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ピント

手を繋いでじゃれていたら、ふとこっくりこっくりしだして、その手が止まる。

普段はこんなところで、手を繋いだりしないのに、優しさを与えるために、繋いでくれた手は温かく、柔らかだった。

トラウマと優しさを同時にくれる人。

「またね」

ピントの合ってない目で 、私をちらり見て少し手を挙げ、わたしも同じように手を挙げたのを確認して

眠そうなふりをして、帰っていく姿を電車の中から見送った。


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