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電子足輪は基本法に適合的である

https://www.tagesschau.de/inland/bundesverfassungsgericht-fussfessel-103.html

 ドイツ語の記事を読んだので、その内容を紹介する。
 電子足輪(elektronische Fußfessel)はたしかに「深刻な基本権侵害」だが、過大ではないことを連邦憲法裁判所が判断したという記事である。ドイツには憲法裁判所という裁判所があり、基本権を侵害された個人が、通常裁判所による救済手段が尽くされたことを前提として、連邦憲法裁判所に異議を申し立て、救済を求めることができる。これを「憲法異議」と言う。決定の原文を見ると、2020年12月1日に連邦憲法裁判所の第2刑事部が決定を下していて、2021年2月4日にプレスリリースが行われたらしい。

 かつて犯罪者は、特に危険と判断された場合には、刑務所からの釈放後、警察によって24時間監視されていた。しかし、2011年以降、犯罪者は釈放後に電子足輪によって監視することができるようになったので、そのようなコストのかかる措置は必要なくなった。これは、2010年12月22日の保安監置の新規定のための法律によって電子足輪が導入されたことによるらしい。刑法典によれば、電子足輪の装着は強姦や殺人罪などの重大な犯罪を犯した場合であり、かつ、その者がこれを行う危険がある場合にのみ命令することができる。そして今、連邦憲法裁判所は、電子足輪が基本法に違反しないという原則的な決定を明らかにした。

 電子足輪は通常の衣服で覆うことができるので、犯罪者は電子足輪によってスティグマを押されることはない。その点で、元犯罪者は社会への再統合を妨げられることもない。それゆえに裁判官は、電子足輪が人間の尊厳を侵害することはないと判断した。長期刑の判決を受けた2人の犯罪者が、釈放後に電子足輪の装着を裁判所に命令されたことは不当だと訴えたものの、連邦憲法裁判所はその憲法異議を理由なしとして却下した。

 しかし、電子足輪を装着させられるということは、常に監視されているという意識や、他の人に見られるかもしれないという恐怖を本人が持つことになる。それは他人からは見られないものであっても、スティグマを与えることを意味することになるのではないだろうか?

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