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学校再開にあたり、学校が重視したこと

約1年半ぶりに学校が全面再開してたった5日目、事件は起こりました。
しかしそのおかげで、学校が、学校再開にあたり重視していることがよく伝わってきました。

まず第一に
学校内で感染を広げさせない

という強い決意です。

息子に起こった事件はこうです。

お昼前、学校からの電話。
「息子さん、鼻水が出ているから学校にはいられません。すぐに迎えに来てください」と。

息子はアレルギー性鼻炎を持っていて、季節を問わずくしゃみや鼻水が出ます。
鼻を上手にかめるようにならなきゃねと言ってはいるのですがなかなか上手になれず、午前中いっぱい鼻を垂らしながら何度も何度も鼻をかむというのはよくあることです。

その日もいつものことで、特に気にせず学校に行かせてしまいました。
鼻をかむにはマスクをはずさなければなりません。マスクをはずしていいのは屋外だけというルールになっているので、息子は「鼻をかんでもいいですか?」と先生に許可をとりました。
1回目はよかったのですが、2回目になって「あれ?そんなにっておかしくない?」となったわけです。

で、そのままオフィス(職員室兼保健室のようなところ)へ行かされ、今年度から常駐しているスクールナースと話し、熱もないし他の症状もないけれど、鼻水が出るというのはコロナの症状のひとつだから、あなたは学校にいるわけにはいかないと言われたというわけです。

コロナ対策として学校は、条件によってチャートのようなものを作っています。
まずは、ワクチンを打っているか、いないか。
次に、自分が陽性となったか、陽性者と濃厚接触したか、症状が出たか。
といった具合に。

息子の場合、ワクチン未接種→症状が出たという状態です。
そのケースの場合、3つのオプションが用意されていました。

<オプション1>10日間家に待機し、11日目に、症状がなくなって24時間以上経っていたら登校してもいい。
<オプション2>コロナの検査を受けて陰性なら登校してもいい。
<オプション3>その症状が基礎疾患によるものであることが確認できる、医療従事者からのメモを提出する。

息子の場合、アレルギーは10日待機したところで改善するものではありませんから、病院に行って医者に一筆書いてもらわなければ何度もこれをループしなくてはいけない、つまり何度も学校を休まなければいけないことになってしまいます。
そこでかかりつけ医に連絡すると、そういうことなら陰性証明がないと病院に来てはいけないと言われ、結局オプション2と3の両方ともこなすこととなりました。

確かに、学校以外どこにも行っていないとはいえ4日は学校に通いましたから、いきなり学校でもらってきた可能性も否定できません。
少し緊張しながら検査に行くと、陰性。
晴れて再び登校できることになりました。
しかし、アレルギー問題は解決していません。小児科の予約は少し先にしかとれなかったので、それまでなんとか鼻水を止められるか。祈るしかないといったところです。

なんと面倒くさい。面倒くさいけれど、これはすごいことだと思いました。
学校内で感染を広げることは絶対に許さないという強い信念を感じたのです。

実際、検査をしてくれた方は「くしゃみひとつしただけで検査して来いって言われたって子が毎日どんどん来るわよ」と笑っていました。

学校が始まる直前に開催されたオンラインによる保護者会では、

・空調のフィルターを新調し、風向きを変えることで教室内の空気が循環するよう調整した
・すべての教室に空気清浄機を設置した
・マスクを必須にするが、なるべく屋外で過ごせる時間を増やし、屋外ではマスクをはずして深呼吸することを勧めていく
・ランチタイムは時間をずらしてディスタンスがとれるようにする

などの感染対策を準備していると話していました。

また、スタッフは全員ワクチン接種済みであること、保護者もなるべく多くワクチンを接種してもらって、大人たちでファイアウォールを作り、子供たちを守っていこうということも話していました。

実際学校が始まってみると、例えばランチタイムにはディスタンスコンテストなるものを開催し、ちゃんと距離をとって食事できているクラスにちょっとしたご褒美を用意するなどの方法で、新しいスタイルを定着させる工夫をしていました。
また、本を読んだり、ディスカッションをしたりする時には外でできるように、ブランケットを持参してくれというお知らせもありました。

そこまでやってくれるならば、よほどのことでなければ大丈夫なのではないかという安心感に近いものを持つことができました。


もうひとつは
子供たちが失ったものを取り戻す

という強い決意です。

約1年半の間、子供たちはオンラインツールを使って勉強してきました。
その間、何事もなかった時のように、友達や先生をはじめとする様々な人と自由に交流することはできませんでした。
短い時間登校できても全員マスク越しだったり、ハグやハイファイブを制限されたり、放課後友達と遊ぶにしてもオンラインチャットを通じてだったりと、ソーシャルスキルを育む機会を失いました。
また、多くをオンラインでこなしたことによって、書いたり作ったりといった手を使った作業、実際に何かを体験するという機会はごく限られたものになっていました。

そうして失われたもの、本来身につけるはずだったのにできなかったことを取り戻す。
そして、子供たちの抱えているストレスにしっかりと向き合う。

そうした意志を感じました。

保護者会では、子供たちの心のケアに取り組むことが熱く語られていたのも印象的でした。
レジリエンス(不利な状況を跳ね返すような力、適応する能力)
セルフマスタリー(自分自身が心底望んでいる目的に向かって真剣に生きようとするプロセス)
エンパシー(相手の目線に立って人の気持ちや問題を理解する能力)
を学ぶことに重点を置いていくと。

そして、書くこと、作ること、体を動かすことなど、実際に体験することに重きを置く。
これまで使ってきたオンラインツールの中には継続して使うものももちろんあるけれど、オンラインよりも実際に体を動かす比率を増やしていくということを強調していました。

息子は10日間の自宅待機を言い渡され、その間にやるべきことをどっさりともらいました。
そのほとんどが、自分の手で書くことでした。
昨年までとは大違いです。
子供たちのスクリーンタイムが長くなっていることを危惧している親も多くいます。
こうしたことは、とてもありがたいことだと思いました。


カリフォルニアでもデルタ株による感染は広がりつつあり、子供の感染者も増えているといいます。
この後どうなっていくのかはわかりません。

息子にとっては、今年度は小学校最終学年になります。
学校と子供たちと保護者とで力を合わせてこの状況を無事に乗り越え、子供たちにとって楽しく充実した1年になりますようにと祈るばかりです。

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