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やわらかい手

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2007年のヨーロッパ映画です。5ヶ国(ベルギー、ルクセンブルク、イギリス、ドイツ、フランス)の共同制作。マリアンヌ・フェイスフル主演。

原題は “Irina Palm”。直訳すると「イリーナの手のひら」という意味ですが、このタイトルについては後述しますね。

マリアンヌ・フェイスフルという女性

まずは、主演のマリアンヌ・フェイスフルについて。わたしは本作を観て、初めて彼女のことを知りました。経歴がなかなかすごくて、びっくりしましたよ!

マリアンヌ・フェイスフルはイギリスの歌手・女優で、1960年代に歌手としてデビュー。 「エンジェル・ボイス」と呼ばれ、ポップ・アイドルとして人気を博しました。

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めっちゃ可愛い!♡

その後、ジャン=リュック・ゴダールに見出され、女優として映画デビューを果たします。同じ頃、彼女はミック・ジャガーの恋人としても知られていました! ワ~ォ!

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ミック・ジャガーと。格好いいカップルだなぁ~♩

出演した映画では、アラン・ドロンと共演した『あの胸にもういちど』(原題:The Girl On A Motorcycle)が代表作。

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『ルパン三世』の不二子ちゃんは、この時のマリアンヌ・フェイスフルがモデルになったと言われています。

初期の頃は清楚なイメージで売れっ子だったのですが、ドラッグ、流産、ミック・ジャガーとの破局、自殺未遂、路上生活……など、数々のスキャンダルを経て、以前とは全く違うイメージで復活を遂げた、という、波乱万丈な経歴の持ち主。

そんな訳で、当時の彼女を知る人たちにとって、38年ぶりの主演となる本作は感慨深いものだったようです。

家族への愛と、強さ

さて、原題の “Irina Palm”。「イリーナの手のひら」? そのココロは? って思いますよね。こちらの予告編がわかりやすいので、どうぞ♩

舞台はロンドン。平凡な主婦マギー(マリアンヌ・フェイスフル)には、難病で入院中の孫がいました。医師から「6週間以内に海外での治療を受けないと死んでしまう」と言われ、なんとか費用を工面しようとします。

職探しをするも、これといったスキルや職歴もなく、なかなかみつけることができません。途方に暮れて街を歩くマギー。すると、一軒の店先に「接客係募集。高給」と書かれた張り紙が。ウェイトレスの仕事だと勘違いしたマギーは、その店の面接に行きますが――というお話。

"Irina Palm" とは、マギーがその店で名乗る「源氏名」なんですよね。すべすべで柔らかい彼女の「手のひら」が、実は強力な武器だった……という。

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で、これ「コメディ」らしいんですよね。

ですが、わたしの感想ツイートにもあるように

コメディー映画って聞いてたのに、物悲しいトーン。「ん?? これは、最後に笑える、フルモンティのパターン?」と観続けるも、結局最後まで笑うような場面がなかった。笑 イギリスらしい、ビターな作品。

という感じで。

「わはは」と笑えるコメディを想像していると、ちょっと肩すかしを食うかも。(ちなみに『フル・モンティ』は「わはは」アリです)

本作を「コメディ」とする、このシニカルさよ! そこらへんの捉え方が「うわ~、ヨーロッパ的だなぁ~」と思いました。笑

笑えるかどうかは、観る人のヨーロピアンなセンスによるかもしれませんが、普通に人間ドラマとして素敵なお話でした。孫の病気を治してあげたい一心で奮闘するマギーの強さ。

マリアンヌ・フェイスフルが演じているからこそ、その姿に深みが表れている気がします。


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