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「迷いや不安は乗り越えるものではない」人材のプロに聞く、自分らしいキャリア構築の秘訣

キャリアやプライベート、それぞれのステージで新しい世界線に立つ人にスポットをあてるインタビュー企画「はじまりのものがたり」

新しく物事をスタートするときにある希望と不安。はじめの一歩を踏み出す前だからこそ感じうるリアルな気持ちをひもときながら、その決断にいたった理由や想いを伺います。

記念すべき初回、お話を聞かせてくださったのは、iクリエイト代表の白鳥舞さん 。ライフキャリア創造支援者として、人のキャリア構築にまつわる課題解決をサポートする彼女はこの春、15年の会社員生活を終え独立されます。

会社員と個人事業の複業でキャリアを積み重ねてきた舞さんが独立を決めた理由、どうして「いま」だったのか。安定の職を手放してなお目指す世界はどこにあるのか。等身大の想いを語ってくださいました。

白鳥舞さん
大手飲料メーカー、総合人材サービス会社でのべ15年勤務。うち、6年間のパラレルキャリアのち、24年春に独立。人の可能性に光をあてる、独自のキャリアセッションで多くのクライアントの「本領発揮」をサポート。iクリエイト主宰。一児の母。


「存在価値が見えない」キャリア迷子を救ったマーケティング思考

ーー まずは舞さんの経歴を教えてください。

飲料メーカーと総合人材サービス企業で15年、会社員として働きました。そのうちの6年間は、会社員のかたわら個人事業もスタートし、パラレルキャリアを続けました。

きっかけは育休後にワーママとしてのキャリアの壁にぶつかったことです。仕事と育児の両立がうまくできず、いつどの場所にいても、自分は「すべてにおいて他人より劣っている人」としか感じられなくなりました。

自分のことが嫌い、存在価値もわからない…そんなアイデンティティが崩れてしまった状態から私を救ってくれたのが、マーケティングと商品開発でした。当時、飲み物ブランドを対象におこなっていたことを、ためしに自分に置き換えて実践してみたのです。

ーー 具体的にどのようなことをされたのですか。

商品の特徴をとらえ、それを活かせる(売れる)適切な場所を探るのがマーケティングです。マーケティング視点を自分に向け、私自身の価値を見つめ直しました。価値を知り、活きる形を探ったことで、「自分にもできることがある」と光が見えて。

 この経験が他の人の役にも立つのではと考え、「キャリアのブランディング」サービスを始めたのが個人事業主としての活動のスタートです。

ーー ご自身の辛い実体験があってこそ、個人事業が生まれたのですね。

その後、さらに深く人のキャリアを扱えるようになりたいと考え、人材サービス会社に転職しました。そこでは主に法人側に立った採用コンサルをしていましたが、さまざまな業界や職種、老若男女のあらゆる価値観を知り、一気に視野が広がって。

自分の価値観のかたよりにも気づけ、考え方がフラットになりました。それは個人の仕事にも活きましたね。

個人の可能性に光を当てる「iクリエイト」のサービス

ただやりたいと思ったから、独立を選んだ

ーー どちらかが主体ではなく、会社員と個人事業の双方が舞さんにとって大切な仕事だったのだと感じました。複業は順調に進んでいたと思うのですが、いま独立を選んだ理由は何だったのでしょうか。

単純に、「もっとセッションをしたくてしたくて、我慢できなくなった」からです。

セッション:
カウンセリング・コーチング・コンサルティングなど、1:1でおこなう対話の総称

もっともらしい理由を他にあげることもできますが、決め手になったのは「やりたい」と願う強い想いでした。

ーー やりたくなったから、決めた。すごくシンプルです!

「うまくいかなかったらどうしよう」ではなく、「たとえうまくいかなくても、やりたい」と心から思えたからこそ、決断しました。

キャリアカウンセリングではその人の思考癖なども丁寧に紐解いていく

ーー 心から納得したうえで決断されたのですね。その決断に至るまでに、不安はいっさいなかったのでしょうか。

それはもう、ありましたとも!独立するかどうか悩みすぎて、最後の方は「私、まだ迷ってるの」と飽きれていたくらいです。

ーー 緊張感や不安がありながらも、それらを乗り越え新しい道を選ぶ決断をするうえで、舞さんが大切にされたものはありますか。

実は、今回のキャリアチェンジに関して、勇気を出して恐れを乗り越えた感覚はなくて。

心から納得して決意できるよう、自分の感じる不安やネガティブな気持ちは置き去りにしないよう心がけました。無理に決断するのではなく、まず「勇気が出ない、怖いと感じる気持ち」を徹底的に深掘りしたのです。

自分の内面に向き合うと、自分が何を大事にし、どうしたいかが見えると思います。

自分の本当の想いが見えたら、それでもなお、怖いと感じるその道を選ぶのか、はたまた全く別の道が浮かび上がるのか…いずれにせよ、進む方向が自然と確定する瞬間があるのではないでしょうか。

ーー 恐れや不安を勢いやパワー、気力で乗り越えるのではなく、徹底的に自己と対話し、その正体を明らかにしていくのですね。

何が嫌なのか、何が怖いのか、ネガティブな気持ちに向き合いました。私の場合、「本当に会社を辞めるの?」と100回くらい自問自答していて。

散々考えた結果、そのころにはもう不安の正体やその対策も見えていました。さまざまなことがクリアになったのからこそ、迷いなく独立を選べたのだと思います。

100回迷って自問自答して、それでもなお決断したものには土台ができあがっていてゆるがないと思います。だからこそ、迷いは糧だと思いますね。

課題を「ながめる」期間を持つと、悩みは悩みでなくなる

ーー 不安な気持ちを必死で乗り越えて進むことが全てではない、と気づかされました。ただ、自分が感じる不安や迷いといったネガティブ感情を見つめ続けるのはたいへんだと思います。舞さんは具体的にどのようにして自分に向き合ったのでしょう。

自分の内側だけで悶々と考え続けるのではなく、抱えている思いを書き出したり、人に話したりすることで自分の外側に出し、俯瞰できるようにしました。課題を自分の中から出して、側に「置いておく」イメージですね。

その課題を何とかしようとするのではなく、いったん距離を取る。課題を必死でにぎりしめるのではなく、少し手から放して眺めてみることで、課題そのものや自分自身について客観視でき、考えも深めていける気がします。

「会社を辞めようと思うが、不安や迷いがあり決断できない」のであれば、退職するか続けるか、すぐに決めなくてもいいと思っていて。距離を置き、いったん“今は決めない”ということを決めるのも、ひとつの大切な決断なのではないでしょうか。 

ーー もはや「悩む」ではなく、その課題について「検討する」印象を受けました。舞さんのように、課題を持ったまま過ごせる人もいる一方、決断しきれない状態がつらくなる人もいるのではないでしょうか。

モヤモヤと迷っていると、「早くスッキリしたい!いい加減、決めたい!」と感じますよね。私も根が焦りんぼなので、その状態はかなりつらいです。

一つひとつ小さな決断を積み重ねて、前進している実感があることが大事だと思います。そのためには、「人の手を借りて自分自身と向き合う」方法が有効ではないでしょうか。

迷いや不安こそ、自分の糧になるもの

ーー 不安や迷いを持つとすぐに次の一手が見えてほしいと考えますが、迷いながらでもじっくり自分と向き合えば、納得できる答えがおのずと見えるのかなと感じました。

何かに悩んだとき、不安を覚えたとき、それをどうこうしようとするのではなく「この気持ちは何だろう」と問いを立てる。それを繰り返すと自己理解は深まっていきます。視点を迷いそのものに向けるのではなく、迷いをヒントにして自分を知っていければいいですね。

ーー 感情は自分を知るうえで大切なものですよね。ただ、ネガティブな感情はつい目をそらしたくなります…。

まずは日常におけるささいな気持ちの揺れに意識を向けることから始めるといいかもしれません。例えば、「あの時、私は嫌な気持ちだったな」とちょっとした感情の変化に着目するだけでもいいと思います。

そこから「本当はこうしたかったんだな」と「ありたい姿」を探すとなお、ベターです。「忙しくてイライラした」と気づけたなら、「私は余裕を持って人に優しくしたいんだ」と知る。

「どうしてこんな嫌な気持ちになったのか」とネガティブにフォーカスを当てて深堀りしていくのはしんどくても、その気持ちをポジティブなものに変換すると、内面に向き合うのはさほど辛い作業ではなくなるかもしれません。

ーー 一見、ネガティブな気持ちも自分の「好き」を定めるためのものだとするなら、マイナスな気持ちを持つのも有意義に思えます。

自分の感情は、思う以上にユニークです。「私は悲しい」「私は嬉しい」など、気持ちを丁寧に外に出してやると、自分のタイプがはっきり見えてきますよ。

ネガティブもポジティブも受け止めるとその人らしさが発揮できる

ーー 舞さんは、ご自身のなかに共存している「ネガティブ」「ポジティブ」のバランスをうまく取っていらっしゃいますね。

ネガティブ感情を持つのはしんどいですし、できるならポジティブな状態のままでいたいですよね。ただ、ネガティブを否定はしたくなくて。

ネガティブを受容できないと、自分の本来の力が発揮できない気がするからです。相反する2つのバランスを取るというよりは、両方を受け入れてエネルギーにする感覚が近いですね。

もし、行動に使えるエネルギーが100あっても、特性を活かしたいアクセル60、抑えたいブレーキ40だったら、20しか進めません。あれこれ考えたり行動している分、エネルギーは100使っているのに、進度は20。つまりはエネルギー漏れが起きている状態です。

だからこそ、自分の全ての面をいったん「こういう面があるのね」と受け入れてみる。嫌な面を嫌だと捉えて否定するのではなく「そういう特性がある私を、どう活かそうか」「そんな私だからこそ活きる形は、なんだろう」と考える。そうして初めて、その人本来の力が発揮できるのではないかと思っています。

ーー 認めると、力に変わるのですね。

どっちが良くて、どっちがダメ、と分けて考えるのではなくて、どっちも私と認められたら、ネガティブもポジティブも両方が、前に進むエネルギーになるのではないでしょうか。

基本的に、この世の全てのものにネガティブとポジティブ両方の側面があります。どちらか一方だけしかないものはない。だからこそ、ものごとを決断する時も、その決断の双方の側面を見るようにすると、後悔のない選択ができると思います。

「自分が自分でよかった」と思える人を増やしていきたい

ーー 全ての自分を認められたら生きやすくなりそうですね。

自分でよかった、と心底思える人が増えたらいいなと思っています。子どものころから自己肯定感が低くて、自分を否定してばかりだった私だからこそ強くそう感じます。独立後、セッションを通じて一人ひとりと深く関わり、その人の本領が発揮されるサポートができたら最高ですね。

自分の感情をヒントに自分を深く知り、最後はどんな自分自身をも受け入れられたら、きっと自分の人生に納得感も生まれるし、幸せなのだと思います。

ーー 素敵な世界観です…!最後に、新しい世界に一歩踏み出そうとしている方々に向けて、メッセージをいただけますか。

何かをやりたいと感じたなら、 ご自身のその願いはぜひ叶えてあげてください。正解不正解、良し悪しではなく、「やりたい」や「好き」という気持ちがわかるのは自分しかいないからこそ、本心は大切にしてほしいなと。

もしそこに何らかの迷いがあるなら、自分と向き合うことで必ず進むべき道がわかるときがくる。そう信じて、自分自身と対話を続けてほしいと思います!

***

不安や恐れを乗り越えることで、新しい道が開けると考えていた私。舞さんの

迷ううちは動かない。不安や恐れのもとがどこにあるのかをじっくりひもとくことで、自ずと答えは見えてくる―。

この言葉から、決断すること以上に、迷いや不安をきっかけにして自己理解を深めるプロセスにこそ、人生をより豊かに生きる要素が眠っていると感じました。

「この道でいいのか」
「私はほんとうは何がしたいのか」

そんな迷いが生まれても悲観することなく、その気持ちを「ヒント」と受け止めて人生を前向きに歩みたいと思います。

舞さんが主宰される「iクリエイト」では、「自分の好きな自分を生きる、理想の世界をこの手で創る」をテーマに、「自分らしいライフキャリアの創造」をサポートされています。

「自分の内面を見つめて、心から納得する道を模索してみたい」そんな想いを持つ方はぜひ、舞さんのセッションを受けてみてください。とことん自分を見つめる時間は唯一無二!自分も知りえなかった新しい自分に出会えるきっかけが待っています。

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