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心配は不要。先送りをせず、今できる事を今やるようにすればいいと思う。

ゴールデンウイーク後半は、暦通り四連休。前半の連休に出かけたので後半は家でのんびりする予定にしていた。

人混みは苦手で疲れる。

特に混雑がひどい年末年始の連休やお盆、ゴールデンウィークに旅行や実家へ帰省することはない。通常の土日に行くか、平日に有給休暇を取っていくようにしている。

でも、ふと今年はすぐにでも実家に帰省した方がいいような気がした。
少し顔を出すだけでもいいではないか。

急だったが、一泊二日の予定で実家の母に会いに行くことにする。帰省中、母が望むなら一緒に京都か奈良にでも行けたらいいなとも思うし。

4月の終わりに新幹線とホテルを予約してから母へ連絡をした。

「元気にしてた? 後半四連休の真ん中、一泊二日でそっちへ行くわ」
「そう・・でも何もできないから、来なくていい」
「いや、何もしなくていいから。ちょっと顔を見に寄るだけ」
「でも・・・」

 いつもならウエルカムなのに、今回はどうしても来てほしくない様子。その理由は、2日前から腰を痛めて静養中だからということだった。

「病院へは?」
「連休に入ったから、開いてないし行かない」
「救急車、呼ばなくても大丈夫だったの?」
「ちょっとひねっただけだから、大丈夫」

話をよく聞いてみると、自宅で安静にしているだけでとても治るとは思えない酷い状況。ちょっとした移動も困難だという。

とはいえ、声はいつもより元気がないものの普通に会話ができるし、母は兄と同居している。急いで帰る必要もないと判断して、予定通りの日に訪問することにする。

・・◇◆・・

前半の連休最終日、兄からLINEで母が入院したと連絡があった。

「え? まさか・・」
びっくりしたのと同時に嫌な予感かまして、即折り返しの電話をかける。

「今日はとても苦しそうで、これは病院へ急いでつれていかないと思ったので救急車を呼んだ」とのことだった。

病院で診察してもらうと、結果はまさかの骨折。

もう自力で動けない状態なので入院することに。最初連絡した病院からは受け入れは無理といわれたが、次に連絡した病院で運よく一床空きがあるとのことで受け入れてもらえたそうだ。

骨折していたのなら、相当痛かっただろうに・・。

「お見舞いはいつでもできるの?」
「事前予約制で、週に一回、びゅしつに入れるのは一人で15分しか面会が出来ないので、来ても合えないよ」

「着替えとか身の回りのものは?」
「それは、ナースステーションの受付で渡せる」

「治療は?」
「積極的には無理なので、痛みを抑える治療しかできないって」

「退院の目途は?」
「高齢なので最低2か月。様子を見てリハビリ開始することになるらしい」

「私に今できることはある?」
「ない。心配もしなくていい」

とりあえず6日にお見舞いの予約を入れてあるからまた状況は伝える。それまではどうすることもできないから帰省する必要もないよ。帰省はキャンセルしたら?・・と兄は言う。

「でも、もうキャンセル料もかかるし予定通りそっちへ行くね」
「そうか。じゃ、昼飯でも一緒に食おう。そのあとお前は観光でもしたら」
「そうね。兄ちゃんの顔見たら奈良か京都へいってみるわ」

・・◇◆・・

母は来月83歳になる。

70代の時とは違って、今日元気でも明日も同じように元気でいられるかどうか保証はない。だから、健康で長生きできるようにと、健康長寿のお守りを神社でいただき先日母に送ったところだった。

なんだか、お守りのせいでけがをさせてしまったような気がして辛かった。

兄は兄で、責任を感じていたようだ。剪定した枝をすぐに片付けず放置してしていたのを、母が気を利かせて片づけようとしたことがきっかけでケガをしたからだ。

『大難が小難に、小難は無難に』って言葉が浮かんだと兄は言う。

常日頃からの心がけの大切さと、何事もないことへの感謝を忘れない事を意味するこの言葉。ちょっとした気がかりを先送りにせずにすぐに解決するようにということも含まれているんだなと実感したそうだ。

確かにそうだな。

面倒だったり疲れてしまって先送りした小さなことが、後に大きくなり取り返しがつかないことを招かないとも限らない。

「あの時ちゃんとやっておけばよかった」ということは、誰にでも経験があるだろう。私にも、たくさんある。

・・◇◆・・

多分、退院するまで私は母に会うことはできない。

感染対策ではなく、対応ができないとのことで入院している病院ではお見舞意に制限をかけているとのこと。大部屋なので病室から電話はできず、顔を見るどころか声を聞くこともできない。

このまま二度と会えないのではないか‥と不安になる。

私にできることはないから、せめて、痛みが軽くなるように、一日でも早くリハビリが開始できますようにと祈る。

霊力はないけれど、目を閉じて、母の腰に手をそっと当てて温もりを伝える事をイメージ。そして、「痛いの痛いの、飛んで行け」と何度も言う。

母がベッドに腰かけ、スリッパをはき、「よいしょ」って笑顔で立ち上がる姿をイメージする。

こんなことしかできないけど、やらないよりましかな。そう信じたい。

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