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【harmo(ハルモ)ワクチンケアの特長】ワクチンの打ち間違いを防止する機能について解説

hamroワクチンケアの創案者である福士岳歩にインタビューを行いました。福士はもともとソニーのエンジニアで、現在は予防接種管理システムの「harmoワクチンケア」の開発をしています。

本記事では連載として「harmoワクチンケア」の技術やその特長について紐解いていきます。今回は、ワクチンの打ち間違いを防止する機能について解説します。ぜひ最後までご覧ください!

■Profile
harmo株式会社 代表取締役会長 兼
シミックホールディングス株式会社 CCO Lab.責任者
福士 岳歩

harmoの創案者。2000年にソニー株式会社に入社。2008年、自らの体調不良を機にharmoおくすり手帳を考案。2011年に実証実験、2013年に部署設立を経て、2016年、ソニーの社内ベンチャーとして事業化を果たす。2019年6月にharmoおくすり手帳事業をシミックグループへ承継。その後CMIC Tech Lab所長に就任。harmoワクチンケアを考案。2021年10月、harmo株式会社創業に伴い代表取締役Co-CEOに就任。2022年10月より代表取締役会長に就任。2024年1月からはシミックグループCCO Lab.の責任者も兼務し、harmoワクチンケアから派生するサービスを中心に、新たなヘルスケア事業を創出することを目指している。

―――ワクチンと薬のルールの違いについて教えてください。

福士:ワクチンにも薬にも、各々の製品ごとに使用量や使用間隔などのルールがあります。これは製品を作った製薬会社が定めるものです。この点においてワクチンと薬に違いはありません。それでは何が違うかといえば、このルールを守るのは誰かという点になります。薬の場合、服用するのは患者さまなので、ルールを守るのは患者さまになります。しかし、ワクチンの場合、接種を行うのは医師なので、ルールを守るのは医療機関になります。

さらにワクチンの接種を公費で実施する場合には、接種スケジュールや間隔など、国が定めたルールに厳密に従う必要があります。例えば、あるワクチンを公費で接種する場合、1回目の接種後、2回目を行うまでには最低30日間の間隔をあけなければならない、といったルールです。この場合、医療機関は十分にルールの遵守を確認する必要が出てきます。

―――どのような点が課題ですか?

医療機関がこれらの確認を手作業や目視で行っている点が課題です。これにより、手間や時間が多くかかるだけでなく、間違いも増えてしまいます。

・ワクチン接種の間隔
ワクチンの打ち間違いが起きないように医療機関は様々なことに細心の注意を払っていますが、中でも接種スケジュールの管理は非常に複雑で大変です。同じ種類のワクチンのみならず、生ワクチン※同士の間隔、年齢や性別なども確認をする必要があります。

※生ワクチン…生きた細菌やウイルスの毒性を弱めたもの。これを接種することによってその病気にかかった場合と同じように抵抗力(免疫)ができる。

・アナログな管理体制
医療機関では、接種間違いを起こさないように様々な工夫をしています。例えば、医療機関独自の管理用紙を作成したり、ダブルチェック、時にはトリプルチェックの体制を構築し何重にも確認したりしています。それでも、母子手帳にゴム印で押された日付をみて接種間隔を正確に計算し管理することは容易ではありません。また、間違えてはいけないという心理的負担がストレスにつながってしまいます。

――――その課題をharmoワクチンケアのどのような技術で解決できますか?
harmoワクチンケアを使うと、ワクチンの情報を手入力なしに記録でき、さらに接種可否を瞬時にシステム上でチェックをすることができます。具体的には、ワクチンの製品に付記されるバーコードをカメラやリーダーで読み取ることで、ワクチンの種類やロット番号などの情報を瞬時に把握することができます。そして、患者さまの過去接種歴と照らし合わせて、今回の接種が適切なタイミングで行われるかどうかが「〇」「×」で表示され、医療従事者が確認できるようになっています。

例えば、乳児のお子様が肺炎球菌ワクチン接種した場合、次回の接種まで27日間以上の間隔をあける必要があります。もし、前回の接種から26日後に接種してしまうと医療事故になってしまいます。このような状況を回避するために、過去の接種履歴を基に「本日は接種できません」といったアラートを出すシステムを構築しています。

―――国の方針で定期的に接種ルールが変わるようですが、すぐにシステムには反映されるのでしょうか?

国が出している接種ルールに変更があった場合でも、すぐに対応することができます。harmoワクチンケアでは、この接種可否を判定する仕組みをサーバー内で構築しています。これにより、国から接種ルールの変更が通知された場合には、サーバー内の情報を変えるだけで、簡単にシステムを最新版に変更できます。接種ルールの変更に速やかに対応できる体制をとっているため、患者さまにも、医療機関にも、安心して利用いただけます。

仮に、医療機関のアプリ内にこの仕組みを実装してしまうと、アプリをアップデートするまで過去の接種ルールが残り続けてしまい、医療事故につながるリスクが出てきてしまうのです。

―――実際にワクチンの打ち間違いを未然に防止した事例はありましたか?

harmoワクチンケアの実証実験をスタートして約3年が経ちますが、100件以上の打ち間違いを防いだ実績があります。事例として、ワクチンを接種しに病院を訪れた患者さまに対して、harmoワクチンケアのシステムを使って接種可否を判定したところ「×」が出たため、よく確認すると接種間隔が1日だけ早かった、といったこともありました。

また、実際利用している看護師さんからは「事前に接種可否のチェックをシステム上で行うことで、患者さまに安心して接種をすることができています。」とお言葉をいただくこともありました。

さいごに

今回は、「ワクチンの打ち間違いを防止する機能」について解説しました。harmoワクチンケアでは、医療従事者向けのシステムと、患者さま向けのアプリが連携することで、より安全かつ正確なワクチン接種を実現するためのサポートをしています。
今後も連載として、harmoワクチンケアの技術やその特長を解説しますので楽しみにしていてください!


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