金塊
金塊で殴られて死んだ。
そんな僕の周りに人が集まる。
容疑者、探偵、その助手、それから、野次馬。
死体な僕はのんびり聴き耳。
探偵は案外まともな推理をしている。
もっと素っ頓狂な輩だと思ったが。
犯人が震えはじめた。
いい調子だ。
だが、誰かが言った。
――金塊で殴り殺されるなんて、縁起がいい。
その場が混乱。
縁起が悪い?
縁起がいい?
来世はきっと安泰だ。
そんな結論で幕引き。
みんなが笑顔になった。
こんなのあんまりだ。
僕は成仏できずに金塊に取り憑く。
殴って、殴って、死体の山。
来世はきっと畜生にすらなれないだろう。
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