桜の小田原城と御幸の浜
小田原は、小学校1年生くらいのときに、今は亡き祖母と2人で訪れた思い出の地だ。小田原城の下でお弁当を食べて、小田原城に登って、帰り際にパン屋さんで甘食を買った。私はそれから甘食を見るたびに、祖母のことを思い出すようになった。
よく晴れた土曜日。1日時間があったので、私はなんとなく、そしてあてもなく小田原に行ってみた。
駅に着き、まずは思い出の小田原城に向かってみる。すると、遠くに桜のトンネルが見えてきた。
思わず早足になって向かうと、そこはお城のお堀だった。
散りゆく満開の桜を見ながら15年以上ぶりに天守閣に登ってみた。
城内では、関東一帯を治めた北条家の歴史、豊臣秀吉による侵攻の歴史などが、とても分かりやすく展示されていて、想像以上に長居をしてしまった。城下の桜や小田原の海を望む天守からの景色はとても素晴らしかった。
天守からの海があまりに綺麗だったので、すぐに海に向かった。途中、お城の向かいのカフェサンノマルでアイスコーヒーとミートパイをテイクアウトした。
御幸の浜に着くなりコーヒー片手に波打ち際で海を眺めた。
その時、突然大きな波が来た。
私の反射神経では対応できず、海に着いて早々、くるぶしまで海水に浸かってしまう。
終わった〜
こうなったら仕方ない。予定もないし、靴が少しでも乾くまで、今日は裸足で海岸でのんびりしよう。
私は素足で海岸に座り、アイスコーヒーとミートパイを食べながら、海を眺めた。
素足ってこんなに気持ちいいんだ。
その居心地の良さに、むしろこのハプニングが嬉しく思えてきて、
素足で綺麗な石集めをしてみたり、持っていた本を読んでみたり、海岸でただただ時を過ごした。
何時間も居たけれど、結局靴が乾くことはなかった。
でもこんなに長く海風にあたってのんびり過ごしたのも初めてだった。
冷えてきたので、湿った靴を履いて駅へ戻る。
当時祖母と訪れたであろうパン屋さんを探してみたが、心当たりのパン屋はすでに閉まっていた。
だから、今日のお土産は海岸の石だけ。甘食、食べたかったな。
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