見出し画像

地域活動の一環として学生ライターになったら、休める居場所が見つかった!!

富山県高岡市伏木で富山大学生が中心となり、地域活動が展開されています。 高岡キャンパスの学生は空き家を減らすために様々な活動を展開、一方で五福キャンパスの学生である私達は伏木の魅力発信を兼ねて学生ライターに挑戦しています。

窓の外を眺める看板猫のミミちゃん

今回私が取材したのは「古本なるや」さんです。
出入口には店主である堀田さんの飼い猫ミミちゃんがお出迎え。
店内は多くの本に囲まれ、おばあちゃん家のような懐かしい匂いのする線香が訪れた人に安らぎを与えてくれます。どこか暖かみがあって安心感のある古本屋ですが、古本屋はあくまでも表面上の姿であると店主の堀田さんは語ります。

今回私はインタビューで伺った内容から「人の価値観の多様性や自分らしさについて教えてくれる場所」という視点で古本なるやの魅力を発信したいと思います。 この記事を通して古本なるやが「休める場所」であることが伝わり、現地にまで出向くことができない方にも、堀田さんの「人に対してもっと身近に役立ちたい」という思いが届けば良いなと思います。 そして対人関係で悩んでしまった人がいた時に、この記事が「自分らしく」生活できるようになるきっかけになれば嬉しいです。

「古本なるや」は、話せる場所

「古本なるや」は名前の通り、古本販売を行なっていますが、一方で話せる古本屋として悩みを抱えた人のお手伝いもしています。元々堀田さんは電気機器メーカーで働いていたのですが、人に対してもっと身近に役に立ちたいという思いから「話せる古本屋」を始めたそうです。話せる古本屋といっても雑談するだけではなく、悩みを抱えた人への支援も行なっています。

取材中、終始古本なるやに込めた思いを熱く語ってくださる堀田さん

現在も過去も人間関係においては、誰もが繋がりを持つものです。家族や兄弟、友人など、私達は多くの人々との関わりを経て人生という時間を進めていきます。 しかし、時には「人間関係という社会」に対して精神的疲れが溜まり、休息が必要になることもあるでしょう。 そこで、堀田さんは人間関係に疲れた人に対して「言われた事実だけを見ず、相手はどうしてそう思うのかを考えることが重要だ 」と話します。

例えば虐待を受けている子供と虐待をする親がいたとします。社会は虐待を受けている子供のケアに焦点を置くかもしれませんが、もしかしたら目に見えていないだけで、親自身も過去の家庭環境によって子育てがわからないのかもしれません。 勿論、暴力は決して行ってはいけないことです。しかし、堀田さんは「どちらか一方が完全に悪いとは限らない。言葉の背景に焦点を置くことが人間関係を楽にする」と話しています。人間関係で悩む原因の一つには「相手に言われたことを気にしてしまう」ことが挙げられます。ですが、一度言われた言葉の背景を探ってみたら、相手との向き合い方がわかってくるかもしれません。


「古本なるや」は、そっと価値観をほぐしてくれる場所

言葉の「受け取り方」だけでなく「吐き出し方」についても堀田さんはこのように話します。「辛いことがあった時、人に頼ることは甘えることになるのではないかと考える人がいるが、ダメな自分でも良い。自分の思いを吐き出して人に頼ることは決して悪いことじゃない」

みなさんもふと、「人に頼ることは甘えることになるのではないか」と考えてしまったり「人に頼ってしまうことが相手にとっての迷惑になるのではないか」と考えてしまったりしたことはありませんか。「人に頼ってしまうなんて、なんてダメな自分だ。自分で解決せねば」このような考え方は時に自分を成長させることになり、時に自分を潰すことに繋がります。例えば自身のエゴを吐き出して周りに気を遣わせることを治そうとするのであれば、それは自身の成長に繋がります。ですが、自身の辛い思いや悲しい思いを人に吐き出さずに自分だけで解決しようとすることは、自分がさらに苦しくなる可能性が高い行動です。

自分で解決することが困難な辛いことや悲しいことと出会った時には、そんな自分を受け入れて、人に頼って良いんです。そんな時は、自分が思う「ダメな自分」になっても良いんです。そんな時のあなたの姿は、周りから見れば「ダメな人」には決して映らないのですから。

このように「そっと、人の価値観をほぐしてくれる」そんな場所が古本なるやです。堀田さんは「あくまで今話していることは自分自身の価値観であるから、この価値観に合わせる必要はない。人それぞれ性格が異なるように、価値観も異なる」と、その人に合わせた価値観を持つことについても話していました。


「古本なるや」は、“ありのまま”でいられる場所

これまでの長い学生時代を振り返ってみて、私は「普通の学生」で在り続けることに縛られてきたように思います。その「普通」に対する捉え方は人それぞれで、勉強は程々にして、学生であるその時を楽しむことが「普通」と考える人もいれば、勉強をきちんとして良い成績を収め、良い大学を出ることが「普通」だと考える人もいます。

そんな中で、堀田さんは高校を卒業をした後、すぐにサラリーマンとして働き始めました。企業に就職し、安定した収入を得ていたサラリーマン時代。それでも堀田さんは今、企業を退社して、小さな古本屋を経営しています。
実際のところ、収入という面においては確かにサラリーマン時代のように安定しないけれど、それでも今の生活の方が好きだと言います。

学生の中には、良い大学に出て良い企業に就くことが親孝行であると考えている人がいるかもしれません。そして、それを負担に感じ、悩んでいる人がいるかもしれません。そんな方に向けて堀田さんは、「無理をしなくていい。そんなに深く重く受け止めなくてもいいんだよ」と話していました。

人によって「普通」の捉え方が違う中で、周りに合わせて生きていくことだけが正しいわけではない。堀田さんのように、自分自身の好きを見つけ、自分がありたいようにいることも、素敵な選択だと感じました。そんな生きるヒントを、私自身が今回の取材を通して教えてもらった気がします。


「古本なるや」は、休める場所

「古本なるや」は、話せる古本屋であると語る堀田さんですが、私から見た「古本なるや」は「多くの本からお気に入りの本を見つけ出すように、社会に出てわからなくなった自分を見つけ出すことができる場所」だと感じました。

古本なるやでは、不登校の学生が単位を得られるような制度を整えていたり、相談支援なども行ったりしています。学生の方も、社会人の方も、自分だけで悩み、完全に疲れ切ってしまう前に、一度「古本なるや」を訪れてみてはいかがでしょうか。

悩み事がなくても、雑談しに行くも良し、ミミちゃんに会いに行くも良し。みんなにとっての「休める場所」である古本なるやへ、ぜひ足を運んでみてください。

きっと、心が落ち着いて、ちょっとだけ自分に優しくなれると思います。

作:学生ライターA


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?