見出し画像

6枠をめぐる戦い【ポケモンGO】

ポケモンGOの中にジム配置という機能がある。時間に応じてゲーム内の通貨を獲得することが出来る唯一の方法ということもあってか争い事が絶えない。あちらこちらでジムが煙を上げている。

人によっては1日に得られる上限の50コインを得られないと気持ちが悪いと言う。私も一時その状態に陥っていた。

無課金でプレイするにもアイテムが欲しい。それにはコツコツとジムにポケモンを配置することが必須だ。それか課金だ。課金が力を与えてくれる。

嫌になるほど他のプレイヤーのポケモンを倒した。私のポケモンboxにいる攻撃担当のカイリキーは10000勝をとっくに超えた。いつまでばくれつパンチをすればいいのだときっとウンザリしているに違いない。効率よくジムを更地にするために、max強化したカイリキーが3体いる。

配置担当のハピナスも毎日毎日駆り出されて疲れているに違いない。防衛の方がコインを得るために重要になるためこちらは6体いる。1体は自慢の色違いハピナスだ。

しかもこのジムというシステムは稼げる上限になれば自然にポケモンが戻ってくるという訳ではない。

誰か他のプレイヤーに攻撃されてやっとCPが0になり自分の元へ帰ってくる。ジムの場所によっては何日も何ヶ月も帰ってこないことがある。それを加味して配置する。

プレイヤー人口が多い場所とそうではない場所では条件がそもそも違いすぎて、ジム事情も変わってくる。

都会と田舎の中間地点にいる私でもそう思う。トカイナカシティだ。

トカイナカにもジムの傾向がある。私が住んでいる場所は時間帯によって赤と青に交互に塗り変わっている。朝は赤、夕方に青になる。時々、黄が紛れ込んでは容赦なくボコボコにされている。

快適にプレイしたければ他所へ行けという無言の圧力がある。いつも同じプレイヤーがジム配置をしている。

ジム配置の順番はジムのポケモンを倒した人以外は早い者勝ちだ。しかし1番早く配置すると次に攻撃される時も1番早く攻撃を受ける。

ここは変更して欲しいと常々思っている。苦労して自分のチームカラーにしたジムに配置しているのに、1番はじめに攻撃されるシステムは不公平に思う。

後から来て枠がたまたま空いていれば置くだけでコインを獲得出来るプレイヤーもいるのだ。

3回攻撃を受けたらCPが0になる。しかしそれを防ぐには、きのみを与えて元気にする方法がある。しかもなんと金のズリの実は一気に全回復するのだ。

金のズリの実は入手方法が少なく貴重だからポンポン配置しているポケモンに与えることが出来ない。

防衛側と攻撃側の心理戦がある。繰り返し攻撃するしつこいプレイヤーもいれば、2回金のズリの実を投げても諦めなければもう大人しく倒されると言っている友人もいた。

ストレスにならない範囲で付き合っていくことが求められる。極端な例だが時にジム攻防戦がエスカレートして、刑事事件に発展してしまった事例もある。

なぜここまで熱中するのだろう。このゲームをやらない人はきっとそう思う。独特の中毒性があるのだ。ジムに配置すると達成感がある。自分の分身がジムを守ってくれているかのように錯覚する。

だからジムに配置してすぐに攻撃を受けると自分が殴られているかのような感覚になる。配置してすぐに攻撃をするのはルール上問題ない。だけどマナー的な問題がある。

ある日、1コインも得られないまま、私のハピナスが無言を帰宅をした。青色に塗り替えられてほぼ同じ名前のアカウントのポケモンが数体置かれた。

規約上は違反だが複数アカウントを保持している人がいる。いつも同じ並びで置かれるポケモンたちに既視感を覚えた。

いつもなら諦めるが何となくやり返そうと意地悪になって、もう一度自分のチームカラーに染めた。そしたらすぐに攻撃されて塗り替えられた。そんなやりとりを3往復くらいした。

ここまですれば、むしろ友情を感じる。同じ熱量でプレイしている人がいることが無性に嬉しかった。たまたまチームカラーが違うだけで、同じならばきっと分かりあえたのではないかと思う。

結局そのジムは相手の色で終わった。どこまでもラリーを続けるわけにもいかずに根負けした。

複数アカウント問題はポケモンGO業界では時折過熱する。実際に2アカ持っている人と友人になる機会があった。その名の通り携帯を2台両手に持ち、どちらの端末でも華麗にカーブボールを投げていた。レイドの時は両手とも同じ動きをしていて画面の下の方をタップしていた。

そしてジム配置をコツコツと重ねて無課金でプレイしていた。1日に300匹捕まえてほしの砂も貯めていると話していた。朝起きて現在捕まえたポケモンの累計が分かるページをスクショしてそれを目安に捕まえまくると教えてくれた。ここまできたらアスリートだ。一度真似してみたが300匹は無理だ。かなりストイックだった。

その人は青と赤どちらのアカウントも持っていた。自分でジム戦をしなくとも配置できる機会が多い。

知り合う前はこの界隈でよく見かけるアカウント名で、防衛され続けた時は正直、負の感情もわいてきた。何度もしつこく奪い合いをした。

相手も私のアカウント名を覚えていた。お互いに得体が知れない時の方が印象に残る。知り合いになってからは、そのアカウント名を見かけても嫌な感情は無くなった。

私は得体が知れないからというだけで嫌な奴だと決めつけていたのだ。そんなことはなかった。親しくなりゲーム以外のことも話すようになってからは、その人を通じて友人も増えた。レイドで集まるたびに色んなことを話して旬なポケモンの交換もした。

交換するとまれに背景が光るのもこの友人に教えてもらった。キラポケモンはとても珍しい。個体値は上がり見た目も美しい。野生では出会えないのだ。

今ではギフトの交換を重ねれば、時々キラ確定になる交換が行える機能もあり毎日のギフトの送り合いの楽しみも増えた。

ここまではいい面を書いてみた。

まだフレンド機能がはじまったばかりの頃、イベントでフレンドを作るタスクがあった。私はショッピングモールでポケモンGOをしている人に適当に声をかけてタスクを達成した。

それだけなら良かったのに、1台だけのつもりがその人はポケットからあと2台出してついでにフレンドになってと言ってきた。こちらから声をかけた手前断りづらい。

しばらくすると相棒ポケモンの名前を変更する欄で短文をこちらに示してくるようになった。相棒のポケモンはフレンドになれば分かりその画面は相手にも表示されることを利用した方法だ。

「今日はありがとう」「次はいつ会える?」「ギフト早く開けて。」「明日〇〇来る?」などが表示された。中には3台を繋げたら分かる文章も送ってきた。もう創意工夫だ。

ずっと無視していたのに、相手のlineのidが載った時にその距離感が気持ち悪くてフレンドを削除した。しばらくその大型のショッピングモールには近づかないようにした。

その後、用事があってそのショッピングモールに行った時に見かけた。ジムが3つ入り、ポケストが2つ届くベンチが定位置のようだった。遠目からやっぱり3台を使っているところが見えた。周囲には同じようにたくさん端末を抱えた友人らしき人がいた。お盆に5台くらい乗せてる強者もいた。

見つからないようにこっそり移動した。もう忘れているだろうけど覚えていたら嫌だと思った。

中にはこんな大人もいる。気をつけなければいけない。特に害はないのかもしれない。だけどゲームを通じて出会う人には過剰なくらいの警戒心をはじめは持っていてもいいと思う。

だからポケモンGOにはメッセージ機能は付いてほしくない。運営側もそれを分かっているのかレイドバトルに友人を招待する機能を追加する時にメッセージをやりとりするアップデートをしなかった。

掲示板のフレンド募集やらでゲームの中だけで知り合って友達になっても、顔を見たことがないなら実質は初対面くらいに思っていてもいい。

近所で仲良くなった高校生は「ゲームの知り合いはLINEのとかは交換とかしなくて、Twitter専用アカウントでやり取りする」と言っていた、目から鱗だった。

家に帰ってからさっそく真似をして専用アカウントを立ち上げると共通の趣味を持つアカウントといくつか繋がった。時々顔を合わせる知り合いとも連絡のやりとりをする方法が出来て格段に楽しくなった。

私なんかよりもずっとしっかりしている。ネットリテラシーなども学校で習うのだろうか。大人が警告するまでも無く彼らは自分にリスクマネジメントをしている。ゲームとの付き合いがうまい。

私は以前アカウント名にフルネーム+生年月日をつけていた。個人情報がモロ出しだ、あまりにも迂闊すぎる。リリース当初はジムもフレンド機能もなかったにしてもだ。

ポッポやコラッタを延々に捕まえては喜んでいたのに、時代は変わっていった。そして変わった時代が面白い。もうマサラタウンで遊んでいるんじゃない、それぞれのトカイナカシティだ。

やっぱりその人の価値観が大きく出るゲームだ。奥が深い。

※ポケモン関連別記事です。もしよければこちらも。


無印良品のポチ菓子で書く気力を養っています。 お気に入りはブールドネージュです。