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ただ「運ぶ箱」から、「意思を運ぶ箱。」へ

日本を代表するクリエイティブディレクター、佐藤可士和さんの生の話を聞きました。ミーハー的に、ちょっと感激でした。笑

すごいクリエイターのお話って本やテレビ、ユーチューブなどではいくらでも聞けますが、実際に目の前で聞ける機会はそうはありません。
今回は、京都クリエイティブ・アッサンブラージュという価値創造人材育成プログラムの一環(佐藤可士和の創造性を読み解く)で、一般公開されていたものでした。

いろいろなお話があったのですが、とても強烈に残ったのが可士和さんいう価値の転換。

「いいものをつくっているだけでは売れない」から
「いいものをつくっているからこそ売れる」へ

例えば、可士和さんがクリエイティブディレクションされた今治タオル(愛媛県)のブランディング。
東南アジアなどからの輸入タオルに押され、価格面で負けるため、困難な状況に陥っていました。価格的に高価なのですが、その技術はとても高くて、特にジャガード織りという繊細な織りに特徴を持っていました。

ものづくりのあるあるなのですが、技術が優れているとどうしてもその技術を全面にだそうとします。当然といえば当然です。そこが肝ですからね。

可士和さんは、タオルの本質的な価値は吸水性であり、そこに「安心・安全・高品質」という一番基本的な日本の良さがあると考えました。本来ジャガード織りの技を活かすと、いろいろなカラー展開やデザインされた柄が重視されていました。

しかし可士和さんは、最も基本的な「安心・安全・高品質」が世界に誇れるものとして、白いタオルをブランドのアイコンにするのがいいと考えました。
白いタオルを並べると美しい。
この白さは、クオリティ感を表現できるる。

今まで白いタオルはよく粗品でもらうとか、あまりいいイメージではなかったんですが、「安心・安全・高品質」のメッセージの象徴が、白いタオルだと価値を転換させたのです。

これがお米だったら、品質や味の良さを伝えるなら「白いごはん」のまま提供するのが、一番お米のよさが伝わりますよね。
だったら、白いタオルでいいじゃないと。

単純な話ですが、これを実際に考えて実行するのはそう簡単なことではありません。恐らく当事者(生産者)は考えもしないし、もし誰かがそれを言い出してもみんな反対するでしょう。

ブランディングの肝は、当事者ではなく、現状を客観的、俯瞰的にみられる第三者の一流のプロの目です。その意味で、可士和さんがクリエイティブディレクションされたのは大正解だったと思います。

ある日、コピーライター田中有史が、町工場のキャッチコピーを勝手に作った件


さて、この価値の転換は、私たちがつくるパッケージ/貼り箱にも同じことがいえます。

商品のパッケージ/化粧箱は、一般的には包装/梱包資材です。
必要なんだけど、あまりお金はかけたくない。というのが、企業の本音です。それは、理解できます。

ただ、きちっとしたパッケージにするかどうかで、ブランドの価値が大きく変わることも確かです。
どういうことかというと、パッケージ/化粧箱/貼り箱は機能として包装資材であり、基本的な商品を包む、運ぶ、保護する役割があります。

しかし商品パッケージには、それとは違った大きな役割があります。商品の良さ(美味しさや機能など)やそのブランドのコンセプト、価値を伝えるという大きな役割です。これはパッケージの機能的価値に対して、感情的価値です。

情報社会の今、機能的価値も大切ですが、感情的価値はもっと重要な意味を持って来ています。

パッケージ価値を転換=意味が変わる

弊社のキャッチコピーである「意思を運ぶ箱。」、これは私たちがつくる貼り箱がただ単に商品を運ぶ箱ではなく、“企業、依頼主の意思を運んでいる”ことを表しています。

これは箱が「商品を運ぶ」機能だけではなく、“企業、依頼主の意思”、つまり「ブランドの意思を運ぶ」という目に見えないことを可視化したパッケージ/貼り箱なのです。

意思を運ぶ箱。は、ブランディングやマーケティングであり、顧客との接点(コンタクトポイント/タッチポイント)としてのコミュニケーションです。

まさに、ただ「運ぶ箱」から「意思を運ぶ箱。」へ。
パッケージ本来の価値を転換させ、パッケージの「意味」を変えます。

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