになったとおっしゃる方もいますが、どうでしたか前と比べて」
うーん、前と比較できるほどMRI経験豊富ではないけれど。
「怪獣映画の効果音みたいで楽しかったですよ。がしん、がしんって金属の重厚な感じの音が、不快ではなくなった気がします」
検査技師の方には、うまく言葉にできなくて申し訳ないのですが、最新鋭のMRIの音響効果はとても楽しかったです。

あらためてMRIとは何か。
Magnetic Resonance Imagingの略で「磁気共鳴画像」です。
巨大な銅線コイルに電流を流して強力な磁場を発生させて体内の原子を画像化するのです。この電流や磁界を切り替えるときに重金属のような摩擦音が発生するそうです。
やっぱり最新鋭MRIは格段に静かで、ポップなテクノに進化したと私は思います。
そして本来の使命、画像の解像度が上がり、血管も脳も本当に綺麗に映っていました。
中枢の奥で暗くてあまり見えていなかった血管は、明るくはっきり血流が確認され、脳に映っていた疑惑の白い影も見当たりません。
本当に念のための確認で、半年後にもう一度MRI検査をすることになりましたが、特に治療の必要はなしと判断されました。

さて次は、女性診療科で子宮体がん術後の定期検査です。
血液検査の腫瘍マーカーは正常値の範囲。
次は超音波検査なので診察台に上がります。合体ロボみたいに座席が持ち上がって足台が左右に開くのですが、これも最新機種。
医師と患者の間はカーテンで仕切られているのでお互い顔が見えず、気まずい思いはしません。でも医師の席にある画像解析のモニターがカーテンで遮られていて患者側からは見えないのです。
私は出来れば一緒にLIVE映像を見たいのですが、他の人はどうなのでしょう。
胃の内視鏡検査などは苦しくてグゲェッと吐きそうになりつつ、カメラが体内へと降りていくLIVE映像を見ると地底探査機のアトラクションに乗っている気分でワクワクします。
でも、女性診療科は男性医師に診てほしくないという人もいますから、カーテンなしで一緒にモニターを見るというのは現実的ではありませんねきっと。
超音波検査の結果、特に影は見当たらず問題なし。前回採取した細胞診も異形細胞なし。がん検査は問題はないようです。
次のがん検査は二か月後です。
国立がん研究センターによりますと、2020年はがんの検査や治療を受けた人が減ったということです。がん患者が減ったわけではありません。
新型コロナウイルス感染拡大を防止するための緊急事態宣言で医療機関もがん検診を取りやめたり、受診が制約されたことが影響したようです。
がんは早期発見が大切です。コロナ禍であっても発見が遅れることがないよう、体に異変や不安を抱えている人は迷わずがん検診を受けましょう。

最後は眼球防衛隊N医師の診察です。
まずは視力検査。次に眼圧検査。風を当てて眼球の柔らかさを調べます。
そして眼底検査。奥まで見えるように瞳孔を開く目薬を点眼します。
「半日ぼんやりしますからね」と毎回言われますが半日どころかほぼ一日ぼんやりして何も手につかないのが難点です。
瞳孔が開いて光がまぶしすぎるのです。
カメラに例えると絞りが全開放状態なので、網膜がハレーションを起こしてすべての景色が真っ白に飛んでしまうのです。しかし眼底検査は治療に欠かせないため、丸一日仕事を休むのは仕方がありません。 

三つの科目を終えたのは午前11時過ぎ、およそ三時間でした。
最後に会計ですがオンライン化で計算窓口に書類を出してから実際に支払い機で精算を済ませるまで五分とかかりません。
MRI検査6240円。
女性診療科 エコー検査、細胞診検査と診察で2600円。
眼科 眼底検査三次元画像解析。細隙燈顕微鏡検査と診察1740円。
支払い合計金額は1万0580円。
このペースで病院通いをするならば、まだまだ元気に働いて医療費を稼がなければなりません。

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