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パリ五輪も狙える 岡田大和が札幌を選び、選ばれた理由

大学サッカー冬の全国大会 全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)が12月8日に開幕した。今大会の決勝は1月1日に国立競技場での実施されるご褒美もあり、各チームのモチベーションも例年以上に高い。

そんな大会初戦に出場したチームで、最も注目されていたのが九州大学リーグを無敗優勝した福岡大学だ。

鶴野怜樹(2023-アビスパ福岡内定)、大崎舜(2023-ロアッソ熊本)、永田一真(2023-テゲバジャーロ宮崎)ら実力あるJ内定組を複数擁し、全国の舞台でも上位進出が期待される面々が揃っている。

そして、同大学において、永井謙佑(名古屋グランパス)以来のポテンシャルを持つと高く評されるのが岡田大和(3年)である。

岡田を巡っては、この秋口の段階でJの3クラブから正式オファーを受けるなど激しい争奪戦が繰り広げられたが、11月末に北海道コンサドーレ札幌への加入が発表。

そんな逸材レフティーが、大学3年の11月という早い段階で進路先を定めたのには理由があった。

「自分としても大会前に決めて、すっきりした状態で臨みたいと思ったので、あのタイミングで仮契約もして入団会見もして貰ったんですけど‥」

夏の全国大会(総理大臣杯)で北海道教育大学岩見沢校にまさかの敗戦。
冬の全国大会(インカレ)には並々ならぬ決意で臨んでいた。実際に大会前にはこう語っている。

「夏の大臣杯は今年で一番悪かった試合だと思うし、昨年のインカレでも法政に勝った直後で負けてしまった。全国大会では悔しさしか残っていない。全国大会で悔しさを晴らすという強い思いはみんな持っていると思います。」

迎えた全国大会初戦、中京大学との試合で、サッカーの神様は岡田に更なる試練を与える。
小気味いいパスワークを活かした中京大のサッカーに手を焼いた序盤の福岡大は前半13分に先制点を許してしまう。

だが、その後、重見柾斗、永田一真の得点で福岡大は逆転に成功し、このまま初戦突破の道筋が見えたかに思えた60分だった。

自陣PA内で岡田がボールをロストしてしまい、そのまま失点を喫し2-2に。

その後は一進一退の展開を繰り広げ、90分+30分の延長戦でも決着はつかず、ゲームはPK戦にまで、もつれこんだ。

岡田も豪快に左足でPKを決めたものの、2-2(PK5-6)の末、中京大学が勝利。
福大は夏に続き、冬でも初戦敗退の憂き目に。試合後、岡田は悲痛な表情でゲームを振り返った。

「後半、自分のプレーから失点をして、それが勝敗を分けた形になってしまった。自分の軽率なプレーで4年生の大学サッカーを終わらせてしまって、4年生だけでなく応援してくれた人だったり、期待してくれた方々に申し訳ない気持ちです。後悔しか残らない大会になりました。

ミス後は、試合が終わったわけではなかったので、自分のミスは自分で取り返すという気持ちでプレーしていたんですけど。結果的にPKになってしまい、4年生にああいう形で終わらせてしまった。この負けは全部自分のせいかなと思います。」

こちらも、胸が締め付けられる思いだったが、岡田は絞り出すように言葉を続けた。

「終わってしまったものはもう取り返さないので、来年最上級生としても、Jに進むものとしても、チームをもう一つ・二つチームをレベルアップさせてチームを全国の舞台でしっかりか勝てるようにしたいと思います。」

岡田大和はクラブの宝になれる

そんな岡田のプレーをこの日も札幌の強化に携わる関係者が視察。岡田獲得に至った経緯を聞かせてもらった。

Q 岡田選手獲得の経緯は?
「最初に彼を見たのが、うちのユースと彼が所属していた米子北高校とでプレミアの参入戦を戦ったとき。その時から名前などは把握していた。
その後、デンソーカップで彼がU-20全日本選抜として、プレーしている中で、彼だけ、違った雰囲気を感じた。
うちは、彼の特徴でもある対角のパスとか。横幅を使った攻撃が多いから。ああいう子がいたら、いいなというイメージがあった。そこから九州リーグのプレーを見てみてもこれはやっぱり凄いなと。
シュートなんかもエグいものがある。うちに来てくれたら、みんな喜ぶだろうなと。実際に練習参加して貰っても、スタッフ陣もこの選手は凄いと。」

Q 特に評価している点は?
「攻撃の所は大体凄いなと思っていたんだけど。あとは、対人守備の所がいい。
うちは守備面も大事。彼のように攻撃も出来て、守備も出来るという選手は中々いない。」

Q ポジションは左CBがベースのイメージか?
「うちでいうと、左CBがベース。ただ、ワイドも出来るだろうし、シャドーも出来ると思う。身体も強いので、動くタイミングとかを学んでいけば前線もやれると思う」

Q  争奪戦を制し、岡田選手が来てくれることになった際の心境は?
「シンプルに嬉しいけど、それは今うちが、クラブとして少しずつ成長していってる中で、魅力的に感じてくれたんだという嬉しさ。
こういった選手に札幌というチームが選んで貰えるようになって来た事が嬉しい。
ここからは彼の頑張りとうちがどういう環境を作れるか?という所だけど、本当に素晴らしいポテンシャルを持つ素材。クラブの宝になるような選手が来てくれた。」

Q 大学4年になる来シーズンから特別指定で公式戦にも絡める素材?
「勿論、その可能性は十分ある。来年のキャンプも、もし来れるならスタートから呼びたいと思っている。」

Q 今までの札幌にはいないパーソナリティを感じる選手
「そんなに多くを語るタイプではないけど。目指している所や現状の立ち位置をしっかりと理解しているし、やるべき事も分かっている。そんな中、うちの違った刺激をキャンプから受けながら、成長していったら面白い。」

Q パリ五輪も狙える素材に感じる
「今のうちの環境でいうと、出した後の動き直しとかがよくなれば可能性は十分あると思います。今日とか、大臣杯でもそうだけど全国の舞台だと、気負い過ぎているのか分からないが、力を発揮し切れていない。
ただ、身体も合う度に分厚くなっている。本当にポテンシャルは半端ない。
後は僕たちがバトンを貰った訳だから、クラブがしっかりと成長させる責任がある。」

Q 練習参加した際、札幌のファミリー感に惹かれたと話してくれた
「そこは本当に我々も、うちの選手・スタッフに感謝している。言わなくても選手たちからコミニュケーションを取ってくれる。小野伸二さんとかが積極的にやってくれるのはありがたい限り。本当にありがたい。大和なんかはあまり喋るタイプではないから、そーゆー雰囲気が合っていたのかもしれない」

「控えに甘んじるつもりは一切ないです。ピッチに立って活躍するために日々、練習に取り組んでいきたい」

入団会見でも強気な姿勢を崩さないレフティーだったが、インカレの初戦では今後も、忘れられぬであろう苦難を味わうことになった。

ただ、きっとこの男なら、この経験をバネに更なる飛躍を遂げてくれるだろう。

最後に岡田大和のプレーの特徴を羅列し、締め括りたい。

利き足の左足のフィードは、ワンステップでピッチの横幅一杯を正確に蹴れる能力がある。

高2の秋までFWをベースにプレーしていた岡田大和はシュート意識が尋常じゃない程に高い。菅大輝 顔負けのキャノン砲を兼備する。

180センチの高さだけでなく、大学進学後、体重を6キロ増えたという程、厚みある体を活かした身体的な強さは、大学生とは思えない。

また、この日の試合終了間際、相手PA内まで駆け上がった後、自陣PA内での一体一を2連続でシャットアウト。対人守備には絶対の自信も持つ。

ロングスローは軽々とペナルティエリアに投げ入れる。今までの札幌に無かった飛び道具になるだろう。

「札幌は自分の左足の特徴を活かせるサッカーですし、見ていて魅力的なサッカーをすると思いました。練習参加に行ってまだまだ上手くなれると思いましたし、そういったことも含めて、ここでプレーしたいなと直感的に思ったので決めました。」

彼が進路先に選んだ、北海道コンサドーレ札幌。

その無限の可能性を北の大地で存分に発揮できるように後押ししたい。

2023年からの活躍、楽しみにしている。


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