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会社を辞めるという選択のPros/Consについて15年会社員やってきたニートが語ります


初めに自己紹介

初めまして、Hartree-Fockと申します。名は体を表すという言葉の通り、物理化学で修士を取って、国内大手メーカー、外資戦コン、外資ITなどを渡り歩いて昨年会社勤めを引退したアラフォーでございます。
会社を辞めた後は、ひたすら猫のようにぐうたらしつつ1年に300冊以上の本を読んだり、絵画を買ったり、家具に凝ったり、元々好きだった麻雀をネットで打ったり、下手なゲームをしたりして遊んでおります。
そんな私の考える、会社員をやめるということ自体のPros/Consについて、汎用的に参考になるように記述していきたいと思います。
経済状態などは千差万別だと思いますので、あまりそこにはフォーカスしないのですが、一応この生活が成り立っている前提条件は必要だと思うので書きますと、

  • 配偶者がおり、ある程度稼いでくれます(いくら稼いでいるかは知りません)

  • 両親は私より元気なくらいであり、経済的にも私の支援を全く必要としておりません

  • 持ち家に住んでいます

  • 子供はいません

要するに、アラフォー子供なし夫婦の片方がニートになったとお考えいただければその通りかと思います。

そもそもなぜ会社を辞めたのか

一言でいえば、私に社会性がなかったからなのですが、それだけですと身も蓋もないので、少し詳しく述べます。

  1. マイクロアグレッションに疲れてしまった。

  2. 配偶者が安定して高い収入を得られそうなのでもういいかなと思った。

  3. 仕事をしているときの人格が私にとって快いものではなくなった。

1について。私は見た目性別女ですし配偶者も男性なのですが、「女性による女性性の強要」がひどく苦手です。私が最後にいた会社(大手外資IT)で、「Valentine Dayに部の女性全員から贈り物をしよう」という決議が私のいない間になされました。私は会社において自分を女として見てほしくない人間です。なので、主語を"部の女性全員"から"部の女性(私を除く)"に変えてほしいと言ったのですが、言いたいことがうまくわかっていただけず、生きづらすぎる、となったのがきっかけです。(こういう方他にもいらっしゃるのではないでしょうか。)
一番大きかったのは3で、仕事をしていると仕事に合わせて無駄のないように人格が再形成されていくのですよね。その結果、「これは無視でいい」となる物事が私の場合非常に多かったわけです。
そしてそれは私の本来の、感受性の強い人格とは相反するものであり、その部分が結局生きづらさへと繋がっていたと思ったのです。
なので、一旦完全に、働くということをやめる決心をしよう、と思ったのです。

会社を辞めてよかったこと

ではまず、会社を辞めてよかったなーと思う点について書きます。

  1. 感情と思想の自由があること

  2. 他人にとてもやさしくなること

  3. とにかく本がたくさん読めること

主にこの3つかなと思います。
まず、会社員的な人格では、「使える/使えない」でいろいろな物や人や事を切り捨てていたのですが、ニートの人格では、そういうことはありません。もちろん仕事をするときはその切り分けは大事だと思うのですが、ニートになってみると、「まあそういう気持ちもわかるよ」と思えるのです。これが一番のいい点です。
働いていた時は、「何言ってんだこいつ意味わかんねえ」で切り捨てていた意見に対してもゆっくり同情をもって向き合えるのです。豊かな人生だと思いませんでしょうか。とりあえず私は今の人格のほうが気に入っています。
また、仕事をしていた時は、やはり功利主義的に生きてしまっていたわけですが、ニートであればどんな主義で生きても周りに何の迷惑もかかりません。つまり、今日は老子の気分、とか、今日は原始仏教の気分、とかで生きることが可能なわけです。これが思想の完全なる自由です。
例えば、岡潔先生という数学者兼エッセイストがいらっしゃいますが、彼のエッセイを仕事しているときに読んだならば、「何言ってんだこいつ」と私のような木っ端サラリーマンは思ってしまったに違いないのです。しかし、木っ端ニートである今は、「おっしゃりたいこと、よくわかります先生」となっているわけです。すべてに対して、寛容に、尊重する気持ちが発動するのがニートのいいところだと思うし、私の人生にはこのことが重要であったなと思っているのです。
また、時間が有り余っていますから、たくさんの先人の知恵を本から吸収することができます。Kindle Unlimitedに入っていれば暇する時間はありません。980円/monthで知見を広げ、情緒を涵養することができるのです。素晴らしいですね。ちなみに今現在の私の一番好きな小説は、フローベールの「三つの物語」とヨーゼフロートの「聖なる酔っ払いの伝説」です。Kindle Unlimitedで読めますのでもし読んでいない方がいらっしゃれば是非。

会社を辞めてここは嫌だなーと思ったこと

これは一点のみ。
配偶者に収入マウントを取られる。
具体的に言うと、私が病気で手術をしたのですが、そのために月の出費がXXX万円になった、などと言われることです。
これだけです。
これが我慢できそう、もしくはこういうことを言わない配偶者をお持ちの方は、是非会社を辞めてみて、豊かな情緒を再構築してみるといいと思います。

社会全体で考えてもこういうニートは必要かもしれない

ニートバッファ論ってありますよね?
仕事しているときはあまり納得できなかったんですけれど、今ニートをやっていますと、確かに、配偶者に何かあれば自分が働くわけで、ニートはバッファだという意見も首肯できる部分があるわけです。
しかも、仕事していただけの私ではなく、とても寛容な人格として社会復帰できる(かもしれない)わけですね。
なので、働きづめのみなさん、是非一度ニートの目線で社会を見つつ、先人の知恵をたくさん浴びて、バッファとしてゴロゴロするのも一つの素晴らしい経験だと思いますよ、というのがお伝えしたかったこととなります。

以上、初noteでした。


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