りんごが教えてくれたこと

『りんごが教えてくれたこと』木村秋則著 日経プレミアシリーズ 新書 発売日 ‏:‎ 2009/5/9 を読みました。

奇跡のリンゴで有名な木村さんの本です。

とあるきっかけで知り合った、生産者さんと消費者を繋ぐサービスをはじめたいと仰る方から、木村さんの話しを聞き、興味を持ったので読んでみました。

私は天然酵母のパンを作るのに、自家製酵母の果物が農薬をたくさん使った普通のスーパーで売られているものだとうまく発酵しないということを感じていました。
なので、本来は皮や芯に酵母菌がたくさんあると聞いているにも関わらず、スーパーで買ったものを使う場合は果実だけを使ったり、可能ならば高価なオーガニックのものを用意して酵母を起こしたりしていました。

そういった経験から、普通の果物は酵母が起きないほど化学的なものが作られていると感じたり、そうであっても、値段が示すように、オーガニックのものは作るのも食べるのも手間暇やお金がかかりすぎるのだと感じていました。

ですが、木村さんの本を読み、それまでの有機栽培やオーガニックに関する情報や固定観念がたくさんあったことに気が付かされ、びっくりしました。

木村さんは無農薬、無肥料の自然農法と呼ばれる栽培方法でりんごや米、野菜を作ってきました。

私は自然農法は軽く聞いたことはありましたが、オーガニックはとにかく手間がかかるから大変なのだという話は繰り返し聞かされていたので、それを上回る無農薬、無肥料の自然栽培はとてつもなく栽培に手間がかかるだろうから、広まってはいかないだろうと勝手に想像していたのです。

でも、木村さんの本を読んでそれらがそうともいえないことがわかりました。


とはいえ、最初にやりはじめた木村さんの努力と失敗の歴史は相当なもので、よく成功するまで続けられたなあ、すごいなあ、と、心から感心しました。

そして、土を山と同じ匂いにする、という感覚的な基準と、それに近づけるために実際に温度を細かく測ったり、小さな実験を実際に繰り返して改良していく学者的な姿勢のどちらもがバランスよく備わっていて、木村さんという人だからこそ、奇跡のりんごを作ることができたのだと感じました。

ご縁あって、自然農法の稲を刈り取った直後のものを拝見したことがありますが、茎から穂までしっかりとしていて美しく、ブーケのようでした。


木村さんは今自分の育て方を教える学校を運営されているそうです。

これからの農業の栽培方法として、ぜひ広まってほしいものだと思います。

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