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「枯れ葉」アキ・カウリスマキ監督作品 2023年フィンランド(@シネリーブル池袋)

「枯れ葉」アキ・カウリスマキ監督作品 2023年フィンランド(@シネリーブル池袋)

 この映画を観た人たちからの評判がとても良く、前から行きたかった映画にやっと行くことが出来ました。午後から池袋で舞台「オデッサ」を見ることになっており、その前の11時半~13時の回がシネリーブル池袋でやっていたので予約しました。アキ・カウリスマキと言えば「マッチ工場の少女」(1990年)という映画を初めて見たのは何年前だったでしょうか?当時はその映画を仕事関係の方がみんな見ていてこれも話題になっていました。私も、見て、アキ・カウリスマキの描く独特な世界に引き込まれました。独自の視点で描くオンリーワンのフィルム。フィンランドに住む小市民を温かいまなざしで描いています。本作はカンヌ映画祭で審査員賞を受賞しました。アキ・カウリスマキ監督は映画を創るの辞めた!と言っていたのですが、また映画をこのように創るとこうして映画賞を受賞します。ほんまどういうことでしょうか?ほんまに、すごいことです!
 同じく、映画を創るの辞めると言って、それを覆して新作を監督した宮崎駿も「君たちはどう生きるか」で米国のゴールデングローブ賞で作品賞を受賞しています。宮崎さんもアキ・カウリスマキさんもどんだけええ天才やねん!と思うのです!そういう人が生きやすい、そして創作がしやすい世の中になるのが一番ええことやないのでしょうか?
 でも、ほんまは「生きづらい」から映画を創るのかも知れません。創作することによって自己が救済されるような感覚と言えばいいのでしょうか?私ですらこうした文章を書いたり、イラストを描いたりすることで自らが救われるような気になります。なので、誰に言われなくてもこうして書くし、ということなのかも知れません。生きることと何かを創作することが一体となっています。同時に、誰かほかの人が創作した映画や演劇、アニメや絵画、イラスト、絵本、ドラマ、漫画や小説、そして音楽などに触れられるだけで幸せな気持ちにさせてくれるのです!
 この映画もまさにそんな感覚が内包されています。映画館でのデート。映画館をきっかけに二人は再開をします。本編の中で、ブレッソンの「田舎司祭の日記」やゴダールの「はなればなれに」などについて語るセリフがあり、まさにこれはアキ・カウリスマキ監督本人の言葉ではないだろうか?みたいな気持ちにさせてくれます。
 そして、また、この映画は音楽が効果的に使われている映画にもなっています。アキ・カウリスマキ監督と言えば「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」の監督。これは、まさに音楽を真正面から描いた映画。
 本作は、こうした様々な過去のアキ・カウリスマキ監督作品の要素が詰め込まれた映画と言えるのかも知れません。
 ストーリーはとてもシンプル、働く女性と男性がとある場所で知り合い、一緒にお茶を飲み映画を見ます。二人はその後、あることをきっかけに会えなくなってしまうのですが、再開することが出来ます。そして…。人生には様々なことが突然発生します。その様々なことに向き合って生きていく人生へのささやかな賛歌が映画を通して伝えられるのです。
アキ・カウリスマキ監督66歳の作品です。犬がいい。

エンディングはチャップリンの「モダン・タイムス」を髣髴とさせます。ほんま、映画愛に満ちています。上演時間81分。

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