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映画「東京物語」を見た感想。目の前のこと1つ1つを丁寧に。

※この記事はネタバレが含まれますので、まだ「東京物語・東京家族」を見ていない方はお気をつけください。



小津監督の「東京物語」を見た。以前、山田洋次監督の「東京家族」を見たが、その元となった映画でモノクロの作品だ。

「東京物語」を見たきっかけの1つは、先日、映画「PERFECT DAYS」を見た影響だ(「PERFECT DAYS」も素晴らしい映画だった)。「PERFECT DAYS」を見た後にネットでポチポチ調べて、「PERFECT DAYS」のヴィム・ヴェンダース監督が「小津安二郎監督」の名前を挙げているのを見つけた。

「東京物語」はフラットな気持ちで見ようと思った。「東京家族」もすごい作品だったし、小津監督もすごい監督だということは知っていたが、「すごい作品なんだろうな」という前提で見てしまうと、大事なことを見落としてしまいそうだったから。

見えやすいは本当に良いこと?

「東京物語」は、端的に言うと思っていたよりも暗い気持ちにならない作品だった。
お父さん・お母さんの表情なのか、話し方なのか理由は分からないけれど、「東京家族」を見終わった後に感じたような、少し暗く悲しい気持ちは感じなかった。

「東京家族」は"見え過ぎる"のかもしれないなと思った。
「東京物語」と比べると白黒でないのはもちろんのこと、映像の綺麗さは各段に上がっていて、色んなことが"見え過ぎる"ために暗い気持ちになるのかもしれないなと思った。

あと、「東京物語」のお父さんとお母さんの表情は本当に穏やかで、そのことも暗さを感じさせない要因の一つかもしれないと思った。

カタチとココロ

最近読んだ本の影響か、「東京物語」を見ている最中ずっと頭の中で「カタチ」と「ココロ」という言葉が浮かんでいた。

私の理解では、「カタチ」は心を込めていない動作のことで、「ココロ」は心を込めている動作のこと。
※興味がある方は、加藤締三著「感情を出した方が好かれる」をご覧ください。

子供達の親に対する対応はカタチで、次男の嫁(紀子さん)の対応はココロがあると思った。

東京に上京した親に「ゆっくりしたらいい」と言いつつ、仕事が忙しいから困るという子供。これはカタチでは「ゆっくりしたらいい」と言いつつ、ココロが伴っていないのではないかと。

広島に帰る親に「また来てよ」と伝えた言葉は、ちょっと本気で、ちょっと嘘だと思った。そして、画面越しでも「100%本心ではないよー」という感じが伝わってきた。

そんな子供達の様子をみて、たぶん本質的な部分は私も一緒で、カタチだけでココロが無いんだって強烈に思った。「なんだか冷たいな」って思って少しだけ悲しくなった。
紀子さんみたいなココロがある人間になりたいなぁ。と思った。

ココロがある人になるためには、、、どうすれば良いかわからない。
ただ、目の前のこと1つ1つに丁寧に接することがココロに繋がっていくのではないかと思い始めている今日この頃。


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