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歯にまつわる エトセトラ 2

😷ファンタジーです😷

〜夏 高校生 3年生〜
高校生のぼくは、急にアイスが食べたい真夏日、外はテカテカしてまぢあっち〜し(https://youtu.be/DL3ljDP4N4w)
なんで六月なのにもうセミ降臨してるかな
やってらんねーなー、なんて思いつつ、なかなか結果が見えない受験勉強と、奥歯がすこし痛むのが悩みだった。

歯の悩みを削り取るなりなんなりして解消すべく、学校帰り、朝、親から用意された診察券と国民健康保険証と親から貰った何札かのお札を持って歯医者の自動ドアをくぐる。

涼らかな風が皮膚を伝わって身体中にまとわりついた熱を剥ぎ取っていく

学校指定のダサねずみ色の夏シャツは、ぺったりと背中と胸の間にはり付いて、濃いグレー色に染め上げていたに違いないと思う。

(ところでサラリーマンの人の汗染みってかわいいよね。初夏あたりのまだジャケット脱ぐに脱げない時期に脱ぐ暇もなく急いで行動した結果滲み出てしまう汗染みを気にしてしまうサラリーマンって良くないですか??角度狭めのストライクゾーンだけど夏の風物詩ですよね。好きなんだなぁ。)

「お名前をお伺いしてもよろしいですか」「〇〇時から予約していた春便器です」「前回の治療の続きですね」「そうですね」「診察券と月が変わったので保険証貰えますか」「はい」「ウォーターサーバー、よかったらそこにあるのでのんでね」「あざます」

5分くらいして助手の人に呼ばれて診察台に着く

助手の人は目を細めながら「またきたねー」と言ってくれた。

この人とは初診時に「今日はどうしましたか」「あの、最近 奥歯に穴が空いてご飯を食べると痛いんです」「ご飯っていうとたとえば?」「冷たいものとかもなんですけど、こないだはお寿司のシャリがダイレクトに入って痛かったです」「シャリwww」という会話をした

特にウケを狙った訳でもないのに歯科助手の人は大笑いしていた。
笑ってもらえるとやっぱり嬉しい。人生ウケ狙いだ。

施術は麻酔を2回も打ってもらったのに、痛くて、制服のスラックスを握りしめて耐えていた。途中見かねた先生が、何度か休ませてくれた。「痛かったら 手を上げていいからね」と言ってくれたけど、
『この痛い』が手を挙げるに値する痛みかどうか分からなくて挙げれなかった。今もよく分からなくて手を挙げれない。

施術後に「歯並びがあんまりよくないから、歯磨き これからシッカリね」と先生はマスク越しに伝えてくれた。
そういえば歯医者で施術している人の歯を見たことがないな(みんなマスクしてるから)この先生は歯並びが良いのかなぁ、とか思った。

自動ドアを出ると外は夕と夜の境い目で、体の冷気をねっとりとした温風が再び包み込んでいく。
自転車の鍵をポッケから取り出して「麻酔切れるまで暫くかかっちゃうし、夕飯の時間遅くなっちゃうね、ごめんね」という先生の言葉を思い出したので、特に意味もなくフラフラしてから帰ることにした。

川沿いの道を自転車で進む、足元のライトは既に灯っていて(ライトの名前がわからないからググったら地中埋め込みアッパーライトでかっこよくて笑った)

その足元のライトが草むらからはみ出したハニワだったはずの破片照らしていた。

僕のまちは年に1回 ハニワ祭りという謎のお祭りをしていて、ハニワを焼いたりする以外は出店が出たりするごく普通の祭りで、作ったハニワを道の横に並べて埴輪ロードって名前の道を作ってた
なんだよハニワロードって

でも県内ワースト3以内の治安の町だったこともあり、 勹″ッと<るSUMMER を迎える前にハニワ達は無残にもバラバラに砕かれていた。(https://youtu.be/oRuuxJCCwqM)

(大人達の行き場のないフラストレーションはヤンキーへ...ヤンキーたちの行き場のないフラストレーションはハニワへ...向かっていたのだろうか、そう考えると古代から用途を全うしているのかもしれない...。
ハニワの行き場のないフラストレーションは、どこへ...)

ぼくは自分自身のこととハニワを少し重ねていた。そう考えたら半開きの口とかが、似てるような。

少し遅く帰ったのに夕飯の時になっても、結局、麻酔が効いたままで、左頬がパンパンに腫れ上がったままの顔でご飯をたべた

その時の夕飯はアジフライとキャベツとなめこの入ったお味噌汁だった気がするけど、違った気もする。

頬の感触がないのに味覚はちゃんと働いてくれていた、美味しかった。

夕飯を食べ終わって、お風呂に入る前に、洗面所で口を開けてみる

真新しい 銀歯がキラキラと光って見える。

まだにぶい感触の頬に軽く手を触れて、気だるげに服を脱いでいく姿が鏡に写っていた、気がする

おわり

#エッセイ #コラム #ファンタジー

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