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就職氷河期世代のキャリアは「ヨーヨー型」!?

こんにちは。
キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

厚生労働省の外郭団体、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)
のレポート(資料シリーズ)で、「就職氷河期世代のキャリアと意識―困難を抱える20人のインタビュー調査から」が今年1月に発表されました。

氷河期世代とは、90年代前半、学校を卒業する時期にバブル崩壊等の影響を受けて、思うような就職活動が出来なかった世代で、現在、35歳~55歳位の方々です。
一般的に、就職氷河期世代というと、最初から正社員に採用されず、非正規社員で今まで社会人として働いてきたイメージがありました。
しかし、このレポートからは、一概にそうとは言えないようです。

就職氷河期世代キャリアは「ヨーヨー型」だと解説しています。
以下、レポートを抜粋します。(一部、筆者加筆)

就職氷河期世代であっても、新卒で初職正社員のケースは少なくない。
ただし、今回のインタビューでは新卒正社員であっても「不本意正規」とでも呼べるような労働条件の悪い就職先であり、また、正社員経験はあるが何度か正社員を離職し、正社員と非正社員を行きつ戻りつしたり、あるいは無業・失業をたびたび経験するキャリアが多数存在している。

就職氷河期のキャリアの困難はこれまで想定されていたような非正規の継続ではなく、正社員・非正社員・無業失業を行きつ戻りつする「ヨーヨー型」キャリアと把握できる。
この「ヨーヨー型」の概念は、図表2にみるようにEUの若者に関する先行研究における「ヨーヨー型」トランジションから援用したものである。

この概念を踏まえると、就職氷河期世代以前に主流だった学校から正社員へのスムーズな移行モデルが、就職氷河期世代の若い時期においてスムーズに進まなくなり、フリーター・失業・無業等を通じた正社員への移行という多様な移行モデルへと変化してきたが、就職氷河期世代が中年期に至って「ヨーヨー型」キャリアモデルが一定数を占めるようになったと捉えることができるだろう。

つまり、氷河期世代の一定数は、最初から非正規社員という層もいるが、正社員、失業、非正規社員と「ヨーヨー」のように行きつ戻りつのキャリアモデルと言えるそうです。

そして、現在の就職氷河期世代は、不安定な就労環境の中、親などの家族の支援がある層が多いようです。
親との同居、親の年金を頼って生計を立てている層がみられます。

また、結婚していない多い世代も正に就職氷河期世代でもあり、日本社会の課題でもある少子高齢化の課題の縮図が就職氷河期世代でもあると言えると思います。

この世代は、今後、どのように自立し生計を営んでいくのでしょう。


このレポートでは、今後の就職氷河期世代の支援として、以下4つの政策の提案をしています。

【政策的インプリケーション】

第一に、正社員・非正社員・失業無業を行き来する「ヨーヨー型」キャリアを念頭に置いた支援である。
いったん正社員転換してもその後に安定しないことを前提にした支援であり、定着支援は有効だと考えられる。

第二に、職業訓練のニーズは高い
現在のようにフルタイム型だけでなく、複数回のセミナーのような継続的なパ―トタイム型、モジュール型の積み上げ等、様々な形態が考えられる。また職業資格のニーズも高いが、実務経験を提供できるような支援があればなおよい。

第三に、交流のための場(居場所+α)や、当事者に同世代の成功体験を共有できるような機会の提供が望まれる

第四に、就職氷河期の経験を生かすなら、改めて若者の離学までの進路支援は重要であり、労働市場、労働者としての権利などの知識についての労働教育と相談機関の周知が必要である。特に18歳成人に伴い、労働者としての必須の知識として高卒までに付与すべきと考えられる。


今年度、私は、代表理事でもある一般社団法人カリエーレ・コムサで京都労働局から京都就職氷河期世代支援プラットフォーム事業を受託させていただきました。

セミナー、就職・転職相談会を開催し、就職氷河期世代の就職支援を行いました。
多くの求職者様ともお目にかかりましたが、このような「ヨーヨー型」キャリアという視点は、ありませんでした。

就職氷河期世代が活躍できる社会の機運の醸成を意識してこの事業を進めていましたが、今回のレポートの視点で運営していれば、もう少し、キャリアコンサルタントとして求職者に寄り添い、企業採用者様に就職氷河期世代の実態をお伝えすることが出来たかもしれません。

今後、このレポートの視点を意識して行動に移していきたいと考えます。

【京都労働局☟】

厚生労働省☟




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