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社会政策としてのキャリア支援の必要性【第1回社会正義のキャリア支援研究会を終えて】

こんにちは。
キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

先週、2023年12月23日(金)に
私が代表理事を務める一般社団法人カリエーレ・コムサが京都労働局から受託している京都就職氷河期世代支援プラットフォーム事業の顧問であり、「社会正義のキャリア支援」研究の第一人者、下村英雄氏(独立行政法人労働政策研究・研修機構【JILPT】副統括研究員)が指導していただける研修会、「社会正義のキャリア支援研究会」の第1回目の講義がオンラインを使用して行われました。

「社会正義のキャリア支援」とは、現在、世界の潮流と言われているキャリアコンサルティングなどのキャリア支援です。

日本各地から参加者がいらっしゃり、下村氏から講義をお聴きでき、また、第一線でキャリア支援を行うキャリアコンサルタントのお話も聴け、とても有意義な研究会でした。

キャリアコンサルタントは、国家資格に昇格して、7年が経ち、現在、約7万人の登録者がいます。

まだまだ、キャリアコンサルタントの仕事を知らない人たちは多いですが、13年前、民間資格時代の資格を取った私にとって、現在のように「キャリコン」が、話題になるとは思ってもいませんでした。


この約20年間のキャリアコンサ ルタントの活動領域の変化で、著しいことは、企業領域に携わるキャリアコンサルタントが、24%→42%と約倍増したことだそうです。

日本では、キャリア支援というと、 主に企業内キャリア支援を考えることが一般的になってきました。
一方、アメリカ、欧州等、世界を見渡すとキャリア支援は「社会政策」として捉えることが多いそうです。

「社会政策」とはいささか大げさな感じがしますが、現在、日本でも「格差問題」が叫ばれています。
正社員と非正規社員の格差問題などです。
こうした社会問題の解決策を考えることが「社会政策」です。

下村氏曰く、
「特に、人種、宗教、移民・難民の問題が、他の先進国に比べて、 相対的に少ない日本では、格差の問題は『雇用』で生じる。」とのことです。

現在、国も正社員と非正規社員の格差を解消するために、様々な施策を打ち出しています。
しかし、なかなか格差が解消されたという話は聞かれません。

大企業の正社員など「主流、中心的、多数派」のキャリアから外れた人とどう関わるのかを支援することも、キャリアコンサルタントの役割です。

そして、現実には「キャリア支援を支える『成長』『上昇』『自律』以外の価値が必要になってくる。
その価値とは、『社会正義』というスタンスでキャリア支援を行うことである。」と、下村氏は説きます。

「社会正義」と言ってしまうと、とても高尚で、偉ぶって感じられるので、近寄りがたいと感じる方も多いと思います。
私も最初は、そうでした。

しかし、下村氏のお話を聴いたり、著書「社会正義のキャリア支援」を読んでみると、キャリアコンサルタントの社会での役割は、コレなのではと思うようになりました。

もちろん、大企業の従業員の悩みなどの課題を解決するためのキャリアコンサルティングも立派なキャリアコンサルタントの役割です。

ただ、下村氏の説くように、日本のキャリアコンサルタント等も「社会政策」としてのキャリア支援に、目を向けても良いと思います。
そして、その社会問題の解決策のヒントが、「社会正義のキャリア支援」にあるような気がします。

周辺層の支援なので、主流派、多数派な支援にはならないでしょう。
しかし、キャリアコンサルタントとして認識しておくべき支援だと思います。

今回は、第1回目の社会正義のキャリア支援研究会の下村氏の講義を少しだけ、お伝えしました。
また、機会があればお伝えいたします。

なお、社会正義のキャリア支援研究会の第2回目は、来年2024年3月23日(土)開催予定です。

こちらもまたお知らせしますね。



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