見出し画像

発光

 世界が発光している。
 植物も、街も、人でさえも。
 
 それは僕が彼らを羨んでいるから。
 
 僕は影よりも尚、暗い。
 
 発光したくて塗料を塗った。
 雨に流された。
 
 発光したくて電飾をまとった。
 すぐに混線してちぎれた。
 
 発光している世界が辛くて、
 路地裏に逃げ込んだ。
 
 暗い暗いそこはほっとする。
 だけど、そこにも淡い光が。
 
 僕は苛立って、その発光源を探す。
 
 それはガラスに反射した僕の光だった。
 
 僕は自分の手足を見る。
 あまりに仄かな、それでも、確かな光がそこにあった。
 
 それはそれで悪くない光だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?