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"怪物妻"がマイホームと新車購入で実践した「限界の半歩先を行く値引き交渉の極意」

私の妻は会社の同僚から「ハートリー家の怪物(モンスター)嫁」と言われています。
ハートリー家で起きる出来事は妻が中心となることが多く、そのエピソードを同僚は楽しみにしています。

私が思う最も強烈なエピソードは、「子供の七五三の写真をとある写真館で撮影してもらった時に、写真撮影料とアルバム費用(約13万円)を無料にさせたこと」です。

きっかけは子供の写真が写真館のチラシに載ったことです。
撮影前のアンケートで「チラシ掲載可」にチェックしていたのですが、「掲載の電話確認が無かった」ことに妻はめちゃくちゃ怒りました。
先方の役員が家まで謝りに来たのですが、門前払いにして結局お金での解決となりました。アンケートにチェックしたこちらにも非があるのですが、妻は「無かったこと」にしました。

妻は「そのお金は私が交渉して無料にしたのだから頂戴」と言ってヤフオクでエルメスのバックを購入していました。
私は営業系の仕事をしているので人との交渉にそれなりの自信がありますが、妻の交渉力の足元にも及びません。

今回は周りに"怪物"とまで言わせた妻の値引き交渉の極意を記事にしました。
具体的な事例として、新築マンションと新車購入での営業マンとの交渉内容を纏めています。

「車の買い替えを考えている」、「子供が生まれたのでマイホームを検討中」など、大きな買い物を控えている人には是非読んでもらいたい記事です。
周りは"怪物"と言っていますが、紐解いてみればシンプル且つ本質的な事なので再現もある交渉術だと思います。

値引きの基本① 「主導権を握る」

まずは基本的な考え方から見ていきましょう。

値引きに関わらず、交渉事では「自分が主導権を握り相手の出方を待つこと」が基本となります。

買い手が「その商品がどうしても欲しい」“買いたいオーラ”を示すと、売り手は「商品力で勝負出来るから競合商品に負けない。値引きしなくても売れるだろう」と考えます。
この状態は売り手優位です。営業マンが営業努力をせずとも売れるので営業負担は少なくなります。

一方、「売り手にノルマがあって目標達成が厳しい時」や「買い手に購入意欲はあるが競合商品を選ぶ可能性が高い時」は買い手が優位に立ち易いです。
このような状態になれば、買い手は「他の商品も見て検討したい」、「家族と相談したい」などと言って即決せずに相手の出方を待つだけで良いです。

フラッシュマーケティングと呼ばれる営業手法があります。
フラッシュマーケティングは「フラッシュな時間」、つまり短時間で最大限の成果を挙げることを企図したマーケティング手法です。
短時間の限定値引きなどを通じて、購入を決めかねている買い手に最後の背中押しを行う手法です。
テレビの通販番組でも「今から〇時間以内の注文で更に〇円値引き」など、フラッシュマーケティング手法を活用してるので、ついつい買ってしまう人は多いのではないでしょうか。

フラッシュマーケティングは必殺のセールス手法です。
営業マンはノルマ達成の為に値引きで契約を迫って来ます。1回目の値引きで買い手が購入意思を見せなければ、「本日中に契約いただければ更に◯円の値引きをします」と圧力をかけてくるでしょう。

値引きの基本② 「決済権者を誰に設定するか」

値引き交渉でもう一つ大事なことは「値引きの決裁は誰の了解を得るか」です。
交渉事では「決裁権者が誰かを見極めること」が大事になりますが、値引きの場合はこの考え方が異なります。

営業の場合は「誰にアプローチすれば契約が取れるか」の視点が大事になります。
個人営業の場合はキーパーソンが旦那なのか妻なのか。
法人営業の場合はキーパーソンが担当なのか管理職なのか。トップダウンの会社は管理職が意思決定権者になりますが、ボトムアップの会社の場合は担当者が意思決定を行うこともあります。

値引きの場合、決裁権者の役職が上位になればなるほど値引きの金額が大きくなります。

値引き金額=担当<管理職(店長等)<本部

「本部決裁値引き」まで引き出せればその交渉は勝ちです。

では、具体的な事例から"怪物妻"の値引き極意を学んで行きましょう。

事例から学ぶ値引きの極意 マイホーム購入

ハートリー家は6年前に新築マンションを購入しています。
きっかけは子供が生まれて妻の子育てのため、子育てし易い環境を用意する必要があったからでした。

物件は4件見ました。1件は三井不動産、1件は住友不動産、2件はタカラレーベンのマンションです。
最初にモデルルームを見たのは三井不動産のマンションです。街作りに力を入れており、大規模マンションでとても魅力を感じましたが当時の年収では高いと感じて断念するつもりでした。

その後見た物件は以下の通りです。
・住友不動産。物件価格が高く値引きもビタ一文しない方針でした。デザインもあまりオシャレじゃなかったです。
・タカラレーベン。巧みなセールストークで契約させようとしてきましたが、立地が悪くて物件もイマイチだったので見送りました。

条件が合う物件が無く、購入を諦めかけてた時です。三井不動産の担当Aさんから電話がかかって来ました。

担当Aさん 「他の物件を見てどうでしたか? 予算のお話がありましたが、来店いたければご相談出来ると思いますよ」

前回見たモデルルームと案内された部屋が4,000万円以上だったので諦める予定だったのですが、あと少しで予算に届きそうな部屋を紹介されました。
実際の部屋も見ましたが、間取りも良く夫婦共に気に入りました。

妻は子供の授乳で話を聞けなかったので、値引き交渉は私が進めました。
その結果、170万円の値引きで購入することとなりました。
物件価格は3,670万円。値引き後の価格は3,500万円です。

来店時、担当Aさんが接客中で女性が担当しました。
女性から「いくらなら買っていただけますか?」と聞かれた時に私は「3,500万円くらいなら。。」と答えました。
今思えばこのやり取りは失敗だったと反省しています。
もっと踏み込んだ3,300万円や3,400万円と吹っかけた価格を希望すれば「本部決裁」まで引き出せたかもしれません。
この当時の私は、値引きの基本で触れた「主導権を握る」ことが出来ていませんでした。

当初の計画は「予算3,300万円以内で固定金利と変動金利を組み合わせたミックス金利で毎月の支払額を◯円以下」を条件に購入を検討していました。
先方の提案は「物件価格3,500万円、全て変動金利にして毎月の支払額は◯円以下」と言う内容となり、「お互いが歩み寄る形」のセールストークに私が負ける形となりました。

家に帰って妻に話した所、詰められました。

妻「お前は3,300万円じゃないと買わないんじゃなかったのか? 話が違うだろ。もう一度値引き交渉しろ」
私 「契約しちゃったし、これから値引きなんて無理でしょ」
妻 「奥さんが納得いかないって言っていると話せ。とりあえず電話しろ」

こうして担当Aさんに事情を話しました。

私 「妻が納得いかないようなのでもう少し何とかならないですか」
担当Aさん 「値引きがなければ契約してもらえないですか?」
私 「その通りです」
担当Aさん 「ハートリーさんは三井不動産の限界を見せろと仰るんですか?」
私  「その通りです」

担当Aさんは本部に掛け合ったらしく、「物件価格はこれ以上下げられないので、諸費用分の3万円をお値引きします」とそれほど大きな金額ではありませんが、価格妥結後ではあったものの更なる値引きを引き出すことが出来たのです。

事例から学ぶ値引きの極意 BMWを新車購入

次の事例は約1年前に車を買い換えた時のケースです。

マイホーム購入での私の失敗経験から、
①希望額はギリギリまで言わずに相手の出方を待つ
②相手の出方を見てからそれを上回る値引き金額を言う
この2点を意識して交渉に臨むことにしました。

車の値引き交渉の基本は「ネット上の値引き情報チェック」と「競合他社や系列店舗間での競合」です。
値引き交渉本番の前に、以下の事前調査をしました。
車種は人気のコンパクトSAV「X1」です。

①近隣のBMW提携ディーラーA店で見積もり。来店時は50万円値引きだったが、即決せずに持ち帰り、放置していたら営業マンから更なる値引きの誘いの連絡。
「今週中に契約してもらえれば70万円の値引きをします」

②BMW直営の中古ディーラーB店で新古車価格を確認。100万円以上の値引き交渉が可能な感触を確認

ネット情報では100万円以上の値引き実績がある模様であり、値引き額は「BMW提携ディーラー」でなく、「BMW直営ディーラー」の方が大きいことも書かれていました。

①と②の下調べでネット情報通りであることが確認出来たので、値引き交渉の場を都内の「BMW直営新車ディーラー」にしました。

交渉相手はベテラン営業マンのBさんです。

経緯は伝えました。①近隣のBMW提携ディーラーに行ったが価格が折り合わなかったこと、②BMW直営の中古車ディーラーにも行って新古車も視野に検討していること。

見積もりではこちらから希望額を言わずに先方の価格提示を待ちます。

担当Bさん 「ずばりこの金額でどうですか?」

値引き金額は約90万円でした。
以前の私ならここで契約していたと思いますが、今回は怯みません。

私 「総額400万円が希望額(実質120万円値引き)。OKならこの場で契約する」Bさん 「これでも頑張ったんだけどな。。。私の裁量を超える金額なので上の者と相談します」

結果、妥結価格は総額400万円、実質値引き121万円となりました。
目標の総額となったので私は満足していました。

外に出ていた妻に電話をしました。

私 「総額400万円になったからこれで決めるよ」
妻「こんなに簡単に安くしてくれるならもっといけるよ」
私 「いやいや、もう決めちゃったし、営業のBさんも頑張ってくれたんだから」
妻 「あなたじゃダメだから私が直接話すわ。Bさんと代わって」

妻が電話でBさんと直接交渉することになりました。
Bさんも困った顔で私の顔を見て苦笑いです。

結局、妻は「更に5万円の値引き」を引き出しました。
妻から「そのお金で子供達が車で観れるようにiPadを買いなさい」との命令が出てiPadの購入資金となりました。

まとめ 私の反省と妻の強さ

マイホームの交渉で見たように、「相手に遠慮してしまった」、「希望額を先に言ってしまった」ことが私の反省点です。
妻の最後のゴリ押し交渉があっても、入口段階の値引き交渉で失敗すれば大幅な値引きは引き出せません
つまり、170万円値引きからスタートして更に3万円値引きを引き出すことと270万円値引きからスタートして更に3万円値引きを引き出すことは同じことなのです。

妻の交渉の極意は何でしょうか。
私は以下の点だと思います。

①交渉相手に遠慮しない
②値引きの限界額や相場を考えない

普通の人は事前に値引き情報を調べ、営業マンが頑張ってくれれば「まぁいいかな」と思って契約書にハンコを押します。
一方、妻は自分が納得いかなければ買いませんし、「少しでも安くなるなら遠慮せずに交渉」します。

ここまでがめつく交渉するのは性格的なものもあるので「誰でも出来る交渉術」とは言えないのかもしれませんが、「最後のひと押しはこちら側の交渉相手を変える」ことは出来ると思います。

夫婦なら旦那が最初に交渉して、最後は妻が出てくる。
「お互いが折り合う価格に歩み寄る」のでは無く、「相手がこちら側に歩み寄る」交渉を出来るようにしましょう。










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