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援助要請

こんにちは、金曜担当のリョーサンです。
僕は放課後等デイサービスと学習塾を運営しています。
そこには、たくさんの自信なさそうな子供たちがやってきます。
今回は、よくある事例から、「援助要請」というものの大切さについて考えてみたいと思います。

「わからない」を誰かに言えない子供たち。

勉強が苦手ーって学習塾やってくる子どもたち、ニコニコしていていい子、でも自信なさそう。
問題を解くときに小さーい字で書くんです。さらに書きながら、その手でどうにかこうにか書いたものを隠そうとする、覗き込む大人(講師)に見せまいと必死になっている。
本人に丸つけをしてもらうと、間違いをこっそり消して直して、あらためて丸をつけている。「大丈夫だった?」って聞くと「大丈夫」って言います。
何か言われないで済むように、正解だったことを大人に示すそうとするのです。
で、やっぱり、無口でニコニコとしていて、いい子です。
大人は「問題なし!」と判断します。そして問題は先送りです。


人の助けを借りること

みなさんは、「人の助けを借りる」ということについて、どう思いますか? 
「人の助けを借りるの得意!」もいれば、「人にメーワクかけてはいけない!」って思っている人もいるでしょう。仕事をしていても「人をうまく頼れる人」もいれば、「頼れず抱え込む人」もいます。
正直、「頼るのがうまい人」と仕事している方がうまくいく感じがします。その人も健康的な働き方ができているようにみえます。
一方で、人を頼ると怒られる職場もあるかもしれないですね。
報告しないと怒られる、でも相談したら「自分で考えろ!」って言われる職場です。僕も経験があります。だんだん誰にも何も言えなくなっていく、想像しただけでしんどい、、、。
大人にも、「人をうまく頼れる人」と「人を頼れない人」がいる。
そして「人に頼りやすい関係性や場」と「人に頼りにくい関係性や場」があるのですね。

「わからないを言えない」、その先にあるのは?

冒頭の子供の例、おそらくいろんな場面で「間違っていることを大人に見せると、嫌な思いをする」って経験を重ねてきたのではないかって思います。
だからわからないことを「わからない」って言えないんですね。
自分で抱え込んだ(かつ問題を放置した)ほうがマシって思っているんです。たぶん。
キャラクターとしても「頼るの下手」とかあるかもしれません。
でもそれだけでなく「人を頼れない関係性や場」に身を置いてきたから、「わからなくても誰にも言えない」になっているのです。
「言わない」のではなく、家でも学校でも、塾や習い事でも、「言えない」のです。
その先にあるのは「困っていても苦しくても誰にも何も言えない」です。
さらにその先にあるのはなんでしょうか…? 

先日キャンプに行ってきました。写真は白老川。北海道の短い夏はキャンプ!!

援助要請ってとても大事!!

援助要請
…つまり人にヘルプを求めるってことです。
他者にヘルプを求める力、実はとても大事な力なのです。
・勉強が「わからない」と言える
・できないことを「手伝ってほしい」と言える。
・悩みを誰かに相談ができる。
そんなふうにヘルプ求めることできるか?
さらに援助された側は適切に応えられるか?

このふたつで、子供の心の健康度はグッと上がり、成長・発達の機会がグイっと増えます。
心理学の世界でもその大切さは言われますし、僕の経験的な実感として間違いないです。

さらにいうと、援助要請の概念、発達障害の子どもたちのサポートの文脈でいうと、さらに大事になります。
発達障害の子供は困り感に無自覚だったり、頼り方がとても下手なことも多い。
そこで頼ることの成功体験を積みにくいから、さらに「抱え込む」構図ができやすい。抱え込んだ先は過剰適応とパンク(バーンアウト)です。
発達障害と不登校の問題はここでもつながります。

まずは大人はそれをどう受け取るか?

子どもに助けを求められた時に、大人がこう答えたらどうでしょうか?
「自分で考えなさい」
「こんなこともできないの!?」
「何回言ったらわかるの!?」
「自分でできるでしょ!」

…こう言われたら、「あーあ、頼って損したー」ってなりそうです。
これを積み重ねると誰かを頼るなんてしないほうがマシになっていきます。

ではどうしたらいいでしょうか?
次回、援助要請についてもうちょっと考えてみたいと思います。

援助要請の力は、大人になってからのホウ・レン・ソウの力にも繋がります。残念な職場に就職しても怒られないで心を健康に保つ力、、、

「わからない」が言えない子供たちに対して目指すものは…

ところで、
今回の冒頭の事例、僕たちが目指すのは、
「いやあ、この問題、わっかんねー!!」
頭抱えて悔しがる、でも笑顔でそれを伝える子供の姿、です。
ちゃんと自分で考えた上で「せんせー、わからぬ!教えてー!」って言えればサイコーです。
ある場所で、それを隠さずにあっけらかんと言えるその生徒は、多分その場では安心して学んでいるのです。
そして、そこで誰かと協力して何かに取り組むってことができたら、その取り組みがとても素敵で面白いことなんだ!って実感してもらえたら。
それが他者への信頼醸成につながるし、「援助要請をする力」につながっていく、僕はそう考えています。
子供たちにとって「頼りやすい関係性や場(≒居場所)」の重要性はここにあります。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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