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走り書き

 誰かの走り書きを見つけた。
 
 駅の構内の白い壁。
 こんなところに何故。
 
 辺りを見渡すが人はいない。
 
 その走り書きは読めないほど汚い字だ。
 何をそんなに焦る必要があるのだろう。
 
 後ろから足音が聞こえる。
 やたらと、大きい足音が聞こえる。
 
 振り返ると、何か、がいた。
 
 僕は悲鳴を上げて走り出す。
 
 袋小路。
 もう助からない。
 
 その瞬間、思い出した走り書き。
 
 ――逃げろ。
 
 今更気づいても遅い。
 
 何か、が目の前に現れる。

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