まな板
白いまな板の上に鯉が乗っている。
鯉は逃げ出そうと藻掻いているが、
まな板はその平面から腕を突き出す。
白い手で鯉を鷲掴みにして、離さない。
僕はありがたく鯉に包丁を入れていく。
「あ」
僕は声を上げた。
誤って、鯉と一緒にまな板の手を切ってしまったのだ。
何度も謝るが、まな板は許してくれない。
鯉の次に拘束されたのは、僕だった。
誰かが包丁を持って部屋に入ってくる。
僕はこれから捌かれるらしい。
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