リュックサック
リュックサックが重い。
荷物を入れすぎるのはいつものことだ。
だが、それにしても、重い。
下ろして確認するのは面倒だ。
なんたって人の多い道。
止まると迷惑そうに睨まれるのが目に見えている。
僕は重いリュックサックを負いながら歩く。
だが、その重さはだんだん無視できないものになってきた。
それに人々がこちらを見て、そして、逃げていく。
僕は慌ててベンチを探し、リュックサックを下ろした。
人間の四肢がはみ出していた。
リュックサックの中から黒い手が伸び、
はみ出した誰かの腕を掴んで引きずり込んだ。
中からばきばきと音がする。
僕は恐る恐る中を覗き込む。
黒い手が僕の目を抉った。
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