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流川楓と木暮公延

50回目の誕生日が間近に迫った土曜日、プレゼントは何がいいかと訊かれた。仕事でパソコンを持ち歩くことが多いわたしの体を気遣ってか、リュックを買ったらいいんじゃないかと彼は言う。

ショルダーバッグを好むわたしの鞄は、どこへ行くときだって大きめだ。それでもパソコンを入れると他に何も入らないほどパンパンになる。仕事上、あちこちへ行かざるを得なくなってノートPCを持ち歩く羽目になったのだが、これが重い。

毎度毎度通勤のたび、ショルダーバックにパソコンとACアダプタを入れ込んで、片方の肩にかけて歩くのはなかなかハード。確かにリュックのほうが、両肩と背中で重さを支えられる。ありがたく提案に乗らせてもらうことにして、一緒に見に行く。

並んで横を歩きながら、最初にもらったプレゼントは何だったか、記憶をたどる。確か指輪だ。どこにしまったか思い出せない。付き合いはじめてしばらく後の誕生日、赤いナイキのスニーカーをもらった。いつも履いていた。しまった場所も覚えている。あれから婚約指輪に至るまで、アクセサリーをもらった記憶はない。

そういえば、毎日通勤用に使っているお気に入りのショルダーバックは、何年か前にプレゼントされたものだった。廃番になってしまったので手入れをしながら大切に使って7年ほどになる相棒。

『スラムダンク』の流川楓がタイプだったはずのわたしの横を、歳を重ねたメガネ君が笑いながら歩いている。


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