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作品を通じたコミュニケーションが楽しい。つまようじペインター momomi satoさん

国内外のイベント出展などで注目を集めるmomomi satoさん。美術大学卒業後のアパレル業での心の変化に向き合い、アーティスト活動をスタートしました。絵が大好きだった幼少時代、そして未来への挑戦についてお話を伺いました。

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周りが喜ぶのが楽しかった

幼少期から絵を描くのがお好きだったのですか?

物心ついたころから、ずっと絵を描いていた記憶があって、小学校1年生から絵画教室に通っていたりしました。絵を描くと両親が「上手にできたね〜!」と喜んでくれるのが嬉しくて。私は、運動ができなかったので、その代わりに絵を描いて周りの人が喜んでいるから楽しいっていう。絵を描く楽しさというよりも、周りが喜んでくれるのが楽しいから、描いていたんだろなと思います。

将来は絵を描くことを仕事にしたいと思ったことも?

「絵を描くことを仕事にしたい」と思って今があるか、と言われると私の場合は違いますね。漠然と、絵に纏わる仕事はしたいとは思ったんですけど、イラストレーターやデザイナーなどをイメージしていました。私が入学した高校は、美術の教育に特化していて、美術の先生や授業も所謂普通科の高校よりは充実していました。そういうこともあり、高校に入ったころは、私の周りは美大に行きたいという子ばっかりで、私も美大に行ってデザイナーになりたいなと漠然と思っていました。結果、大学の就職活動時期はリーマンショックとも重なり何十社も受けたのですが、全然ダメで。就職を諦め、当時アルバイトしてたアパレルで正社員登用となり、働きながら趣味で続けていた。というのが最初のスタートでした。

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「自分の作品について話したい」接客中に気付いた気持ち

agnes’bというブランドで、店舗スタッフとして働かれたのですね。

ブランド自体が、アートを大事にするデザイナー、ということもあったのですが。洋服を販売する時に、そのデザイナーが何を大事にしているのか、「こういう思想をコンセプトにして洋服にしてるんだよ」みたいな説明をお客様にするんですね。それを毎日やってるうちに、何だか人の作品ではなくて、自分の作品について話がしたくなってきまして。当時も、プライベートでは作品制作活動は並行して行っていたのですが、誰かの作品、プロダクトを売るのではなく、自分の作品について話せて、自分で決められるようになったら面白そうだな、と考えるようになりました。

そこで生まれたのが「つまようじペイント」ですね。

当時、アパレルで働きながら作品を作ろうと思った時に、大学はデザイン科でパソコンで描くのが主だったので 改めてアナログに戻りたいなとずっと考えていました。今の時代、macさえあれば誰でもなんでも作れますよね。それはちょっと寂しいなって思ってきてアナログに戻りたい、さらに他の人と違うもので描けないかと考えるようになって。筆使いが上手な人も沢山いるので、道具を変えることで同じ土俵で戦わなくても良いかなと。
そんな時に、オーストラリアのアボリジナルの方々が制作したドットアートに出会いまして。ふと電車の中吊りか何かでの出会いだったと思うのですが、「あぁドットアートかぁ、やってみようかな」と。綿棒や針や竹串など色々試して見たら、つまようじが一番自分が思っている気持ちのいいサイズ、質感のドットが打てるということが分かったんです。そこから、つまようじで描くようになりました。2012年頃ですね。

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ご自身の作品スタイルが見えてきて、そこから活動が広がっていった。

会社を辞めてから、展覧会に出したりネットでグッズを販売したりということを始めました。それまではひたすら家で作って家にただ作品のストックがたまっていくだけっていう感じで。
私自身、個展はまだ2回しかやったことがないのですが、最初の個展の時は、とあるマーケットイベントに出店した時に、お隣にいた雑貨屋さんにお声がけいただきまして。蔵前の雑貨屋さんなのですが、お店の中にイベントスペースを持っていて展示やイベントを企画されていて。そこで初めての個展を開催させていただきました。2回目も担当者の方からお声がけいただき、銀座のカフェで開催しました。
私の場合は自分から営業にいくと失敗するタイプだと思っていて(笑)結果、お声がけいただいていろんなことが実現して、恵まれているなぁと思います。

居心地悪そうなモヤイ像。幼少期の自分と重なった。

ご自身の作品の中で一番好きな作品について教えてください。

そうですね、一番好きな作品は、そうだなぁやっぱりこのモアイを描いた作品ですね。これは「渋谷ピクセルアート」というコンペで賞を頂いたものです。

これ渋谷のモヤイ像がモチーフです。「渋谷ピクセルアート」のコンセプトが、ドットアートを含め色んなピクセルで絵を描いてる人達が渋谷を表現するというものでした。そこで、悩んだ結果、あのハチ公に比べて影が薄い(笑)モヤイ像を表現しようと。何だか居心地悪そうに見えるんですよね。だから、何だか可哀そうで。自分の幼少期と重ねてしまって、なんかこう周りから目を背けるように佇む私みたいな感じがして。人気ものにしてあげたいって勝手なんですが思いまして。カラフルに目立つように「自分をだしていこうぜ」みたいな感じにしてこれを描いたんですよ。これがとても気に入ってます。

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今後目指していきたいことについてお聞かせください。

大きな作品を描きたいなって思っているんです。今は家で作業しているのでその範囲で描けるものになってしまっているので。壁画とかやってみたいですね。でも私が壁画をやったら何か月かかるんだろう(笑)果てしなく大きい作品をやりたいなとぼんやり思う反面、現実的なことを考えると、今の制作している位のサイズの作品のほうが需要があるので、需要と自分のやりたいこととっていうバランスがちょっとまだ整ってないかなとも思います。

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需要を意識されている?

私の作品は、動物の作品と模様みたいなパターンと2つの軸があるのですが、特に動物は男性にとても人気で、模様パターンは女性に人気があります。意外ですよね。需要って意識しようと思っても出来ない物だなとつくづく思います。なんとなく、一方的になりたくないなと思うんです。絵を通してコミュニケーションできたら良いなと。私自身、言葉を通してのコミュニケーションは得意ではないのですが、私の絵が好きな人って何だか私と共通感覚が通じているような方が多い気がして。お話してると「すごいそれわかります!」みたいな事がお互いにあったりするので、そういう力がアートにはある。そういうことを大事にしていきたいですね。作り手も、見る側も皆がハッピー、それがいいですよね、平和。

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最後に・・・

現在、インストラクターを勤めるアートスタジオ、Artbar TokyoのYoutubeチャンネルにて、新型コロナウィルスの自粛要請にてお家で過ごしている方へ簡単にチャレンジできるアート紹介動画を公開しているそうです。ぜひこちらもご覧ください!


momomi sato/つまようじペインター
武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。幼い頃から絵を描く事に親しみ、画家になる夢を抱く。アパレル会社退職後「つまようじで描く」という新ジャンルのパイオニアとして多分野で活躍している。つまようじの先端から生み出されるドットには朗らかでありながら芯の通った彼女の人柄が表れている。絵画作品の他スマホケース等のプロダクトも制作しており、展示や販売など精力的に活動している。
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