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総集編!!デンマークとスウェーデンでジャズを浴びる16

「デンマークとスウェーデンで北欧ジャズを全身で浴びる旅」をピアニストの視点からレポートする、第16回は総集編です。


北欧で愛されるジャズのスタイル(と思い込んでいた)が好きだ、少しでも近づきたい、そうだ北欧に行こう!!

実に単純でおめでたい発想、、

大した準備もなしに、とりあえず出かけてみた約20日間。訪れたライブスポットや音楽的体験をドバっとレポート。現役ピアニストの視点から、曲名や参考情報も出来る限り書いた。

デンマーク

  • 12月2日(金)コペンハーゲンの教会 HELLIGAANDSKIRKEN (Church Of The Holly Sprit) での Music Prayer 音楽祈祷会。パイプオルガンの教会音楽に、かっこいい現代ジャズの響きはなんで??

  • 12月2日(金)コペンハーゲンの La Fontaine でのライブ。夜の遅さと、お客さんの多さと、ハコ全体の盛り上がりに初日からやられた

  • 12月3日(土)コペンハーゲンの La Fontaine でのライブ。ファンク系の盛り上がりは同じだあ

  • 12月4日(日)コペンハーゲンの La Fontaine でのジャムセッション。セッション参加者の少ないし、なんで入場無料??今夜はセッション参加しないことにした

  • 12月4日(日)コペンハーゲンの Charie Scott's Bar でのライブ。メインストリームジャズ、男性ボーカル、日曜 22時開始のライブなのに変わらぬ賑わい

  • 12月7日(水)オーフスの musikhuset aarhus での「デンマーク音楽祭ジャズ2022」のレポート。この小さな町で、こんな大きな、ジャズだけの音楽祭が成立するんだな

  • 12月8日(木)コペンハーゲンの Musikhuset København でイタリアのピアニスト、エンリコ・ピエラヌンチのコンサート、チケット完売なのに、行ったら入れてくれた!!

  • 12月9日(土)コペンハーゲンの Jazzcup で、地元のメインストリームバンドのライブ。ジャズだけの CD ショップがまだあるんだ!

  • 12月10日(日)イェリングの教会でシーネ・エイのクリスマスコンサート。雪の中に静かに佇む小さな教会(世界遺産)でのクリスマスは旅のハイライトだ!!

  • 12月10日(日)コペンハーゲンの La Fontaine でのジャムセッション、今度はピアノ弾いた、弾いてよかった!

スウェーデン

  • 12月12日(火)ストックホルムの Stampen でジャムセッションに参加、若い!上手い!熱い!無料!オススメ!

  • 12月13日(水)ストックホルムの Fasching でのライブ、ノルウェーのバンドに北欧を聞いた!!いいライブハウスだ

  • 12月14日(木)ストックホルムの Fasching でのライブ、そしてジャムセッション、スウェーデンの活発でジャズシーンを感じる!

  • 12月15日(金)ストックホルムの Glenn Miller Cafe でのライブ、フレンチレストランで投げ銭制のライブ、スウェーデンの人々のナイトライフだなあ

帰国後

  • 12月24日(土)デンマークとスウェーデンのジャムセッションに思うこと、ジャズシーンに思うこと

  • 12月24日(土)総集編(この記事)

全体を通して印象的なのは、何といってもお客さんの多さと盛り上がり。ジャズのライブやコンサートを聴く、ということが日々の生活の一部なのだ。音楽を聴きながら、友人や家族、カップルで食べて飲んで話すのが大好き。デンマークは特にグループが多く夜遅くなっても帰らない。スウェーデンはひとりであろうと行動する。ライブにはお金をバンバン使う、ライブで飲んで楽しむために稼ぐのがお金、とさえ思う。

ライブやジャムセッションを聞いて思うのは、自分は聞く人、自分は演奏する人、自分は店の人、という立場と役割分担がはっきりして、それを分かっていること。

たぶんジャズに限らず他の音楽にも、他の芸術にも当てはまるのだろう。よく言われる、欧米には芸術や芸術家を尊重し、応援する文化があるということ、これは本当だと思った。観客は自分の立場とやるべきことをわきまえているとも思う。ミュージシャンを尊重する、という市民の立場。尊重され応援されるミュージシャンは恵まれているし、幸せだ。

しかしそれは翻って、ミュージシャンに、観客を尊重しなければならない責任を課す。自分は観客に喜んでもらえない、責任を果たせない、と分かったなら、ライブやジャムセッションのステージに上がるのをやめる、という自律の精神と客観性。音楽以外の他の職業に移る勇気と行動。それは、その人らしい、本来あるべき場所に近づいていく。見つかった新たな場所で尊重されて応援される。それがその人の幸せにつながる。世界でも北欧の人々が幸せだと感じる理由だろう。

店にも役割分担があると思った。店は、ミュージシャンに敬意を払う、若いミュージシャンを応援する、という音楽的な役割を感じる。

ジャムセッションは入場無料なのには二つの意味を感じる。ひとつは、店としてブッキングしていない演奏者がステージに上がるのだから責任がもてない、だから観客からお金をとらない。もうひとつは、若いミュージシャンに成長の場を与えるために、入場無料にして多くのお客さんに聞いてもらい、現場感覚を重ねてもらう。演奏者は店から無料ドリンクがもらえるのもわかる。

北欧に行けば、Lars Jansson のような、ヨーロッパや北欧から連想する音を毎日聞けると思っていた。デンマークでは YouTube でよく見かける JAZZHOUSE の閉店、Jazzhus Montmartre の改装中、という不運もあってか、それは叶わなかった。スウェーデンでは Fasching でやっと聞くことができた。

もしかして、ライブやコンサートで広く受け入れられてるタイプのジャズではないのかな、と漠然と思う。Lars Jansson といえども、ライブではかなり激しく派手なパフォーマンスをするではないか。おれが勝手に北欧ジャズと思っている音は、まだ分からないが、作品としてのジャズなのかも知れない。または流行が去ったのか。

いい旅だった。行ってよかった。ジャズがまた好きになった。自分の好きな音をどんどん弾いていこう。

レポートを読んでいただきありがとうございました。


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