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【暗い話】息苦しい。生き苦しい。

 私にとって仕事は「息ができる場所」。ほぼ無職の今、そう思う。

 社会人2年目から心療内科に通った。うまく息が吐けなくなり、毎日苦しかった。音に過敏になり、耳栓をしないと電車に乗れなかった。休職はしなかった。

 怖くて苦手な上司に報告連絡をする度に、身体が震えた。高圧的な常連さんの予約が入っている日は、朝からお腹が痛かった。年々増えていく業務量に反比例して、給料とボーナスは減っていく。仕事に対する不満もストレスもたくさんあった。それでも、精神の不調を理由に仕事を休んだことはない。
 
 与えられた役割を一生懸命こなしていれば、お金をいただける。しかも、人から話しかけてもらえる。こんな自分でも。仕事をしていれば素の自分と向き合わなくていい。自分で自分を評価しなくていい。評価は他人が勝手にしてくれる。清潔で地味な服装で、挨拶を欠かさず、よく謝り、休憩時間は周囲の雑談を聞いてニコニコする。周囲に害を与えない存在であることを意識し続ければ、そんなに悪い評価を受けることはない。一人暮らしのアパートに帰ると、薬を飲んで寝た。休日は何をして時間を潰したのか?よく思い出せない。仕事をしているほうが楽だった。息ができた。自分を「普通の人」のように思えた。きっと「ちょっと変」だとバレていた部分はあっただろう。しかし幸い業務には差し障らなかった。職場限りの人間関係の中では、興味を持たれない程度の奇異さのようだ。

 心療内科での治療を一旦終え、結婚を機に退職し、遠方に引っ越し、今はほぼ無職。再び心身の不調に陥りつつある感じがしている。生活環境の大きな変化は精神症状の原因になるというけど、なんか、それだけじゃない気がする。なにか人間的な豊かさのようなものが、自分の中に欠けている。日に日に増えていく自分に対する違和感に反比例して、今まで仕事で補填してきた自己肯定感が減っていく。転職して仕事を再開すれば良いし、その予定ではあるのですが、それにしたって、素の自分は、なんでこんなに、息がうまくできないの。

(夫がいて、生活に困ってない、そんな状況に感謝しなければないのに、私は何を馬鹿なことを言ってるのでしょうね、本当に…)

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