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エキセントリック収縮、コンセントリック収縮、アイソメトリックトレーニングとは?

エキセントリック収縮(ネガティブ動作)、コンセントリック収縮(ポジティブ動作)は筋トレ時筋肉が短い、長い状態に関係している用語です。私たちが何気なくジムでやっているとレーニンが筋肉にどのような状態をもたらし、筋肉にはどのような影響があるのかこの記事で説明します。

通常、一般的な筋トレを行う際には筋肉の生理的な動きの状態まで顧慮することはあまりありません。もちろん正しいフォームやバランスを意識することは重要で、習慣化されている人も多いでしょう。それだけでも素晴らしいことだと思います。しかし、トレーニング中には私たちの筋肉にはたくさんの影響が起きています。時には、何が起こっているかを正確に知ることで、より効果的に働き、より良い結果を導くこともできます。エキセントリック、コンセントリック、アイソメトリックに関して分かっているかどうかに関わらず、トレーニング中、筋肉がどういう状態で働いているか意識することで、筋力トレーニングプログラムのより良い結果を得ることができるかもしれません。 

コンセントリック・エキセントリック・アイソメトリックの違い

コンセントリックとは

簡単に言えば、筋肉の繊維が短くなる収縮のことをいいます。この収縮は抵抗力(体重や重力など)に対して、筋肉を縮めます。例えば、バイセップスカールの間、上腕二頭筋は持ち上げる段階でコンセントリック状態となるわけです。筋トレの多くの動きの中で関節を曲げることでこのコンセントリック収縮作り出すことができます。コンセントリック収縮をもたらす動きとしてはウェートを持ち上げることが挙げられます。スクワットをする際に立ち上がる動作やプッシュアップの中で体を持ち上げる際の動作になります。コンセントリックは筋肉を構築するために不可欠です。しかし、関節の摩耗や損傷を引き起こし、怪我のリスクを増加させる可能性があります。また、繰り返されるコンセントリックの動きは、筋肉の緊張や痛みにつながる可能性もあります。

エキセントリックとは

筋肉が短縮した位置から休止位置に戻ることによって長くなる状態を言います。コンセントリックの例を使用すると、バイセップスカール中に腕を伸ばすことは、上腕二頭筋のエキセントリック収縮です。収縮した筋肉を伸ばしながらも腕を一気に降ろさないように筋肉がブレーキとして力を発揮している状態になります。コンセントリックの動きに比較し、一般的にはこれを「休憩をとる」と考えている人も多いですが、エキセントリックの時にも筋肉に負荷をかけ刺激を与えています。ウェートを下す行為やスクワットをする際にしゃがみ込む動作などがエキセントリックの例として挙げられます。

アイソメトリックとは

アイソメトリックとはは、関節を動かさない筋肉の状態です。筋肉には力が入っていますが、筋肉の繊維が長くなったり短くなることはありません。わかりやすい例を言うと、壁を力いっぱい押し付けるとしましょう。この場合、関節を動かすことはありませんが、筋肉に力が入り緊張が走っていることが分かります。また、腹筋運動をしていなくてもウェートトレーニングでは腹筋に力が入ることが多いため、腹筋が自然と鍛えられることも腹筋がアイソメトリック状態で鍛えられているためです。このアイソメトリックを用いたトレーニングでは関節を曲げなくてもよいため、体の負担が少ないと言われています。この身体への負荷が少ないという事が、基本的なアイソメトリックトレーニングのメリットになります。怪我をしてその箇所の運動機能が著しく落ちた場合、その運動機能を回復させる為に行うリハビリテーションなどのトレーニングで有効活用することができます。

エキセントリックを重視したトレーニング


エキセントリックを重視するメリット

エキセントリックの動きは人々にとって最も慣れてない動きになります。その故、このタイプの収縮はケガをもたらす場合もあります。階段を上るより降りる方が安全ではないと感じることもこのためかもしれません。しかし、このエキセントリックを繰り返すことで、動作に慣れることができ、筋肉の成長にもいい効果をもたらすことができます。コンセントリックの動きに比べて、エキセントリックでは速筋が使われる割合が高くなると言われており、コンセントリックだけでは刺激できない筋繊維を刺激することができます。速筋は筋肥大と筋力に直接かかわる筋肉群のため、筋肉の成長を狙っている人ならばこの速筋に対する刺激を大切にしなければなりません。また、コンセントリックに比べてエキセントリック収縮の方が重さを耐えることができます。その重さはコンセントリックと比較し約1.7倍だと言われています。エキセントリックに集中した動きだけを行えば、より重い重量で筋肉に刺激を与えることができることです。その結果筋肉が成長すればコンセントリック収縮でもより重い重さを扱うことができるようになります。また、実はコンセントリック収縮に比べて筋繊維が損傷しやすいことが分かっています。損傷を起こしやすいからこそ、回復時成長を促すことができるということです。このようなメリットからエキセントリック収縮を意識しなければならないということです。

エキセントリックの負荷を強くする方法

エキセントリック収縮ではコンセントリックよりも重い重さを耐えることができるために、コンセントリックの方が先に限界を迎えても(ポジティブ・フェイラー positive failure)、その後もエキセントリック動作は可能となります。エキセントリック収縮を最大限引き出すためのいくつかの方法を以下で説明します。

①フォーストレップ法(forced rep)
フォーストレップ法ではエキセントリックの負荷を引き出すため、他の人のサポートが必要となります。持ち上がる重量よりも重い重量を設定し、持ち上げる時(コンセントリック収縮時)には補助をしてもらい、下げるときだけ力を最大限力発揮する方法です。エキセントリック収縮は刺激が入りやすいため、気づかないうちにオーバートレーニングになりやすいです。この方法でトレーニングを行った場合、十分な休養を取ることが重要です。

②チーティングを使う
◎チーティングとは何か
チーティングとは筋トレの際に、鍛えるべき筋肉以外の筋肉を使ったり、勢いや反動をつけてトレーニングを行うことを言います。本来狙う筋肉の部位に正確に刺激を伝えるためにチーティングを使うことはよくないと考えられており、チーティングをすることでトレーニングの効果が下がるとされています。しかし、このエキセントリック収縮を意識したトレーニングでチーティングは有効といえるでしょう。
◎チーティングの利点
チーティングをすると本来は効果が減少するにも関わらず、エキセントリックに集中する際は利点があることを書く
チーティングを使えば、狙った部位以外の筋肉を動員したり、反動を使って普段よりも高重量のウェートを持ち上げることができます。コンセントリック動きの時のみにチーティングを使い高重量を上げ、下げる動きをする時(エキセントリック収縮時)には狙った部位を意識することができるため、コンセントリックよりも高重量を扱えるエキセントリックに活用することができます。

③ネガティブの際のみ重量を追加する
最後にエキセントリックの効果を引き出すため、ネガティブの際のみ重量を追加する方法が挙げられます。種目や使うマシンによってはネガティブ動作のみ重量を追加することが難しいことがありますが、どうしても補助してもらえる人がいない時など活用することができます。

エキセントリックとコンセントリックのバランス

コンセントリックとエキセントリックを組み合わせると、それぞれでは鍛えられない筋肉群を鍛え補うことができるため、筋力と扱うウェートの重量を伸ばすことができます。その結果、筋肥大や筋力アップにおいてもより大きなメリットが得られます。どちらかだけを集中してトレーニングすれば、ケガが発生しやすくなることがあり、コンセントリックとエキセントリックの両方の収縮を意識した筋トレを行うことをお勧めします。幸いなことに、ほとんどのトレーニングには、コンセントリック収縮とエキセントリック収縮が含まれています。ただし、それぞれの段階でどれくらい意識するか時間を費やすかによって結果に影響を与える可能性があります。

まとめ


コンセントリック・エキセントリック・アイソメトリックの分野における研究は、スポーツやリハビリの多くの分野で拡大し続けています。それぞれの状態を理解し、トレーニングで意識することで自分に合った方法を見つけることが重要となるのではないでしょうか。特に忘れがちなエキセントリック収縮を意識したトレーニングを普段のトレーニングプログラムに取り入れて活用することによって筋肉の成長にさらなる効果を得ることができるかもしれません。この時には無理をしてケガをしないように気を付けましょう。

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